2019 DTM Round1 Hockenheim
Hockenheimring 4.574km
Race 1 winner:Marco Wittmann
(Shaeffler BMW M4 DTM/BMW Team RMG)
Race 2 winner:René Rast
(Audi Sport RS 5 DTM/Audi Team Rosberg)
2019年のDTMが始まりました。今年は9ラウンドが開催され、
日本からYouTubeでのレースはハイライト以外見れなくなりました(T T)
そんなちょっとしょんぼりな開幕戦、第1レースは
マルコ ビットマンが獲りました。
最近雨にたたられるJ SPORTSの放送、土曜日はまた雨で
(同じころWEC開催のスパ フランコルシャンは雪に見舞われた)
せっかくの新車の性能を予選から拝めず。
そんな悪天候でビットマンがPP。結果から言うと、ドライだった
日曜日の予選タイムの121%の水準で、走れるギリギリな
コンディションでした(´・ω・`)
決勝ももちろん雨で、今年からローンチ コントロールは
禁止され、パワフルな新エンジン、ホッケンハイムは
ターン1がただでさえ事故多発警戒区域だし、そりゃあ当然
SCスタートだr・・・普通にスタートするんかーいw
全く前に進まない車もいて無茶苦茶、接触でティモ グロックは
360度ターンを華麗に決めたりしますが、意外と普通に
レースが進みます。これ15年前のDTMならグチャグチャだったと
思いますね。今のドライバーはすごく紳士的です。
トップから安全な場所を走るビットマンに対して、
年を跨いで7連勝を狙うレネ ラストが4位から追い上げていき、
ビットマンとまさにBMWとアウディーのエース対決。
雨であってもタイヤ交換義務はあるので、どこで入って、
冷えたタイヤでどう戦うのか、というのが見どころになる、
はずでしたが、28周目になんとラストが駆動系トラブルで停止。
あっさりと決着が付いてしまいました。
どうでもいいけどビットマンのスポンサーが、
去年まではアウディー勢についていたシェフラーなので
見ていてちょっと違和感がw
日曜日は晴れてようやく新車が本領を発揮、
そしてラストが前日の雪辱を果たしました。
PPはフェリペ エング、タイムは1'28.972。参考までに
昨年開幕は1'32.3、最終戦では1’32.6近辺でしたので、3.5秒ほど
速くなったことになります。
ラストはまた駆動系の問題を抱えたとの情報で16位でした。
スタートではエングに続いて2位スタートだったビットマンが
集団に呑まれて4位へ後退、代わってニコムラさんこと
アウディーのニコ ミュラーが2位へ浮上します。
しかし7周目にマイク ロッケンフェラーがトラブルで停止、
さらにロイック デュバルもグラベルに飛び出し、これで
SCが導入されます。
これを察知したのか、とても遅いアストンマーティン勢から
ポール ディ レスタがピット閉鎖前にピットへ滑り込む賭けを
行って義務を消化した上で隊列に並びます。
そしてなんと驚くべきことに、10位まで追い上げていたラストが、
なんとここでピットへ。DTMではSC中にピットに
入ること自体は可能ですが、義務回数にカウントしない、
という規則なので、2ストップ作戦を採用したことになります。
10周目、おなじみ2列リスタートですが、ピットに入った
ディレスタはまだ追いついていません、ラストは
ギリギリで駆け付けました。これがある種勝負のあやになります。
ライブで見ていた時には当然上位の映像を見ているので
全くマークしていませんでしたが、映像を見返すと、ラストは
リスタート直後から混雑しているライバルのいない方いない方を
うまくかいくぐり、引くところはきちっと引いて、まるで
その先で接触があるのを予め知っているかのように動き、
全部回避してなんとセクター3に入る時にはもう9位でした。
ライバルは既に使っているタイヤとはいえ、SCランで一度
冷えたのに対して、ラストは交換して隊列まで飛ばして
熱と内圧を上げながら、ほぼそのままよーいドン、だったので
タイヤの状態が最初から良かったのではないかと想像します。
実はライブ映像はYouTubeで見れない一方で、
車載は視聴可能、そして、公式サイトからのリンクでしか
見ることができないライブ タイミングの動画というのも
