2018 AUTOBACS SUPER GT Round 5 FUJI GT 500mile RACE
富士スピードウェイ 4.563km×177Laps=807.651km(GT300 Leader:164Laps)
GT300 class winner:ARTA BMW M6 GT3 高木 真一/Sean Walkinshaw
(AUTOBACS RACING TEAM AGURI/BMW M6 GT3)
SGT第5戦富士のGT300クラスは、ARTA BMW M6 GT3が
ぶっちぎりで優勝して富士スピードウェイでのレースは昨年から
3連勝となりました。
予選ではHOPPY 86 MCの坪井 翔がPPを獲得。
作戦に様々なパターンを持っていそうな86 MCのポールで
どういうレースになるのかと思いましたが、レースはARTA M6が
レースを支配することになりました。
スタートでは無理をせず引いたARTAでしたが、8周目の
ターン1でHOPPY 86を抜いてリード。

公式動画より
結果的にはこれがレース中唯一と言って良いリード チェンジの場面でした。
この後ARTAは作戦など無用の毎回の4輪交換&速いペースで後続を
ひたすら引き離す展開。レース結果上はGT500との位置関係で
全車周回遅れ表記で分かり辛いですが、2位に約50秒差、
5位以下は周回遅れで、その5位になったのがHOPPY86でした。
M6ハンパないって!(まだ流行ってるのか?)
GT300は普通に走ると165周=約750kmのレース。
規則上必ず4度のドライバー交代が義務付けられていますが、
距離的には3回でも1スティントあたり190km弱なので
走れてしまいます(航続距離は最大で概ね200km程度)
というわけで、後方のグループは1周目からいきなりピットに入る
「宿題は先に終わらせてしまう」作戦。この作戦は
スティントの距離が延びるのでタイヤがツラい、万一パンクや雨などが
あった際はストップ回数を増やさざるを得ない、というデメリットは
あるものの、リード ラップを走行中、かつ多くがまだ自分たちより
1ストップ少ないという条件でSCが入った場合には、ほぼ1周ぶんの
利益を得られるというメリットがあります。
一方前の方の人たちはできるだけ均等に割った作戦を採りつつ
タイヤの交換本数などで工夫をこらしに行きました。
優勝したARTAは横綱相撲でしたが、予選4位→決勝2位だった
グッドスマイル 初音ミク AMGも同じく正攻法。
鈴鹿のレースでは結構無茶しましたが、ここは堅実な方法で
ペースを上げてのレース。M6の速さに遠く及ばず複雑な心境でも
あったようですが、良いレースだったと言えます。
3位には11位スタートのTOYOTA PRIUS apr GT(#31)。
こちらは無交換と4タイヤを交互に組み合わせる作戦でペースと
トラック ポジションのバランスを採ったような形。
第1スティントでコース上できちんt順位を上げているところから
元々ペース自体が速く、富士に合った車だということもありますが、
64kgもウエイトを積んだ中でこの結果は満点に近いもの。
このあたりはブリヂストンの開発も寄与していると思います。
元々GT300では少数派、かつ最初の頃は4タイヤ交換前提から
入ってきて無交換に対する実績ではヨコハマに及ばないブリヂストン。
以前aprは
「うちの車では軽すぎて無交換のライフのタイヤだと負荷が低すぎて発動しない」
と「車がタイヤに優しすぎて無交換できない」という矛盾を抱えたり
していましたが、どんどんGT300の主流に入り込んでいます。
周囲も勝手に作戦に期待している感のあるHOPPY 86 MCは
右2タイヤ、左2タイヤ、無交換、4タイヤ、というものすごい変則。
監督の土屋 武士いわく「分かる人には分かる作戦」ということですが、
途中スピンもあってやや苦しい展開になりました。
終盤にLEON CVSTOS AMGに抜かれて5位でのフィニッシュ。
チームとしては特に失敗したという感じのコメントでもなく、
やれることはやったし、若手育成のチームだから、という感じですが、
個人的には目一杯飛ばすレースをするのもアリではないかと思いました。
300kmのレースだとトラック ポジションは大事ですし、
無交換で得られるメリットも結構大きいですが、富士は追い抜きは
比較的できるコースで、スティントあたりの距離も長いので
新品タイヤのペースで得られる利益も大きくなります。
中団からのスタートであれば、レース序盤に
「コーナーで前に詰まって直線の度にGT3車両に抜かれる」
という展開で大損してしまうため、抜け出る方法として無交換は
効果があるんですが、前の方からスタート、かつ大勢のGT3より
持ちペースが速い状態であれば、自分たちのペースでレースすることが
比較的容易なので、相対的に無交換の持つ意味が薄れてしまいます。
元々作戦ありきの車なので、ピーク重視のタイヤがそもそも無く、
替えようが替えまいがペースに差があまり無いということも
関係しているかもしれませんが、作戦に合わせてタイヤをコントロールする
走りだけが育成なのか、という根本的な疑問は多少あります。
抜いたLEONの方は、8周でピットに入った変則組で、
これは過去の長距離戦でも割と彼らが使っていたお得意の手法。
人がいない場所で飛ばして気付いたらいるという
「だるまさんが転んだ作戦」で、9位スタートから追い上げました。
逆に86もこういう手法もありかなと思います。
6位のマネパ ランボルギーニ GT3は予選でせっかく速かったのに
4輪脱輪でタイム抹消となり最下位スタート。
そこから1周目に入る作戦で飛ばしまくって6位。タイでの
レースに続き勿体ないことを続けてますが、今年のウラカンは
実は結構安定して速いです。
悲しかったのはSUBARU BRZ R&D SPORT。
5位あたりを走っていたレース序盤にトラブルでリタイア。
今回は電気系らしく、スロットルが反応しなくなったとのこと。
あれに対処したら今度はこれ、とトラブル頻発で、
今季まだ一度しか入賞できていません。
入賞目前だったHitotsuyama Audi R8 LMSもあと僅かのところで
まさかのパンクに見舞われ耐久戦の餌食に。
予選ではQ1落ち、と思ったのがマネパのタイム抹消に救われて
Q2に残り予選5位、という幸運をもらいましたが、
レースの最後にありがたくないお返しをもらってしまいました。
ドライバ―選手権では高木/ウォーキンショー組がリードして
残り3戦へと向かいますが、M6は遅いコースはとことん遅い上に、
次戦ではウエイトが上限の100kgに到達。
誇らしい100kgステッカーですが、まともに走れそうにない状況。
最終戦で彼らに挑む権利を巡るここからの2レースとなりそうです。