細々とGT SPORTでのマナー啓発なども行ったりしている私ですが
(本来はこんなイチ個人がやるもんじゃなくて
運営側で積極的に行っていただきたいものなんですが)
最近は判定アルゴリズムの隙をついて
接触されたら意図的にランオフエリアに飛び出して、
アルゴリズムが『当てた車が押し出した』と判定させ相手に
ペナルティーを与える
というような行為が行われているのでは?との情報もあります。
単にぶつかっただけでペナルティーが出るよりは随分AIも
手が加えられたなあと思う一方で、事実ならそういうことを
しようとする人にがっかりです。
もちろん、無茶な飛び込み、蛇行、予選妨害、ピット出入り口での
走路無視など、ゲーム上ではペナルティーを受けないが
やっていることは明らかに悪質行為、というような行動は
相変わらず起こっているようです。で、そんな中で
今回はこんな話題を1つ。
日刊スポーツ新聞に『野球の国から』という連載記事があり、
先日まで <サイン盗みを考える> というテーマが扱われていました。
これは今年の第91回選抜高校野球大会(春の甲子園)、
習志野高校 対 星稜高校 の試合後に、サイン盗みに関して騒動が発生し
話題になったことを受けて、サイン盗みの実態について
様々な角度から取り上げた特集です。
※特集単体でのまとまったリンクはないので、
5月バックナンバーから該当記事をご覧ください
で、この連載の中で語られる関係者の言葉の中に、GT SPORTの
オンライン レースでも大事な考え方が含まれていると思ったので
紹介したいなと思いました。
現在の高校野球において、サイン盗みは禁止行為とされ、
当該大会の規定でも
捕手のサインを見て打者にコースや球種を伝える行為を禁止する。
とされています。ただし、
もしこのような疑いがあるとき、審判委員はタイムをかけ、
当該選手と攻撃側ベンチに注意し、止めさせる
と書かれており、罰則規定がありません。
連載の最初の2回は、匿名で元高校球児数名が座談会を行い、
サイン盗みを行っていたという人、しなかったという人が互いに
当時の状況や考えなどを語り合いました。
その後も指導者の方の話などが掲載されますが、
目に留まったのが連載第7回
世界のマナーに反する日本野球/サイン盗みを考える の回。
アマチュア野球で1000試合以上を裁いた、アジア野球連盟審判長・
小山 克仁が日本の野球のマナーについて語りましたが、その中で
「日本の野球は世界のマナーに反している」とバッサリ。
以下一部を引用します
ある国際親善試合の初回、日本の先頭打者が2球目で捕手を
“チラ見”すると、相手国監督は
「こんなチームと親善試合はできない!」と選手をベンチに
引き揚げさせたという。試合開始直後にもかかわらず、だ。
「勤勉で礼儀正しい」とされる国際社会での日本人像は、
野球に関しては別なのか。「ルールに書いていないからいい、
それが日本人の悪いところ」と小山は力説し、ボークを例に挙げた。
「ここまでは大丈夫、ここからはボーク。日本人はそう探求する。
それは違うだろ、って」。
審判として、選手に求めるのは「尊重」の2文字だ。例えば、
台湾代表は打席に入るたびに審判に敬礼するという。
カナダ、オーストラリア、イタリア、南アフリカ…と小山は
好マナーの国々の名を挙げた。相手への尊重、ルールの尊重。
「日本の野球選手はルールの精神や歴史を学ぶ機会がないのが課題です」。
投手と打者の1対1で、野球は始まる。小山は「これを楽しまずに
何を楽しむのか。最高の投手からヒットを打ったらすごい喜び。
第三者の力を借りたら、それはもうスポーツじゃない」と声高に訴える。
何人たりとも介在しない、スポーツマンシップが凝縮された
18・44メートルを求めている。
ボークというのは反則投球のことで、簡単に言うと相手を騙して
投球しアウトを取ろうとする行為です。
「それは違うだろ」が意味するところは、
『そもそも相手を騙すような行為をしようとすることそれ自体が
問題であって、ルールに抵触しないよう”ギリギリ騙す”部分を
探そうとすること自体が発想として根本的に間違い』という
意味合いだと思います。
ちなみに、日本のアマ野球の切り口から入ったので
ここだけ読むと日本人だけマナーが劣悪のように見えますが、
プロの世界も含めてどうかというところは連載のさらに
後日の分まであわせて読むとまた違った面が見えてきます。
最初に書いたGT SPORTに話がまさにこの部分に繋がってきます。
「どうすればペナルティーを受けずに得できるか
(あるいは相手に損をさせるか)」と考えている段階で
そもそも間違えています。
連載の話に戻ります。第9回では日本高校野球連盟の理事・
