2018 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL
ツインリンクもてぎ 4.801km×53Laps=254.453km
GT500 class winner:ARTA NSX-GT 野尻 智紀/伊沢 拓也
      (Honda NSX-GT/AUTOBACS RACING TEAM AGURI)

 SUPER GTもいよいよ最終戦です。どうでもいいけど
なぜ日本のレース業界の人は、『グランドファイナル』とか、
2ヒート制レースにわざわざ『ファイナルスプリント』とか、
大仰な横文字を並べたがるんでしょうか。個人的にはなんか
『スベリ芸』にしか見えないんですけど(´・ω・`)

 GT500クラスのチャンピオン争いは、
RAYBRIG NSX-GT 山本 尚貴/ジェンソン バトンと
KeePer TOM'S LC500 平川 亮/ニック キャシディーが同点で迎え、
3位以下は点差があるために、事実上彼らのうち前で終えた方が
チャンピオン、という状況でした。
 そしてその攻防はレースの最後まで続くことになりましたが、
見事RAYBRIGか逃げ切ってチャンピオン獲得!
レースはARTA NSX-GTが制しました。

 大事な予選ではARTAがPP、2位がRAYBRIG、そして3位に
EPSON Modulo NSX-GTとNSXが上位独占。
もてぎといえばかつてのNSX時代にはミッドシップのために
とにかく相性が良いことで有名でしたが、もてぎでNSXが予選
トップ3独占は2005年以来。この時のポールもARTAでした。
 一方KeePerは6位に留まり、レクサス最上位は4位のZENT CERUMO LC500。
2台の間にKEIHIN NSX-GTがいるのでおいそれと入れ替われず、
一方でRAYBRIGから見れば、PPの1点こそとれなかったものの、
後ろに壁が2枚と、いざという時の切り札が前に1枚。
 頼りにしたかったチームメイトのau TOM'S LC500はQ1で
スナーバックスへ買い物に行ってしまいまさかのビリ。
展開的には有利な情勢です。
 GT-R?そんな車このレースにはいないですよ?(´・ω・`)


 さあ決勝レーススタート!ホンダは同士討ちしたくないから無理s・・・
イメージ 1
露骨に距離開けすぎや!w ターン1で既に2秒以上離れた3位以下^^;
2003年の最終戦でモチュール ピットワーク GT-Rが明らかに故意に
離れてスタートした時に、ピットの道上 龍が「わざとやろあれ~」
って言ってたのを覚えてますが、怒られない程度にEPSONが仕事してますw

 KeePerのキャシディーは冷えたタイヤでKEIHINを外から抜いて、
なんならそのままZENTに追突しそうなぐらいの旋回速度で
ターン1~2を通過しまず壁を一枚突破。KEIHINはこの時軽く
接触したようで、そのせいかこの後フードが浮いてピットへ^^;
 すぐにZENTが譲るのかと思いましたが、ペースに大差ないせいか
順位はそのまま。
 ARTAとRAYBRIGも似たペースで走行し、3位のEPSONが
そこそこの距離を開けている状況です。
RAYBRIG→KeePerは5秒以上離れています。

 19周を終えると真っ先にARTA、21周目にEPSONとZENTが
ピットに入り、これで見かけ上タイトルを争い2台がトップ2。
 両者の差は一旦少し縮まったものの、スティント終盤は再び
RAYBRIGが優勢。
 タイヤ無交換というギャンブルの可能性が、特にこのままでは
負けてしまうKeePer側にあるため、RAYBRIGは相手が動くまで
自分たちは動かない構え。それを知っているので、手の内を
見せたくないKeePerも相手が動くまで動かない構え。
 で、結局30周まで引っ張ってRAYBRIGが入り、KeePerも
合わせて入りました。

 どうやらKeePerには無交換のオプションはあったようですが、
キャシディーからのタイヤ情報と、差が開いてしまって無交換でも
逆転できるか怪しい状態なことから普通に四輪交換。
RAYBRIGももちろん四輪で、結局何も起こらず2台ともコースへ。

 が、2台とも引っ張りすぎたので、ZENTとEPSONがRAYBRIGを
アンダーカットしてしまいます。ちょうどこの2台がピットに入ったころに
ZENTがEPSONをようやく半日がかりで攻略していました。
 KeePerに至っては2台のLC500にアンダーカットされ、
平川はパッシングの嵐ですw

 RAYBRIGはEPSONはすぐ譲ってくれるからいいものの、
ZENTに嫌がらせをされると困るので、バトンは全力でタイヤの
新しいうちに攻撃。
 しかし石浦 宏明は汚いと言われない上手い動きでバトンを抑え、
バトンもあまりやりすぎでタイヤを潰したら意味が無いので
諦めて順位維持に切り替えます。

 ここでZENTも抜かれない程度にペースを落として、KeePerが
やってくるのを待つ、みたいなことも起こり得るわけですが、
そうした選択はせず、石浦は優勝を目指して前を追いかけました。
石浦先生さすがです!

