2018 DTM Round7 Misano
Misano World Circuit Marco Simoncelli 4.226km
Race 1 winner:Paul Di Resta
(Mercedes-AMG C 63 DTM/Mercedes-AMG DTM Team HWA)
Race 2 winner:Joel Eriksson
(BMW M6 DTM/BMW Team RBM)
DTM第7ラウンドはイタリアのミザノ。イタリアでの開催自体が
2010年のアドリア以来で、しかも今回DTM史上初のナイト レースです。
アドリア全然覚えてないw
そして今回、ゲストとしてアレッサンドロ ザナルディーがBMWで参戦。
2001年のCARTのレースで大事故により両足を切断、そこから
諦めずにレースに復帰、さらに車いす走者としてパラリンピックに出場し
ロンドンとリオデジャネイロで各2個の金メダルを獲得した
51歳が特別に改造されたM6 DTMで参戦。話題の多いイベントでした。
そんな話題多きレースは、シーズンを左右するかもしれない
大きな二戦となりました。
土曜日のレース1は選手権2位のポール ディ レスタがポール トゥー ウイン、
タイトル争いを一気に振り出しに戻しました。
ミザノは生憎の天候で、スタート時も雨はないものの路面に水が残る状況。
ディレスタは蹴り出しで明らかに出遅れますがなんとかトップを維持、
選手権リーダーのゲイリー パフェッツが4位から2位へ浮上します。
3周目にロイック デュバルとフェリペ エングがピットに入り、ここから
じわじわとドライへのタイヤ交換が始まります。
ディレスタとパフェッツは6周目に入り、パフェッツの背後には
4周目に既にタイヤを換えているエドアルド モルターラ。
メルセデス同士なので無理せず、となるかと思ったら
モルターラが冷えたタイヤのパフェッツ相手に突っ込みすぎて
オーバーシュート^^;
さらに翌周、今度はパフェッツが同じコーナーで思いっきりロックさせて
コース外へはみ出し、戻りかけたところでモルターラと側面衝突。
これでパフェッツのサスペンションが壊れてリタイア。なんと
メルセデスの同士討ちで選手権リーダーが脱落するという
やってはいけないミスが起きてしまいました。
今回ちょうどパフェッツの車載がライブ配信対象でしたが、こちらは
無線も全開放されているため、事故直後、怒りまくって放送禁止用語を
連発する様はドライバーの生の感情を見ることができます。
(ライブなので無修正)
これでSCとなり、この時点で4人がピットに入っておらず勝負権無し。
このうちザナルディーは、このままだと4位からリスタートで危ないからか
SC中にピットに入りました。
(SC中もピットに入って作業するのは自由で、ピット義務に
カウントされないだけです)
リスタートされましたが誰が考えても分かる通り混とんとして、
ここでエングがディレスタの前に出て実質のトップ。しかし事故多発で
再びSC導入。
17周目の2度目のリスタート後はディレスタが再浮上しますが、
エングも再びディレスタのミスを突いて順位を奪い返します。
エングはその後リードを広げていき勝利が見えたかに思われましたが
23周目あたりから急激に失速。25周目、とうとうディレスタが前に出ます。
ただ抜いたのはちょっとコース外からっぽい動き。このコースは
あちこち白線外を走るコースなんですが、さすがにこれっていいのか?