田名部 和裕は、やはり海外での試合で日本の選手の
マナーの悪さを痛感したそうで
「恥ずかしかった。正直、当時の日本では常識すぎて、
アンフェアという認識がなかった」
と感じ、それがサイン盗みを禁止する規則制定に繋がったとしています。
同じく高野連の事務局長・竹中 雅彦は
「相手をリスペクトすることがフェアプレーにつながる。
それができないというのは野球をする以前の問題。
罰則がないから、うんぬんではない。守るのが当然のことなんです」
としています。GT SPORTのスポーツモード参加規約では
スポーツモード参加選手は、スポーツマンシップに則り、
公正なプレーを尊重し、他の参加選手に対するエチケットや
マナーをモットーとします。
と記載されており、PlayStation™Network利用規約でも
他のプレイヤーの尊重、迷惑行為の禁止は書かれています。
『ペナルティーを受けなければ問題ない』は大間違い、
はっきり言えば、ペナルティーを受けずに走る、ペナルティーを
受けそうな動きをしないというのは守って当たり前の話で、
その上で公正なプレーをするのが参加者の義務です。
千葉ロッテマリーンズで活躍した里崎 智也は、自身は
「サイン盗みは全くやったことが無い」とした上で
このように語っています。
盗む相手には「かわいそうだな」と思ってました。
インチキしてまで結果を出して、うれしいですか? ゴルフと一緒。
球数をごまかしてベストスコアって、喜べますか?
「高校野球は罰則がないから、ばれないようにやる」と言う人もいる。
罰則のあるなしは関係ありません。禁止されていないなら、
何をやってもいいと思います。逆に言えば、禁止されているのに
やるのはナンセンスです。「勝つために何でもやる」は、
きれいに言い換えているだけ。本当は
「ルール違反をやらないと勝てない」でしょう。
ルール破りを肯定する人は、自分は下手だと言っているのと同じです。
小山さんや里崎さんのコメントの中には、スポーツの楽しみ・意義、
という観点からの「何が楽しいのか、意味があるのか?」という
ものがありますが、残念ながら人によっては
「ズルしてでも結果出るのが楽しいんだから何が悪い」
という考えの人も残念ながらいるので、これだけでは解決には
ならないと個人的には思っています。
ただ、上記の通り規則としてはっきり禁止なわけで、
精神論の問題ではなく『ダメなものはダメ』とはっきり主張することが
まず基本的に大事なことだと思います。
ただ、サイン盗みもオンラインレースの怪しい行為も共通するのは、
明確に違反と判定するのが難しく、結局違反認定ができないために
「やったもの勝ち」になってしまう点にあります。
特に、サイン盗みはその行為そのものは規則でどういったものかが
規定されていますが、自動車レースは具体的な内容そのものが
定義づけづらく、より難しい問題となっています。
大会参加規約には
スポーツモード運営事務局は現実のモータースポーツと同様に、
競技の公正さを重要視します。
とありますので、現実のモータースポーツで違反とされている行為は
基本的にGT SPORT内でも違反と考えるのが妥当であることは
理解できますが、線引き・説明に乏しい、というのは私も
ちょくちょく耳にする意見です。もう少し運営には
踏み込んでいただきたい部分だと感じます。
高野連の審判規則委員長・窪田 哲之は対策として
「繰り返し呼びかけるしかない」としており、抜本的な対策に
乏しいことを自認しています。
(だから運営には継続的な啓発をしていただきたいと思うんですが)
里崎さんは対策として
1つは乱数表を使う。もう1つは、ルールで認める。
最後の1つは、厳しい罰則を定める。(中略)
変なことが起きれば、審判が注意。2回注意で試合没収。
その学校は10年間、出場停止。それぐらいやれば、かなりの
抑止力になるでしょう。飲酒運転と同じです。罰則を厳しくしたら、
昔より違反者は減った。現状は、飲酒運転を禁止しておきながら、
取り締まりはしていないようなもの。言葉だけでは、
なくならないのなら、ルールを作る側が、はっきりとしたものを
定めるべき。ルールはシロかクロかであって、グレーではいけません。
と、守れないなら厳罰やむなしという持論も披露しています。
残念ながらGT SPORTでも
「どうしてこれだけあちこちで他のプレイヤーを邪魔して
問題を起こしておきながら未だに参加できているんだこの人は」
というような類の人が多少なりとも存在しています。
私はまだDRが高め、SRもずっとSを維持しているので
滅多に出会わないですが、これが下の方になるとおそらく
ある程度は常に存在するのではないかと、他の方の話から
推察しています。
現実問題として全ての違反報告を監視し判断を下すには
