ABB FIA Formula e Championship
2019 Monaco E-Prix
Circuit de Monaco 1.765km
winner:Jean-Éric Vergne(DS Techeetah Formula E Team/
DS E-Tense FE 19)
FEがモナコに帰って来たー!って盛り上がるほどのものでも
ないんですが、2015年、2017年に次いで3度目の開催です。
相変わらず、F1で言うところのターン1を曲がったら坂を
上がらずに右の細い道を下って、ヌーベルシケインの
エスケープからシケインへ逆走するように進入して
ぐるっと回って本コースに合流、という感じになっています。
まあ何せターン1から先の道が狭いので事故が起きやすい、
というか事故れ!みたいな形状のコースで、9戦で9人目の
勝者が生まれるか、というところでしたがとうとう記録に終止符。
ジャン エリック ベルニュが今季2勝目を挙げ、とうとう
選手権でもトップに立ちました。
予選では日産e.damsのオリバー ローランドが最速でしたが、
前戦で3グリッド降格ペナルティーが確定していたため、
PPの3点は貰ったものの4位スタート、のところが
3位のミッチ エバンスもペナルティーが確定していたため
行って戻って3位スタート。先頭スタートはベルニュでした。
2位パスカル ベアライン、4位フェリペ マッサ、
5位セバスチャン ブエミ、6位アレクサンダー シムズ、
7位アレックス リン、と2~8位まで未勝利の人が
並んでおり、ベルニュ以外なら誰でも9人目の勝者誕生、
な状態になりました。
このコースはインさえ固めたら抜くのはほぼ無理なので
順位は膠着しますが、開始約8分20秒、ベアラインが
ターン1で痛恨のブレーキ失敗。4位へ後退します。
アタック モードのアクティベーションは今回は
単に裏ストレートの左側なので取得してもロスがない
親切設計ですが、獲っても抜きようがほとんどありません。
途中接触で部品が落っこちてFCYを出しつつのレースでしたが、
残り約16分30秒、ややエネルギー残量が厳しく完全に
蓋になってしまったブエミの後方で事故が発生、
この抜きズラいコースで13位→9位に上げて来ていた
ルーカス ディ グラッシが壁にサンドイッチ( ゚Д゚)
前のブレーキに合わせ損ねたっぽいシムズが避けようと
左へ行ったら、そこには誰もいない大外から抜いてやろうと
既に並びかけていたディグラッシがいて完全に挟まりました。。
終盤にかけて、ブエミとは対照的にローランドがやや
ベルニュよりバッテリー残量で優勢になり、最後へ向けて
再び争いが緊迫。残り時間が5分40秒というところで
ローランドが上位で真っ先に2度目のアタックモードを
取得して、連鎖的に他車も取得していきます。
しかし残り約3分、前戦の勝者でレース前の段階で
選手権トップだったロビン フラインスがクラッシュ。
ターン1外側という明らかにSCでも入りそうな場所に
自走不能で止まったのに、黄旗2本でレースしながらクレーンで
釣り上げるという頭のいかれた見事な作業が披露されます。
FEって残り時間が少ないと強引のレースを続けることが
多いんですが、展開に左右されず状況できちんと安全に
作業してもらいたいです。クルーが焦ってなにか事故が
起きる可能性を考慮するのも大事な使命だと思います。
F1のカナダGPで重機にマーシャルが轢かれて亡くなった事故を
考えても、世間の労働災害を見ても、人間はミスをするもので、
少しでもマーシャルの心理的負担を下げてミスをしにくい体制、
ミスが仮に起きても大事に至らない枠組みは必要だと思います。
続行とはいえ数少ない抜きどころを封じられたのは間違いなく、
相変わらず順位は膠着。
2位ローランドと4位ベアラインがそれぞれ前の車より
電池残量が多いため最後まで揺さぶりましたが揺さぶって
どうにかなるコースではなくそのままチェッカー。
ベルニュはさすがチャンピオンの忍耐力でした。
相手がもしベアラインなら、という気がしたので、序盤に
彼が自滅して下がってしまったのはもったいなかったです。
ローランドは降格していなければじゅうぶん勝てた状況でした。
まあ前回も勝てる状況で自滅したのですから、
先頭から出ていてベルニュの重圧を退けることができたという
確証はもちろんないですが、同じ隊列にいてブエミより
きちんと電池を残せたあたり、かなりこのレースに慣れてきたと
考えられそうです。
そしてマッサがとうとう3位になりました。ここまで香港での
5位が最高位で他は全て8位以下でしたが、F1で親しんだ
モナコで表彰台です。おそらく2015年のF1イタリアGP以来の
表彰台ではないでしょうか。バッテリー切れ寸前の
かなり危ない状態だったようです。
ベルニュが選手権でリーダーで、1点差の2位に
チームメイトのアンドレ ロッテラー。今回は20位スタートと
苦しい位置な上に、なぜかアタックモードが起動しない故障が
発生した模様。結局一度も使わず9位でレースを終えましたが、
ペナルティーが出ていないのでおそらく故障が認められたと
思われます。
そのロッテラー、レース最終盤までは入賞圏外でしたが、
事故をすり抜けて順位を上げてチェッカーは9位。
そしてレース後に、アントニオ フェリックス ダ コスタが
最大出力に関する違反があったとして失格、
ダニエル アプトもレース後車検に違反してタイム加算で
順位が下がり、なんと20位スタートで7位という結果的に
脅威の挽回に( ゚Д゚)
テチーターとしては選手権を支配して嬉しい一方で、
元々コース上でやり合っていたこの2台が終盤に来て
ほぼ同点となったことで、難しいかじ取りを迫られる可能性も
浮上してきました。
正直あまりに狭くて抜けなさすぎるモナコは
あまり楽しいレースとは言えません。
F1と同じレイアウトを使わないのは、閉鎖区間が増えてコストが
ずいぶん増えるということと、周回数が減ってお客さんの前を
通る回数が減るという2点が主因だと思いますが、
やるならフルで行くか、やらないか、でいいような気もします。
ここでなくても素晴らしい市街地レースがたくさんあるので、
楽しくない有名都市よりは、楽しい無名都市の方が
個人的には好みです。
次戦はベルリンで開催、サッカーのドイツカップの決勝が
あるとかで、いつもより開催時間が早くなるので
生放送を見る方は注意が必要です。