 一方身内にどいてもらったKeePer平川は37周目のターン5で
ゴリゴリEPSONのインに入って4位浮上。
イメージ 2
道幅がもうないよ!

公開された車載を見ると、無理に入ったというよりは、外を窺ってから
フェイントでインにラインを変えたら予想外に松浦 孝亮の
ブレーキが早かったので入ってしまった、という感じにも見えます。

 ともあれ、これで平川はようやく対戦相手と直接争う環境を整えました。
ここから飛ばして距離を詰めていき、残り9周ではとうとう1秒差に。
 一方その頃、頑張っていたEPSONはauに当てて回されました(T_T)

 残り5周、とうとう1秒以内にまで迫った平川ではありましたが、
見るからに目一杯で余裕がなくとても自分で仕掛けられそうには
無い感じです。ここまでに既にタイヤを使ってしまっている、
というのが見て取れました。
 方やバトンはZENTとの争いを捨ててきちんと管理をしていたので、
確かに真後ろまで来られてはいるんですが、慌てている様子は
見えませんでした。
 GT300に詰まっても、バトンはきちんと抜かれないように対処して
周回を消化していき、最後は平川が力尽きたように離れました。

 RAYBRIGとKeePerに万一のことがあればまだチャンピオン獲得の
数字上の可能性があったARTAがトップでチェッカーを受け、
ZENTが良いレースで2位でフィニッシュしましたが、
視線はもちろんその後ろに注がれており、
バトン、ウエービングをしながらチェッカーを受けました。
 確かもてぎって昔はコントロールラインとフィニッシュラインが
異なっていて、ゴールしたと思って余裕かまして
ウエービングしてたらすごい追いつかれてあわや大逆転負け、
というような映像もあったので、どうしても私は
「ちゃんとチェッカーまでアクセル踏んでるやろな・・・」と
心配になるんですが、バトンは昔のこと知らないから大丈夫でしたねw
(オートスポーツ誌の編集後記でも同じこと書かれてた)

 チーム国光にとっては初のGTタイトル。
山本はスーパーフォーミュラと2冠で、これは2004年の
リチャード ライアン以来です。
バトンは参戦1年目でのチャンピオンで、F1と両方のタイトルを
持っているのはもちろんバトンが初めて。

 思い返せば3月、岡山のテストで、
『一日全部バトンに与えて山本は一切乗らない』という大胆な
策を講じてバトンの習熟を優先させたことから始まりました。
山本は、決してそれが面白いことではないと認めながらも、
自分たちが勝つためにはバトンが戦える土壌を作ることが
最も効果的、とバトンに託していました。
 そうそう慣れるものではない、コバライネンでも1年では無理だった、
F1とは違う、周回遅れの処理は一筋縄ではいかない・・・
色々なネガティブ要素が語られ、実際そうした壁に当たってきましたが、
バトンは決して引退後の道楽ではなく、真剣に取り組んできたからこそ
最後の局面で冷静に戦えていたんだと思います。
やはりF1でタイトルを獲る人間の技術力の高さは伊達ではない、
というところもあったでしょう。正直ここまで戦えるとは
私も思っていませんでした(´・ω・`)

 そして山本は、速い速いと言われつつ、前回のSFのタイトルは
『相手が欠場してたから』という注釈が付けられ、GTではNSXの
低迷もあって、『NSXの中では速い人』とこれまた注釈が付くような
立ち位置で過ごしていただけに、今年の2冠というのは、
「注釈抜きに山本尚貴は速いんだ」とモータースポーツ界に
見せつける見事なシーズンとなりました。
 どちらかというと、勝たなきゃいけない、負けたら終わり、
そんな精神状態ににわざわざ持っていって自分を追い込んで
レースに入り込むタイプの選手だと思いますが、
これでまた一段何か突き抜けそうな気がします。


 今年は第7戦から日産がいなくなってしまって寂しかったので、
来年はぜひ最後までフル参戦してレースを盛り上げてもらいたいです(←オイ)
正直ここまでもてぎで戦えないとは思ってなかったですね・・・