時間も人員も不足しているんでしょうし、拙速な判断で
誤った判断を下すわけにもいかないでしょうが、あまりに
対処が悪いと競技の質を下げるだけです。
連載の中では『サイン盗みはあるもの』と捉えた上で
『盗まれない対策をする』ことにも重点を置く現場の声も
書かれていますが、間違えてはいけないのは、
『盗まれないようにしないといけない』ことは
『盗まれる方が悪い』ことにはならない、ということです。
GT SPORTでも『当てられた方が悪い』
『そういう人がいて当たり前なんだから文句を言う方が悪い』
という言い分をする人が時折おり、ゲームに限らず、残念ながら
世間の事件・事故に対してこうした全く的外れな意見で
被害者を中傷する人も世の中に多く見られます。
例えば青信号で横断歩道を渡っていて信号無視の車に跳ねられた場合、
『青信号でもなお左右を確認すれば避けられかもしれない』ですが、
それは『左右を確認しなかった人が悪い』ことにはなりません。
物事をAが悪いかBが悪いかの二択でしか考えられず、
Aが気に入らないのでAが悪い部分だけを強調してBの問題を
無かったことにするような、そもそもの根本原則を無視して
筋違いな理屈を展開する、といった人、場所を問わず多い気がします。
連載の最終回では記者がこの取材を通じたまとめとして
大げさかもしれないが、社会的な犯罪を見ても、
取るに足りない軽犯罪から重犯罪につながるケースは多いという。
あくまでも「盗まれた方が悪い」のではなく「盗んだ方が悪い」
という意識でいてほしい。少年野球からプロ野球まで、
野球界全体で考えていく問題だと思っている。
と締めくくっています。
以前GT SPORTのニュースフィードの方でtshoさんが
親とスマホを買う買わないで揉めている、という話題をしていて、
少し個人的な考えを参考程度に書かせていただいたら、
やすきよさんから
「前から思ってたけどSCさんて教育に熱心な感じがする」と
いった感じのコメントをいただきました。
別に教育熱心とは全然関係ないんですが、日常過ごしていて
ここ最近本当に常識を持たない、ちょっと考えれば分かるような
やってはいけないことを平気でする人が増えた気がしており、
GT SPORTのマナーの問題というのも、広い範囲で考えれば
こうした問題と無縁ではないと私は考えているために
そういう方向になっているだけなんです。
やっぱり世の中どんなことでもモラルを守れない人は
ネットの世界でも守れない傾向になるだろうし、それが
GT SPORTとなれば言わずもがな。
逆に、ゲームを通じて『違反でなければ問題ない』という
物事の考えを深め誰にも注意されずに過ごせば、それは
やがてゲームからネット全般、ネットから現実世界
へと波及する可能性もあると考えています。
まさに記事の最後の『大げさかもしれないが~』に通じる部分です。
まあさらに言えば、ネットと現実は別だというのもそもそも間違いで、
インターネットの世界も電子情報を介しているだけで使っているのは
人間で『現実世界』に他ならないです。
財布を盗んだら悪いことなのに、電子マネーを盗んだら
悪くないのか?
死ね!と口走ったら悪いことだけど、死ね!と書き込んでも
悪いことではないのか?と考えたら分かりますよね。
大変長くなりましたが、他人に迷惑をかける行為は禁止で、
ゲーム内でペナルティーを受けるかどうか、は関係ありません。
違反でなければ問題ない、何をやっても良い、と考えている人には
参加資格はありません。
こう書くとまた「じゃあ初心者はできないのか」とか
「お前はペナルティーを一切受けずに走ってるのか」とかいう
ことを言いだす人が出てくることが予想されますが、
正直申し上げて理解力が無いです。
フェアに戦おうとしたけれども結果的に違反行為をしてしまった、
というのは当然あることです。ましてや自動車レースは
完璧に物事を運ぶのが難しく(野球は簡単だと言ってるのではないですよ)
どれだけやってもミスは出ます。
やってしまったら謝る、反省する、それを考えられるか、できるか、
ということまでを含めての問題です。
上記のような批判は、すっぽ抜けて当ててしまった死球を根拠に
相手を悪質選手呼ばわりし、あるいは危険球を正当化するようなもの、
物事を二極でしか考えられない典型に思います。
守れる人なら子供でも高齢者でもどんな人でも参加可能ですが、
守れないならたとえF1世界チャンピオンでもダメなものはダメ、
ただそれだけのことです。
ただそれだけのことを守れない人が大勢いる現状と、
書いておきながら書きっぱなしで対応がぬるい運営、
もちろん悪いのは前者ですが、後者ももう少ししっかりと
考えていただきたいものです。