ABB FIA Formula e Championship
2019 Antofagasta Minerals Santiago E-Prix
Parque O'Higgins Circuit 2.348km
winner:Sam Bird(Envision Virgin Racing/Audi e-Tron FE05)

 FE第3戦は中東・アフリカから南米へと移動してチリのサンティアゴ。
昨年とは開催場所が変わり、オヒギンス公園という
大きな公園の道路を使うことになりました。
 モビスター アリーナという大きな競技場や遊園地もある
複合施設になっているようです。
そんなわけで、市街地コースとは言ってもピットのエリアが
常設サーキットのように広々としておりストレートでも幅は広め、
ただインフィールドに入ると様子が一変して面白いコースです。
こちらバーチャル映像でコースを体験できますw
 なんというか、もうちょっと滑らかなドライビングしてくれへんかな・・・^^;
レースは想像以上のサバイバルとなり、サム バードが
今季初、通算8勝目を挙げました。初年度から5年連続優勝です。

 予選ではルーカス ディ グラッシがPP獲得、、、でしたが、
予選後に抹消裁定。その理由は
『インラップにアタックラップより多くブレーキを踏んだから』
 何のこっちゃ、という話で、J SPORTS陣もなぜこんな規則が
あるのか分からなくて解説されなかったので、自力で
海外サイトをいくつか漁ってみました。

 どうやら発端は、前戦マラケシュの予選で、アタック後の
ピット入り口で玉突き事故が起きたことになったようです。
 これは、アタックを終えたトム ディルマンの車両が
ピット入り口でブレーキが効かずに追突事故を起こしたもの。
 元々FEの規則では、インラップはアタックラップの120%以内の
タイムで戻るよう競技規則33.6で規定されています。
 方や、FEの車両というのは回生ブレーキありきの設計であり、
ブレーキ本体の能力は決して絶対的に高いとは言えず、また
回生ブレーキは、バッテリーがフル充電になると、俗に言う
『回生失効』を起こして全く効きません。
 このあたりの兼ね合いで、いざブレーキを踏んだはいいが
何らかの理由でトラブルが発生しディルマンは減速が
できなかったと考えられます。

 これにより、この週末に規則が追加され、
『ドライバーはいかなる理由があってもアタックラップより多くの
 回数のブレーキを踏んではならない』という規則が
追加されたようなのです。
 それも、競技規則の改定にはおそらく所定の手続きが必要であるためと
思われますが、この規則は競技規則27.9に基づいて発令されたと
あるサイトに書かれていました。

 この27.9に書かれている内容はというと
Its is mandatory to follow the instruction manual
from the FIA-designated supplier at all times.
常にFIA指定のサプライヤーからの取り扱い説明書には従わなければならない

 どうもこの新しい規則は、シャシー製造者である
スパーク エンジニアリングからの『車両の取り扱い』に関する
要望を受けたものとなっているようです。な、なるほど。。。

 「モータースポーツ史上最も愚かなルールによって予選を台無しにされた」
レース前のディグラッシはこう話しますが、
使い古された言葉があります。『ルールはルール』
ということで、日産e.damsのセバスチャン ブエミがPPになりました。
2位はマヒンドラのパスカル ベアライン。
好調のはずのテチーター2台は今回後方に沈みます。


 気温が40℃を超えるシリーズ史上最大の暑さの中
決勝スタート。スタートを決めたブエミはベアラインを引き連れて走行。
日産は唯一の2モーター方式ではないか?との噂があります。

 ブエミは開始6分半ほどで早くも一度目のアタックモードを発動。
今回はターン3のアウト側にアクティベーションがあり、
4分間の作動時間で計2回使用義務があります。

 後方グループはタイトなレイアウトとやや実力を反映していない
予選順位が相まったか接触が多発。
アンドレ ロッテラーのミサイルで玉突きになり、2台前方にいた
チームメイトのジャン エリック ベルニュが撃墜されました( ゚Д゚)
 去年はこの2人がワンツーで走っていてロッテラーがオカマ掘って
危うくリタイアしかけましたが、ロッテラーは間接的に去年の続きを
やりたかったようです(。∀°)

イメージ 1

イメージ 2
他にも事故多発・・・

 開始12分、4位スタートから3位に浮上していたバードが
アタックモードを使ってターン1でベアラインを抜き2位へ。
ここだと25kwアップで最高速が12km/h前後伸びるようです。
抜けるけど楽じゃない絶妙な感じですね。

イメージ 3

 18分ごろにはマキシミリアン ギュンターが止まってしまい
FCY発令。バードは既にブエミの真後ろに迫っており、
FCY解除が早押しクイズみたいになりますがブエミは凌ぎます。
 ストフェル バンドーンは解除の後になぜか急に曲がらず
壁に刺さる自損事故、これでウイング~カウルの大きな部品を
落としていったためまたFCYとなります。
イメージ 4

 ところがこのFCYでブエミは大損をしてしまいます。
発令直後にちょうど失速していた手負いのバンドーンに
よりによってタイトなヘアピンで追いついてつかえてしまい、
ほとんど止まるぐらいにまで減速を余儀なくされた結果、
FCY中速度を守っていただけの3位ベアラインが追いついてしまいました。
今度は3台で早押ししないといけません。

 今度はインフィールドで解除されたので即抜かれることはなく
再始動したブエミでしたが、それからわずか数周後、
ブエミまさかのミスでウォールに直撃。
これで日産の優勝は潰えました。
イメージ 5
 この後ベアラインがバードに猛アタック。2度のFCYである程度
バッテリー残量に余力ができましたが、バードより僅かながら
多く残しており、アタックモードで仕掛けていきます。
 しかしそこはFE大ベテランのバード。フェアながらも巧みに
新人を抑えてアタックモードを終了に追い込みます。
 そしてオリバー ローランドもクラッシュして日産も
終了に追い込まれました。

 この頃からベアラインはストレートでラインをズラして
明らかに冷却の問題に直面していたようですが、アタックモードが
切れてしまうとここから残り2分というところで一気に減速。
路面温度が60℃を超える過酷な条件で、明らかに攻めすぎて
オーバーヒートに見舞われており、無線でも後ろの
アレクサンダー シムズとの差を伝え始めます。

 とにかく車を持ち帰れ、という指示で3位とのギャップを使い切って
ベアラインは2位チェッカー。3位のシムズは結局接触による
ペナルティーで順位を下げ、ダニエル アプトが3位に滑り込み。
 そしてトップのバード、喜び爆発、の最中に
『重量規定違反の疑いで審議中』という情報が流れ、
あ、またか、と思わされましたが、結局お咎めなしだったようで
優勝取り消しの悪夢にはうなされずに済みました。

 接触多発、加えて熱が関係したようなトラブルもあって、
22台中完走はわずか14台。45分間一瞬も目が離せない
すごいレースでした。
 勝者が毎戦入れ替わる中、これで優勝したバードが
選手権でもトップ、今回10位に終わったジェローム ダンブロジオが
2点差で2位となっています。
 全戦やらかしたアントニオ フェリックス ダ コスタが
15点差の3位、本命のはずのベルニュとロビン フラインスも
同じく15点差で並んでいます。

 次戦はメキシコシティー、また日本時間だと深夜~早朝です(> <)