FORMULA 1 EYETIME GROSSER PREIS VON ÖSTERREICH 2018 Spielberg
RED BULL RING 4.318km×71Laps=306.452km
winner:Max Verstappen(Aston Martin Red Bull Racing/Red Bull RB14-TAG Heuer)

 休みなく続くNASCAR状態のF1。3週連続開催の第2戦はオーストリアです。
コーナーの数も少ないし短いわりに、意外と色々起こるため
「わけのわからん手の込んだ高コストなサーキットって意味あるのか?」と
思えてきてしまうレッド ブル リンク。今年もまた色々と起こり、
マックス フェルスタッペンが今季初勝利を挙げました。

 予選ではメルセデスがやや速く、バルテリ ボッタスがPP、
2位にルイス ハミルトン。
ここは1周がたった63秒なので一瞬の些細なミスが大きな差になりますが、
二人の差はわずか0.019秒でした。
ハースのロマン グロージャンが6位で、3強チームの中で唯一ダニエル リカルドが
トップ6から漏れた7位になります。
 しかし、予選のしょうもない妨害でベッテルはグリッド降格。
3位のはずが6位スタートになってしまいました。
 教えてあげてないエンジニアが、とは言いますが、それ以前に
予選中は後続車両が全力で走ってるかもしれないから、自分のアタックが
終わってもちゃんと後ろを気にしておかないといけないのは
F1ドライバーなら分かっていて当たり前。エンジニアに何でも
任せておくというのはちょっと考えが甘いと思います。


 スタートでは3位のキミ ライコネンの動き出しが絶妙で、すぐさま
メルセデス2台の中に文字通り割って入ります。
イメージ 1
こんな隙間、ゲームでも入る気がしないぞw

 これでターン1を曲がりようがなくなったボッタスは3位、ハミルトンがトップ、
2位にライコネンで、さらにライコネンはターン3でハミルトンも
狙おうとしましたが突っ込みすぎて失速。
フェルスタッペンが来たのでちょっと過剰な幅寄せをしていたら、
その間に外からボッタスに抜かれてしまい、さらにターン7で
フェルスタッペンがこちらも入っちゃいけない場所でノーズを入れて
ライコネンと軽く接触しながら抜いて行きます。
色々あった結果、1周したらメルセデスの1・2位は動かず。
チーム的には、オーダーとか考えなくてもハミルトンが先行してくれ、
しかもフェラーリではなくレッドブルが3位になったので
むしろラッキーだったかもしれません。

 11周目、ルノーのニコ ヒュルケンベルグがトラブルで白煙を上げます。
 さらに14周目、いきなり順位表示でボッタスが落ちていくのが見えたので、
どこかではみ出たかと思ったら、なんとこちらもトラブル。
油圧の問題でギアが変わらなくなったようで、ガシャガシャと
変な音がしています。この週末いちばんの暑さになったシュピールベルク、
なんだか生き残り戦になってきました。

 これでVSC発動となり、多くはピットに入ってここでタイヤを
一番固いソフトに交換。これで最後まで走り切る戦略です。
 しかしハミルトンだけはステイ アウトを選択。レース後のチームの
説明によると、フェラーリもレッドブルも2台いるので、戦略を分けて
(片方を捨て駒とも言う)挟み撃ちにされる可能性もあったため、
どうすべきか思案していたらピットを過ぎてしまい決断が間に合わなかった、
とのこと。せめてVSCが長引けば次の周に入って問題なく進めたんですが、
残念ながらボッタスの車を排除するのにそんなに時間はいらなかったので
VSC解除。これでハミルトンは、今ピットに入ると4位まで落ちてしまうという
状態になってしまいました。

 ハミルトンにできるのは、ここからピットまでに差を広げることだけですが、
この高温環境に使い古したスーパー ソフトでは新品ソフト勢と
同じペースで走ることしかできず、結局25周でピットへ。やはり4位です。
チーム側は素直にハミルトンに詫びの言葉。
そしてここからレースは言わば第2幕へと進んでいきます。

 31周目、このフジテレビNEXT解説陣の会話がレースの肝になっていきます。
ライコネンの車載に映る、1台前のリカルドのことです。

川井 一仁「ん?左リア何か出てません?」
森脇 基泰「出てますね」
川井「前のフェルスタッペンの話ですけどぉ(※リカルドです)」

何の話かと思いましたが、よーく画面を見ると、タイヤに筋が見えます。
ブリスターです。
作動温度領域が比較的高いので、ブリスターが出にくいであろう
ソフトでブリスター、しかも本来タイヤの扱いは上手いはずのリカルドで。
固有のトラブルかもしれませんが、全体の出来事だとこの後
ブリスター祭りになるかもしれません。こりゃマズイ。