実は隠しアイテム的に存在していて、私はそれを見ながら
観戦していたんですが、今年の車両とタイヤの組み合わせ、
非常にタイムの落ち幅が大きく、タイヤの履歴がほんの7周ほどの
差しかなくても、タイムに1秒程度の差がありました。
ドライバーにももちろんよりますし真面目に計算は
していませんが、デグラデーション レートがだいたい
0.11秒/周~0.14秒/周 ぐらいの大きさ(燃料エフェクトを除く)
だったので、確かに7周でちょうど1秒ぐらいです。
というわけで、結果から言えばほとんどタイヤだけ変えて
何も失わなかったラスト、この後も速いタイヤで
信じられない勢いで順位を上げていき、14周目にもう
エングを抜いてトップに立ちました。いつDRSを使って
いつPTPを使ってるのか全然分からないんですが、
ギミックもおそらくフル活用だったことでしょう。
ただ実はこの段階で事実上のトップはディレスタでした。
既に義務を終えており、1ストップでおおよそ35秒程度の
ロスがあるため、実際は大量リードを有しています。
ラストの2回目のストップも終わって、ディレスタが
20秒近いリード、残りは15周ほど。
ただ、ディレスタはラストより1周で3秒近く遅いので
抜かれるのは時間の問題、どこで踏みとどまるか、と
思っていました。
しかし彼らは鬼ブロックして無理やり、なんてことは
考えていなかったようで25周でピットへ。悲しいかな
あまり速くないヴァンテージ、遅い者同士で仲良く
固まって走る場面ばかりが目立つんですが、

灰色と黒の違いはレースでは区別が付かないですね(´・ω・`)
ただタイヤはかなり新しいので、履歴差でディレスタは
ここから前を追うことができます。結果7位に入賞しました。
ラストは2位のミュラーに12秒の大差で優勝。
チーム ロズベルグはケケ ロズベルグが立ち上げたチームですが、
最近は息子のニコ ロズベルグもじわじわと関与して、
後を継ぐような雰囲気が少しずつ出ていると最新の
オートスポーツ誌の掲載されています。お父さんの影響で
子どもの頃はF1なんて興味なくてDTMが全てだったそうです。
ビットマンはリスタート後に追突されてスピンし
8位が精一杯でした。
SC中にタイヤだけ替える、という戦略はこれまでにも
稀にありましたが、どちらかというと全然争えない順位の人が
やる戦略だったので、非常に驚きと新鮮さのある展開でした。
DTMではピット内以外での無線は禁止なので、この戦略は
事前に話あわれていたプランの1つでした。
実際そういう状況になって、入るかどうか躊躇う可能性も
ありそうですが、ラストは忠実に『任務』をこなしました。
リスタートは一歩間違えれば隊列に間に合って
いませんでしたし、周囲の混乱という運もありましたから、
SC出たら入ればよい、という単純なものでもありません。
しかしまさしくアメイジングな勝利だったのは間違いありません。
途中でも触れましたが、ヴァンテージはなんとか開幕に
4台を並べたものの戦闘力不足は明らかでした。
タイミングを見ていても、計測点の通過速度が概ねライバルより
3~5km/hほど劣っており、車のレベルとして1~1.3秒ほど
負けている状態だなというのが率直な印象です。
基本的に共通の規則だし、HWAのデータがあるので
全く動かせないわけではないですが、エンジンの煮詰め具合も
そうですし、例えば全く開発できないGT3車両でも
セットの具合で全く別物の車になるわけですから、
開発期間が短くて、詳細を詰めるところに至っていないのは
間違いないなと感じました。
ただエンジンさえ揃えば、SUPER GTと比べても
空力面での開発などは極めて範囲が狭いので車両そのものが
決定的に遅すぎる、ということにはなりづらいはずで、
セットの詰めである程度挽回できると思いますから、秋に
ここへ帰ってくるころにはある程度入賞圏を戦える可能性は
じゅうぶんあると思います。
また、アウディー勢に駆動系と思われるトラブルが
相次ぎましたが、この新規則エンジン、振動による駆動系、
特にドライブ シャフトの問題がGT500でも多発して、
今でもちょっとオフに開発したら急にぶり返して来たりします。
こちらギアボックスが多そうですが、原因は似た部分に
あるかもしれないので、うまく対策を見つけないと
爆弾を抱えたシーズンになるので要注意です。
次戦は2002年以来の開催となるベルギーのゾルダーです。