モルターラもエングを抜いてメルセデスのワンツー。
エングが途中小突かれて右リアのフェンダーを壊したせいもあって
どんどんと抜かれていきました。
ディレスタはこのまま逃げ切って、これで選手権でなんと
無得点のパフェッツにわずか1点差( ゚Д゚)
2位は最後の最後にモルターラを抜いたロビン フラインスでした。
そして日曜日、またも不安定な天候のレースは、ルーキーの
ジョエル エリクソンがまさかの初優勝を挙げました。
PPはなんとロイック デュバル。しかし本日も前日と同じような
不安定なコンディションでスタート大失敗(。∀°)
モルターラ、ダニエル ユンカデラが先行します。
この日も3周目からちらほらとタイヤをドライへ換える人が出てきますが、
解説のトーマス ビアッジは
「私見だがセクター3でまだ水しぶきが上がっていて、ここは高速の
セクターだしスリックで走るにはまだ早いと思う」と指摘。
その指摘は正しいようで、タイヤを換えた人のペースが速いようには
見えません。
そんな中6周目に2位のユンカデラ、7周目に3位デュバルと4位ディレスタが
入って行きますが、その直後に再び大雨が降りだします。
コース上大混乱、デュバルは慌ててすぐまたピットへ、しかし
その後ろにいたユンカデラはとてつもなく撮っ散らかってピットに入れずもう1周^^;
で、1周したらもっと状況は悪化するわけで、
なんか色々破壊して最後はピット入り口で停止。大失敗(。∀°)
慌てて入った他の人たちも大混乱で、パフェッツもピットを普通にこなせず
大量の時間を失ってしまいました。
上位陣はモルターラ、レネ ラスト、フラインス、ザナルディー、エリクソンの
5人がスタートからのウエット タイヤを吐き続けて未だピットなし。
ここから9周目にエリクソンがピットへ。
しかし他の上位陣は留まり、12周目にルーカス アウアーが
壮大にすっ飛んでグラベルにはまりSCとなりました。
やっちまったぜステイ アウト組・・・
しかし、この時点で既に2ピット&取っ散らかりすぎて、6位の
デュバル以下はなんと周回遅れ。いつもなら
SC導入時に入ってない=入賞すら絶望的、ですが、今回は少なくとも
5位以内にはなれる状態で、いかに展開が普通でないかが分かります。
危ないので2列リスタート無しで迎えたリスタート、ここから
モルターラは猛プッシュ、1回分のピット時間を稼ぎに行きます。
18周目、ピットのもたつきで入賞圏外のパフェッツではありますが
ユンカデラに押されてスピン。またメルセデスの身内にやられた・・・
この周にザナルディー、22周目にラスト、そして25周目に
モルターラがピット。ザナルディーはペースは速いわけではないですが
デュバルが元々周回遅れなので大きく離れていてフリー ストップでした。
このままいけばなんと5位入賞です。
29周目にようやくフラインスも入ってこれでエリクソンが
ようやく見た目でもリーダーに。モルターラは猛プッシュを
続けて、ピット後15秒以上あった差を毎周3秒ほど追い上げて
最終周には4秒以内の差で入りましたが、さすがに届きませんでした。
ちょっと緊張したかもしれませんが、20歳のスウェーデン人、
エリクソンがDTM初優勝。
ザナルディーは運があったとはいえ5位という予想外の結果を出しました。
ただ、彼はゲストのため得点はもらえず、以下のドライバーが
繰り上げで点数をもらえることになっており、6位のディレスタが
5位相当の10点を獲得。選手権で9点差のトップとなりました。
モルターラは新しいレインタイヤの速さに賭けてもう少し
早めにピットに入っても良かった気がしますが、序盤の多くの
ドライバ―共々、DTMはチーム→ドライバーの無線が禁止で
ボードしか指示系統がないため、瞬時の機動的判断が難しかった、
というのはあるでしょう。F1と同列には語れません。
まさかこんなにあっさり逆転するなんて、しかも原因が
メルセデスの同士討ちなんて、新人が勝つなんて、
ザナルディーが入賞なんて、などなど驚きだらけのレースでした。
メルセデスの同士討ちで、リードしてた人がやたら損して選手権で
順位が入れ替わってしまったので、この後のレースでそうするか
きっとミーティングが開かれたことでしょう。
ディレスタにも不安材料はあり、レース中の警告が既に2回になっていて、
もう一度受けると自動的にその次のレースで3グリッド降格なので
気を付けないといけません。
次戦は気を付けて走らないとターン1が危ないニュルブルクリンクです。