2018 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL
ツインリンクもてぎ 4.801km×53Laps=254.453km
(GT300 class Leader:49Laps)
winner:LEON CVSTOS AMG 黒澤 治樹/蒲生 尚弥
(Mercedes AMG GT3/K2 R&D LEON Racing)
SUPER GT最終戦、GT500クラスはタイトルを争う2台が同点で
『先にゴールした方が勝ち』だったため分かりやすいレースでしたが、
GT300は真逆の展開になりました。
ARTA BMW M6 GT3の高木 真一/ショーン ウォーキンショーは
12点をリードしており、4位以内なら自力でタイトル確定。
ライバルからすれば最低でも表彰台、事実上は勝たないと権利が無い、
という状況。
ただ、F1なら選手権でリードしている人が4位に入るのは
トラブルや事故が無い限りなかなか覆せませんし、GT500でも
まあメーカー内の融通でその辺までは行ける確率はかなり高いですが、
GT300となると『味方』がいないうえに、最終戦はウエイト ハンデも
無いためかなり敵が多くなってしまいます。
選手権リーダーであっても上位にいれるとは限らないわけで、
じゃあ上位に行けないとどうなるかというと、ライバルが万一
先頭を走るとお手上げになってしまうわけです。
SUPER GTは結構このパターン多いです。
そして、最終戦でこのパターン発生。優勝したのは
今季一度も表彰台に乗っていないのに選手権2位だったLEON AMG。
ARTAは9位に終わり、逆転でチャンピオンに輝きました。
![]() 1点獲得は逃しますが好位置でスタート。
グッドスマイル初音ミクAMGが3位、GAINER TANAX GT-Rが6位、
TOYOTA Prius apr GTはちょっと離れて8位、ARTAは10位となります。
K-tunes RC F GT3がコンテンダーでは最後方の12位スタート。
さすがにこれは苦しい。
仮にこのままの順位だとLEONが逆転チャンピオンですが、
ARTAは8位に上がればそれを阻止できます。そうなると
LEONは勝つ以外に道は無く、1位ならARTAは4位まで上がる以外に
道がありません。
しかしスタートするとすぐLEONは立て続けに抜かれて5位へ後退。
初音ミクが2位に浮上します。LEONは前2輪交換をよくやるので、
戦略的にペースを上げていないと見て間違いないですが、
初音ミクもトリック大好きチームなのでピット戦略は似た条件と
考えておく必要がありそう。誰が有利なのかよく分からんことに
なってきたぞ(´・ω・`)
5周目、そのLEONにプリウスが追い付きターン2~3の
直線で並ぼうとしますが、平手 晃平が左に行こうとしたら
黒澤が鬼ブロック。明らかに相手の進路を塞いでいる上に、
仕方なくアクセルを戻してダートに出てしまった平手が
今度は右へ行ったら右へ動き、さらにブレーキングでもラインを
変えながらターン3へ進入。けっこう悪質だと思いました。
記録上黒澤に黒白旗が一度掲示されたようなので、おそらく
この時のものだと思いますが、個人的にはやりすぎだと思いました。
このあともずっとこの2台の争いが続きます。
その間マネパウラカンはどんどん後続を離していき、
初音ミクはSUBARU BRZ R&D SPORTとGAINER GT-Rを
従えて周回。後ろで延々LEONとプリウスが争ってるので
離れるかと思いきやさほどペースは変わらないようで、
初音ミクから見て5秒程度の差のままのようです。
ウラカンも意外とリア2輪交換は当たり前、のところなので、
給油が長いとはいえじゅうぶん勝てそうな流れ。
ところが、なんとそのウラカンが左リアのパンクで緊急ピット。
幸い残りの周回数は2/3以下になっていたので、パンクしたまま
半周ほど走って見かけ上リーダーの状態でピットへ。
