ABB FIA Formula E Championship
BMW i Berlin E-Prix presented by CBMM Niobium
Tempelhof Airport Street Circuit  2.375km
winner:Lucas di Grassi(Audi Sport ABT Schaeffler/Audi e-Tron FE05)

 FE第10戦ベルリン。今年もテンペルホーフ国際空港跡地
特設コースです。私けっこうこのロケーション好きなんですよ、
八尾空港とかでやってくれんかなw

 レースは電力の管理だけでなく、空港の路面舗装がもたらす
ギャリギャリ削れるタイヤにも気を付けないといけません。
 優勝は昨年の続いてアウディーから、昨年は母国の
ダニエル アプトでしたが、今年はルーカス ディ グラッシでした。

 予選PPは日産e.damsのセバスチャン ブエミ。
前戦ではオリバー ローランドがペナルティーを受けたので
1位からスタートはしていませんが、結果という点では
チームはこれで3連続でPP獲得、三度目の正直と行きたいところ。

 一方そのローランドは12位から、そしてアンドレ ロッテラーは
アタックに行こうとしたら時間切れで攻める前にチェッカーを
受けるという大失敗で21位からのスタートです。

 FEの予選の難しさには、グループ予選方式になっていて、
選手権上位だと先に出走させられるので路面状態が悪い、
というのがありますが、もう1つ、かなり山勘で
攻めないといけない、というものがあります。
 予選ではアタックは2回まで、そして250kwのモードはそのうち
一度しか使ってはいけないという規則があります。
プラクティスでも、各陣営はその短い時間の多くを当然レース用の
200kwモードで走り、250kwを試す時間は少ないため、
各ドライバーはほぼぶっつけでいきなり12%も出力が向上した
速い車で限界まで攻めないといけません。
ブレーキング場所は本当に勘に近く、そうした難しい条件への適応力、
ラリーでレッキからSSの速度を想像するように、200kwの
練習をしつつ250kwならどうなるかを適切に予想する
判断や予測能力も問われます。

 さて、優勝を目指すブエミ、綺麗にスタートし
ストフェル バンドーンが続きます。
ここのターン3先の短い直線区間、ここ2年はトンネル状に
なっていて、特別な観戦席みたいになっており、一昨年は
まさかのスモークまで発射させてましたが
イメージ 1
今年はきれいさっぱり無くなってましたw
イメージ 2
 上位は比較的変動のない序盤でしたが、ディグラッシが
好調で5周目に早くもブエミを抜いてトップへ。
 ブエミの決勝ペースは優勝を争うにはやや足りないようで、
アントニオ フェリックス ダ コスタにも抜かれて後退。
ここはターン6をかなり大回りしてアタックモードを取得するので
多少後続を離しておかないと抜かれてしまいますが、
ディグラッシは後ろを見て余裕で獲得できる有利な状況を
作り出してトップ快走。

 残り約17分、ブエミはファン ブーストを使って
ターン1でねじ込んで再び2位へ。

 アレックス リンがトラブルで停止しFCY、さらに
ロッテラーもバッテリーのトラブルでガレージへと消える中、
8位スタートの選手権リーダー・ジャン エリック ベルニュが
今日も決勝で追い抜き連発。
残り6分30秒でとうとうダコスタも捉えて3位となり、
さらに2位のブエミに張り付きます。

 普通のレースでは追い抜きと言えば
「相手より奥までブレーキを我慢する」が基本ですが、
FEの場合にはバッテリーの制約が極めて厳しく、
リフト&コーストする時間がものすごく長いため、
ブレーキで勝負するのではなく、バッテリーを消費してでも
「相手より奥までリフト位置を我慢する」ことで抜くことが多いです。
ベルニュもこれによって次々と抜いて行っていますが、
それでいてなおブエミより残量が多いことに驚きです。
 実際レース終盤の映像ではリフト位置がかなり違い、
最高速が10km/h近く違う場面もありますが、さすがに
ブエミは心得ているので隙を与えないようにしながら
セーブを行っています。

 ディグラッシはほとんど興味を失うぐらいのぶっちぎりで
今季2勝目、そしてベルニュに絶対抜かれると思って見ていた
ブエミはなんと抜かれず戻ってきて2位でようやく
今季初の表彰台です。
 予選方式の話もあるので一概に比較できませんが、ブエミは
予選平均順位だけなら今年はFEキャリアで最高の4.1なんですが、
決勝平均が10.5とぶっちぎりの自己ワースト。
 まだバッテリー管理はじゅうぶんではなさそうなのは
今回ローランドも厳しそうだったことからある程度推察でき、
果たしてライバルがケチをつけるほど2モーターが有利なのか
外から見ていると疑問なんですが、ようやく
ちゃんと上位で帰ってこれたのが収穫としておきましょう。

 そしてドライバー選手権では、ロッテラーまさかの脱落で
2位にディグラッシが浮上。トップのベルニュとの差は6点です。
こうなるとさすがにロッテラーは援護役に回すしか
なさそうですね。
 バンドーンも5位で3度目の入賞。なぜあんなに毎回
ファン投票で人気なのか全然分かってないんですけど
彼の何が人気なのか知ってる人教えて(@_@)

 次戦はカタカナで書くとベルリンと見間違えそうなベルンです。
そしてその後はニューヨーク2連戦でいよいよ決着。
ベルニュとディグラッシ、色々ありながら結局本命2人が
ここで前に来た2018-2019フォーミュラE、いよいよ佳境です。