ABB FIA Formula E Championship
2018 Qatar Airways New York City E-Prix
Brooklyn Street Circuit 2.373km×43Laps=102.039km
winner:Jean-Éric Vergne(Techeetah Formula E Team/Renault Z.E. 17)

 ドライバー選手権が最終戦を待たず決着した2017-2018シーズンのFE。
しかし前日のアウディーワン・ツーによりチーム選手権が急接近、
テチーターをアウディーが5点差で追うことになり、ここは
最後まで分からない展開です。
 おして思わぬ展開がその争いをより白熱させ、レースは
ジャン-エリック ベルニュが制したものの、チーム選手権は
アウディーのものとなりました。

 PPは2日連続セバスチャン ブエミ。
その後ろにアンドレ ロッテラー、ベルニュ、ダニエル アプト、
ルーカス ディ グラッシと続き、チーム選手権を争う陣営が固まっています。
アプトは今季の予選スタート平均順位が6.4でディグラッシの8.1を
上回っており、非常に速さが感じられます。
 なお、前日のフリー走行でクラッシュしてレースを欠場した
NIOのオリバー ターベイは左手指の骨折があり、急きょ馬 青驊が
代役でレースに出場しています。

 しかしスタートでまさかの大波乱。
テチーターの2台が好スタートを切り、ベルニュがいきなりトップに
立ちますが、、、動くの早くね?
 当然審議となり、ロッテラーには10秒ペナルティーが課せられます。
一方、ベルニュはお咎めなしに。映像では完全にシグナルが消える前に
車が動き出しているのですが、昨年のオーストリアGPでバルテリ ボッタスが
そうだったように、動いた範囲が基準以下だと違反認定されずに
済むことがあるようですね。ロッテラーは誰がどう見ても言い訳不要でした。
前日はすぐシグナルが消えたので、ちょっと前のめりでしたかね。

 まだ審議中で、見た目上ベルニュ、ロッテラーのワンツーだった7周目、
ホゼ マリア ロペスが縁石でサスペンションを壊して停止、
さらに時を同じくしてアントニオ フェリックス ダ コスタと
ルカ フィリッピも接触。サスペンションが折れて操作不能のフィリッピが
ジェローム ダンブロジオを壁にサンドイッチしてしまい、FCYとなります。
 ドラゴン レーシングはアメリカが地元ですが、前日はスタート直後に
同士討ち、今日は立て続けに事故で、無念の母国イベントになりました。

 FCY中に審議結果が出てロッテラーは再開後にピットへ。
ディグラッシはブエミを抜いてこれで現時点でテチーターと
アウディーが完全に同点、ロッテラーは圏外なので、
最速ラップの1点ぶんだけアウディーがリードする形に。
 この後アプトもブエミを抜いて、これでテチーターは
なんとしてもロッテラーが入賞圏内に戻ってきて、できれば
アプトが持つ最速ラップを塗り替えないといけません。

 ピット サイクルはアプトだけが周囲より1周早く入り、そのため
ややペースを抑えないといけないため、他の車がピットを終えた後、
コース上で再びブエミに抜かれてしまいます。
 ところが意外にもアプトは余裕が相対的に少ない中でブエミの
ミスをうまく利用して抜き返し再びアウディーが2・3位。
そしてディグラッシの方はベルニュも狙っていきます。
 何せ、このままではお互い自力でのポイント上積みはできませんが、
ロッテラーは中団グループで事故などがあって順位が上がると
点数が増えてしまい、運命を他の人に委ねることになりかねないからです。
 ディグラッシがトップになれば、もうロッテラーがどうなろうが
あまり怖くはありません。


 やや余裕があるのか、それともブエミにアプトを捕まえさせるため
わざとやっているのか、ベルニュにディグラッシが接近。
接触しながらもベルニュはトップを明け渡しません。状況的に、
この2台がぐしゃっといったらアウディーに有利なので、そういう意味で
リスクを抱えているのはベルニュなんですが、接近戦は続きました。

 結局この4台はその隊列を維持したままチェッカー。
最終的に1位から4位まで1.7秒差でした( ゚Д゚)
 ただ、もし9位まで追い上げてきたロッテラーが最後に最速ラップを
記録すると同点になってしまい、お互い優勝回数も同じなので、
えーっと次は何の差で決めるんだっけ、と規則を見ないといけないところでしたが、
アプトが記録しておいたタイムは非常に速くてロッテラーついに破れず。
 これで2017-2018シーズンのチーム選手権は
アウディー スポート アプト シェフラーのものとなりました。
 開幕からリタイアだらけで、4戦でたった12点しか獲れていなかった
あの状況からタイトルを獲るとは全く想像できませんでした。

 フェリックス ローゼンクビストが5位で久々の入賞。
しかし選手権6位、総獲得ポイントが100に届かないとはこちらも
開幕直後には予想外でした。
 サム バードも1点獲るのがやっと、これでドライバー選手権2位は
なんとディグラッシのものに。2位にどれほど興味があるのか
分かりませんが、第6戦から2勝を含む全て2位以上の7戦連続表彰台は
驚きの結果です。第2世代となる来季もまだまだ彼が主役なのは
間違いないでしょう。


 これでFEは12月までお休み。各陣営新車のテストに励むものと思われます。
新しい車でのレースが今から楽しみでしかたありません。