ABB FIA Formula e Championship
私の解釈が間違いでなければ、スタートのある長いストレートの終わり、
2019 FWD Sanya E-Prix
Haitang Bay Circuit 2.236km
winner:Jean-Éric Vergne(DS Techeetah Formula E Team/
DS E-Tense FE 19)
FE第6戦は初開催の中国・三亜(サンヤ)。南部の島、
観光地としての開発が推し進められる海南(ハイナン)島の
南部に位置し、同島第2の都市だということです。
島の南部は熱帯気候に属する、というWikipedia情報の通り、
気温28度・湿度86%と蒸し暑い条件で開催されたレース、
現王者・ジャン エリック ベルニュが3戦連続リタイアから
ようやく復活の今季初勝利を挙げました。
予選では日産e.damsのオリバー ローランドが初PP獲得。
セバスチャン ブエミも狙える位置でしたが、スーパー ポールで
ブレーキが壊れたらしくクラッシュ&ピットからスタート。
フェリペ ナッサが発進できずいきなりFCY(その後動くもリタイア)、
前回やっちまったサム バードもストフェル バンドーンと
接触したようで両者リタイア。
そんな中、ローランド、ベルニュ、アントニオ フェリックス ダ コスタ、
ダニエル アプト、アレクサンダー シムズ、のトップ5が
膠着状態でレースは半分近くを走りました。
ローランドはややバッテリーを消費しながらの走行、
ベルニュはこの手段では真ん中ぐらい、一方ダコスタは
いちばん残し気味、という中で、ローランドは若干の
セーブを指示され、どうごまかしつつ走るのかな、と
思った矢先の残り約21分30秒、リフト&コーストした
一瞬の隙を突いてベルニュが並びかけてトップへ。
FEはバッテリー消費を抑えるためにリフト&コーストを
多用しつつ、抜くときにはそれをしないことでストレートの
終わりで並びかける、というのが一つのセオリーですが、
ベルニュはやはり経験が多いので、前に合わせて~前に合わせて~
合わせて~合わせて~、ぬ~、かずに合わせて~、入る!
という、狙いどころの見極めがやはり上手いなという印象です。
逆にローランドはセーブを指示されたところで、やはり
相手が真後ろにいなかかったことで一瞬警戒心が緩んだその
隙を見事に突かれました。
この段階で上位勢はにらみ合いだったために誰も
アタックモードを行使できておらずSC待ちな感じでしたが、
トップに出たベルニュが果敢にアタックモードを取得し、
ギリギリローランドの鼻先を抑える好プレー。
これで後方が大混雑となり、ローランドはブレーキ踏みつつ
ライン変えてダコスタと接触しつつも鬼ブロック。
これ少なくとも黒白旗でしょ・・・その後ろではシムズが
壁に当たって右リア破損で止まってしまいました。SC出動です。
多くの車はここでアタックモードを獲得。
リスタート直前ではなくSC導入後すぐ取りに行く車が
多かったですが、あわよくばSCが長引いたらSC中に
2回目も消化してやろう、という考えがあったのではないかと想像します。
そして結局回収に時間がかかるので赤旗になりました。これで
3戦連続です。
残り12分弱から再始動して、ほとんどの車が2度目のアタックモードを
ここで行使。エドアルド モルターラは線を踏み損ねて発動しなかった、
ようなグラフィックでしたが、実際には作動していたようです。
リスタート後の上位陣は膠着状態で、最後の最後には
8位のブエミがロビン フラインスに追突→
さらにルーカス ディ グラッシに追突、というブエミサイルが
発射されてディグラッシ撃沈(。∀°)
ディグラッシは激怒して二人のせいだと主張、結局ブエミに
10秒加算のペナルティーとなりましたが、ディグラッシとしては、
フラインスがえげつない防御をしたことも絡んだ原因だ、
そのせいで巻き込まれた、と言いたい様子です。
これでFCY下でのチェッカーとなりベルニュが優勝、
ローランドは優勝こそ逃しましたし正直汚いブロックでしたが、
新人にありがちな、一台にやられたらどんどん下がっていく
展開にならずに踏ん張って2位で日産としても初の表彰台です。
3位に入ったダコスタはこれで選手権リーダーに浮上、
1点差の2位に地味に加点するジェローム ダンブロジオ、
ベルニュも8点差の3位と急浮上。
6位のエドアルド モルターラまで10点差と接戦でシーズンは
ヨーロッパへと向かいます。
今年のFEは本当に週末ごとに、それもどちらかといえば
チームごとの勢力図で良し悪しが分かれており、始まるまで
誰が速いのか予想がつかず非常に面白いレースが続いています。
パナソニック ジャガーが昨年の流れからするともうちょっと
やれるかなと思ったらGen2にやや手を焼いているのか
結果が出ていないので奮起を期待したいですが、
一昨年のマヒンドラもヨーロッパに戻ったあたりから
急激に速さを付けたので、ちょっとしたきっかけでまだまだ
色んなチーム・ドライバーに勝てる機会が訪れるのではないか、
そんな期待が持てるシーズンです。
ちなみに、ベルニュはセーフティーカー手順違反で審議と
なっていましたが、SC中はSCの10車身以内にいることと、
過度な加減速、極端な低速走行などの行為をしないよう
定められています。
このコース、スタートとフィニッシュの位置が違う上に、
マーシャルの人も旗の振り方が下手くそなぐらいぎこちない
動きをしていたので、いつどこからレースが再開したのか
見ていて分かり辛いんですが、レースは
”第1セーフティーカーラインから追い抜き可能”な規則で、

ピット入り口の手前にある黄色い線が第1SCラインでここからが
追い抜き可能な場所だと思います。ベルニュはここまではゆっくり走って
ここから踏んで行っていました。
審議対象が10車身規則なのか、あるいはここのギリギリまで
全然加速しないで後続を引き付け続けたのが
『過度な低速走行』と解釈されたのか分かりませんが、
いずれにしても判定は『シロ』だったので、2戦続けて
表彰式で一番になった人がペナルティーで下がる、という
自体は避けられました。