この周にLEONも入り前輪交換どころか無交換でコースへ。
マネパがその後ろでコースに戻ります。
そして、タイヤを替えて出ていったのに、フェンダーが
壊れて干渉でもしていたのかまた同じタイヤが壊れてマネパ再ピット。
完全に勝負権を失いました。
Hitotsuyama Audi R8がおんなじパターンでリタイアしていたのを
最近見たばかりな気がしますが、兄弟車だからってトラブルまで
共有しなくても・・・
LEONの動きを見てから、ということだったのか、
初音ミクは左側2輪交換で作業終了。
しかしコースに戻った時点で無交換のLEONが既に先行。
あとは後半のペース次第です。
ARTAは自力ではなかなか順位を上げるのが厳しくなり始めており、
マネパが脱落したのはかなりの痛手。
一方前が開けたプリウスはペースを上げて、コース上で
BRZを抜き、GAINERもピットに入ってクリーン エアーで
さらに引っ張ります。
そしてプリウスもタイヤ無交換で勝負に出ましたが、
やはり前に出たのはLEONでした。
ただ、LEONがいなくなった後プリウスがペースを上げることが
できた、という点から、ひょっとするとまた追い上げられるかも
しれない、とプリウスを応援している私は期待しましたが、
少しずつ離されて行きます。チームのレース後情報によると、
タイヤのピックアップに苦しんでいた、とのことです。
そしてARTAもピットを引っ張って無交換で、
見た目上6位で復帰。
ただ、この位置ではLEONとプリウスのどちらが勝つにせよ
チャンピオンを逃すことになり、タイヤを替えていない状態で
ここから前に追いついていくのも容易ではないため、
こうなるともう6位を維持でも守りつつ、誰かがトラブルで
落ちてくれることを待つ以外になくなってしまいました。
しかし四輪交換のBRZにすぐさま仕掛けられ、接触で
右側のミラーと順位を紛失。敗色濃厚という感じです。
残り周回数が一桁になってから、ピックアップが取れたらしい
プリウスが追い上げたものの10秒近くまで離れた差は
埋められるはずもなく、一方ARTAは抜かれる一方で10位へ。
LEONがトップでチェッカーを受け、初のタイトルを手にしました。
昨年は2勝を含む3回の表彰台も5点及ばず敗れましたが、
今年はこの最終戦だけが表彰台でチャンピオン。
チームも今年はとにかく取りこぼしを減らそうと言っていたそうですが、
その言葉通り全戦入賞。一方ARTAは2勝しましたが
無得点が2戦ありました。
個人的にはあの鬼ブロックは5秒ペナルティーが妥当かなと
感じましたが、残念ながらSUPER GTにはドライブスルー以下の
ペナルティーがありません。
結果的にあの争いはチャンピオンを決める攻防となっていた可能性が
高かっただけにちょっと引っかかりましたが、
コツコツと点数を積み重ねたLEONのシーズンは、地味ですが
見事でした。
彼らの総獲得ポイントは68。
シーズンによってもちろん点数配分やらウエイト制度やら、
長距離戦/PP/最速ラップのボーナスやらの違いがありますが、
基本的な優勝=20点、2位=15点、という枠組みにはあまり
大きく変化がありません。
そんな中、70点以下でチャンピオンを獲得したのはGT300では
2001年のダイシン ADVAN シルビア 大八木 信行/青木 孝行(66点)以来。
しかしこの年はシーズンが7戦で、1戦平均にすると9.4点。
今年のLEONの2人は平均8.5点で、これはGT史上最少の数字。
また、ハンデ制のために『勝たずにチャンピオン』は
時々誕生するGTですが、『一度しか表彰台に乗らずにチャンピオン』
は両クラスを通じて史上初めてです。
非常に混戦だった、BoPがうまく機能して接戦になった、
とも言えますし、本命が不在になったからこそ、コツコツ
稼いだLEONが選手権2位で最終戦に入れた、とも言えそうです。
なお、植毛GT-Rは予選28位、決勝は1周遅れの26位でした。
arto RC Fとの順位争いが熱いですね!w |