2018 AUTOBACS SUPER GT Round 7 AUTOPOLIS GT 300km RACE
オートポリス 4.674km×65Laps=303.81km
GT500 class winner:KeePer TOM'S LC500 平川 亮/Nick Cassidy
                             (LEXUS LC500/LEXUS Team KeePer TOM'S)

 SGT第7戦オートポリス。2015年以来となる秋開催です。
GT500クラスでは、ここを比較的得意としているトムスが
レースで強さを発揮、KeePer TOM'S LC500がレースを制し、
ドライバー選手権争いはなんとトップ2が同点という状況で
最終戦を迎えることになりました。

サムネイルでネタバレやめて!という声に応えたのか、なぜか
満面の笑みの道上さんがサムネイルw

 予選ではARTA NSX-GTがPP、2位にKEIHIN NSX-GT、3位に
選手権リーダーのRAYBRIG NSX-GTとNSXがトップ3を独占。
その後ろにau TOM'S LC500、KeePer LC500と続きます。
いずれもハンデが40kg以上の選手権で上位の車たちで、
車の軽さ<セットアップ の傾向が出ます。
GT-Rはいたのかどうかすら怪しいレベルの存在感で、全車Q1落ちでした。

 決勝、唯一燃料流量にまでハンデが及んでいるRAYBRIGは
いきなりauに抜かれ、さらにKeePerもターン1から先で襲い掛かりますが
ここはジェンソン バトンも鬼ブロック。ただ残念ながらその後
やはりKeePerに抜かれてしまいます。

 11周目、auの中嶋 一貴がKEIHINの小暮 卓史を第2ヘアピンで
軽く接触しながら抜いて2位に浮上。KEIHINの左のミラーが
飛んでいってしまいました( ゚Д゚)
 さらに12周目のストレートでGT300に詰まったARTA伊沢 拓也も
抜いてあっという間にトップに浮上。その後ペースが今一つ上がらないのか
ARTA、KEIHIN、KeePerは三つ巴の展開、その間にauは
逃げていきました。
 ところがauが8秒まで差を広げた20周目、GT300で
TOYOTA PRIUS apr GTがちょうどこの3台の目の前で、
ラインをゆるゆると外れて砂場へダイブ。すぐ脱出できずに
SCが入ってしまい、中嶋が築いたリードは台無しに。
 また、2ピット作戦で14周目にタイヤを替えていた
WedsSport ADVAN LC500は、これによってロスの大半が
帳消しとなって有利な状況となります。

 25周目からリスタートとなり、RAYBRIGはここで先にピットへ。
次の周にKEIHIN、その次にARTAとホンダは統率をとったような
流れでピットに入り、アウト ラップが速かったKEIHINがARTAを
アンダーカットします。
 これで見かけ上トップ2となったトムスは29周目に2台同時にピットへ。
ピットを終えたNSXのペースよりも、その間の中古タイヤのトムスの方が
タイムが速かったためこの2台は実質トップ2を守ったまま
タイヤに熱を入れるところへとこぎつけることに成功しました。

 RAYBRIGは一時8位まで後退したところから山本 尚貴が
コツコツと追い抜きを繰り返して順位を上げていき5位まで挽回。
 一方、2回目のピットを行ったWedsSportは3位でコースに復帰し、
10位スタートを考えると大幅に順位を上げてSC様様な状況。

 RAYBRIGがペースを維持してZENT CERUMO LC500もなんとか
攻略しようと戦う一方で、ARTAは全くペースが上がらず苦戦して
渋滞発生、そして47周目にMOTUL AUTECH GT-Rに当てられて
完全に戦線から離脱します。MOTULの松田 次生、目の前の車を
抜くことに気持ちが行き過ぎて、ブレーキングで2台前方の車を
撃墜するという、GT SPORTならマッキーさんブチギレなやつを
やってしまいました。
 冷静なドライバーに見えますが、彼はこういう、焦っていらない
接触をする癖が時々見受けられますね。。。

 この接触で火花を飛ばしながら走ったことが原因か、
コース脇の芝生から火が出てしまい、ひょっとしてこれでSCか、
と思われましたがなんとか鎮火。
 そして芝生の火とともに消えたのが、au・関口 雄飛のペース。
安定して僚友との差を維持していたかに思われましたが、
60周目に差が詰まったな、と思っていたら、関口が滑って一気に
差が縮まり、そのままあっさり順位交代。
 抜かれた前に滑っていたので、ミスってペースが落ち、
仕掛けられた際には大人の対応をした、とも考えられますが、
単純にオーダーが出てゆっくり走らざるを得なかった、とも
思われる微妙な動きでした。

 ともあれ、この後は抜きたそうな関口を平川が従えたままチェッカー。
トムスは今季2度目のワンツー達成。
そしてWedsSport、ZENT、とLC500がトップ4を独占することに。
RAYBRIGはZENTを捉えきれませんでしたが、そもそも
ハンデを考えれば5位は上出来なはずです。


 これでKeePerとRAYBRIGは67点で同点となりました。
タイブレイカーは、双方とも1勝ずつなので、2位の回数が多い
RAYBRIGの方が有していますが、同点の状態でレースに入るので、
ほとんどの場合同点で決着が付くケースはないと思われます。
 譲った関口は12点差の選手権3位なので、サポート係兼
何かあった時係となる模様。
ARTAは20点差なので、前が総崩れしない限りタイトルはありません。


 GT-R勢はレースでもフォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rの
7位が最上位で唯一の入賞。元来ミシュランGT-Rはここを
得意にしていただけに全く勝負にならなかったのは驚きです。

 NSXははやり懸念されたピックアップ現象に苦しめられたようで、
トムスは2年ほど前から、どうも特にキャシディーが
対策法のある程度の把握をできている感じで、チームとしても
ある程度対応ができていると思われます。
 J SPORTSの放送でもちょっと混同して使われているので
今一度整理しますが、主にドライバーが苦しんでいるピックアップ現象、
いうのは、表面のゴムを溶かして、それを地面に張り付けながら
走ることで性能を出すレーシング タイヤが

『タイヤのゴムが路面に行かず、表面側に残ってしまって凹凸を作り
 グリップ力が低下してしまう現象』を指します。

 もちろん、路面のタイヤカスを拾ってしまうのも同様の結果を
生み出しますが、多かれ少なかれレースしていれば拾ってしまう
タイヤカスの話ではなく、タイヤの摩耗現象の1つとして出てくるものが
各陣営を悩ませています。

 詳細なメカニズムは未だ解明に至っていないところがあるようですが、
基本的にはグレイニングと同じで、タイヤが作動温度領域に
きちんと到達していなかったり、荷重がきちんとかかっていなかったりして
『ゴムがきっちり溶けていない』『きちんと路面側に押し付け切れていない』
ことが発生しやすい条件になっている模様。
 NSXはMR車両で前への荷重がどうしても少ないので、
こうした問題が起きやすいのでは?というのが今のところの
見解だと思われます。


 次戦は最終戦もてぎ。事実上『2台のうちどちらが前で終えるか』
ですが、空気を読まずGT-Rが間に入って邪魔をするのかにも注目です。