 38周目、ブリスターが悪化してなんかピットに入らないとヤバそうな
雰囲気になって来たリカルドをライコネンが抜きます。
やはりヤバいようでこの後ピットに入りました。
 トップ集団以外でもカルロス サインツもひどいブリスターに
見舞われている様子、これはブリスター祭りになったようです。

 42周目の無線でライコネンに対して
「レッドブルとメルセデスにはブリスターが出来てる、こっちは無いぞ」
一方リカルドに対しては
「みんなブリスターができてるぞ。まだ終わってないぞ」
 確かに、この後みんなブリスターが出てピットに入るなら
条件は同じになります。

 一方、なかなかカメラに映らないフェルスタッペン、タイヤが
気になりますが、ようやく映った映像では、リカルドほどひどい
状態ではなさそう。ただ小さいブリスターは見えるので、悪化させると
同じ運命になります。
 50周目、エンジニアのジャンピエロ ランビアーズから

「みんな走り切るつもりで(タイヤを)労わっている、で、多くのドライバーが
 (ブリスターを)懸念している」

するとフェルスタッペン

「OK、えーっと感触は良いから、心配しなくていいよ」

 なんか(´・ω・`)とかの絵文字が付きそうなぐらい軽いノリです。
ていうかこの忙しいコースで全然息が切れてねえ。。
 今年は特に危ないシーンの目立つ厄介者になってますが、この辺の
心臓の強さ、アグレッシブな運転と相反するようなマネージメントの
上手さには毎度驚かされるばかりです。
 

 52周を終えるとハミルトンもブリスターが気になってピットへ、
入ってもリカルドに抜かれるだけなので、タイヤが爆発するよりは
よっぽどマシ、だったはずが、直後にリカルドの車から煙。
なんとトラブル発生でほどなく停止。リカルド、29歳の誕生日は
完走すらできないレースとなりました(T T)

 一方のハミルトン、結果的に順位を失わずに済みました(@_@)
が、あと9周という63周目、なんと彼もまたトラブルに見舞われて
車を止めてしまいました。なんというレースになったのか。
昔の信頼性の低い時代のF1のようです。

 心配ないとは言ったもののややブリスターが拡大し始めた
フェルスタッペンに対し、ライコネンは徐々に接近。
元々7秒ほどあった差を削り取り、52周目以降はほぼ一貫して
フェルスタッペンを上回るペースで走ります。
 62周目には「何も心配することは無い。飛ばせ」とさらに指示。
しかしフェルスタッペンはマージンを活用してうまくレースをまとめ、
1.5秒差でトップ チェッカーを受けました。

 2位ライコネンに続いて3位ベッテル。これで選手権では
再び1点差でリーダーです。
3強の6台のうち3台が消えたため、4位にロマン グロージャン、
5位ケビン マグヌッセンとハース大活躍。
元々かなり良い仕上がりで7位は固いレースでしたが、
トラブルなく走れたことで見事な結果を手に入れました。


 一方2台がリタイアのメルセデス。一昨年のスペインGPで
ハミルトンとニコ ロズベルグが同士討ちして以来。
 調べた範囲では、クラッシュを除く2台リタイアは2011年開幕戦
オーストラリアでのロズベルグ/ミハエル シューマッハー以来で
現行PU制以後では初、ブラウンGPを買収した現行メルセデスとしても
2回目で、全く何の接触も関係していない純粋なメカニカル要因に限れば
初めてのことになると思います。


 ピット レーンからスタート、序盤に
「何か作戦とか考えろよ。71周ずっとこの位置を走る気なんて無いからな」
と悪態をついていたフェルナンド アロンソ。やる気なしモードかと
思いきや、粘りの走りで気付いたら8位入賞。アロンソハンパないって!
(言ってみたいだけ)

 バトルそのものは少なかったかもしれませんが、スリリングな展開で、
コース的にも結構ミスが多くて「最後まで分からんぞ」と見る側も
緊張感をもって見れるので、良いレースだったと思います。
結果的にあの危ないフェルスタッペンの追い抜きがレース結果に
直結した、と考えると多少複雑ですが、ライコネンにぜひまた
頑張ってもらって、今度はフェルスタッペンを抑え込んで待望の
優勝を手にしてほしいです。

 地獄の3連戦、次戦はイギリスです。