Monster Energy NASCAR Cup Series
Toyota/Save Mart 350
Sonoma Raceway 1.99miles×110Laps(25/25/60)=218.9miles
winner:Martin Truex Jr.(Fueniture Row Racing/
5-hour Energy/Bass Pro Shops Toyota Camry)
MENCS at ソノマ。今季初のロード コース戦です。
カリフォルニア州ソノマは昨年、史上最悪とも言われる山火事に襲われた地域の
うちの1つです。
そんなソノマでのレース、マーティン トゥルーエックス ジュニアが
制しました。果たしてお客さんが満足できたのか、ちょっと疑問が残りました。
PPはカイル ラーソン。カリフォルニア州エルク グローブ出身のラーソン、
2年連続のポール獲得。
しかし昨年もそうだったように、一発は速くてもロードコースでの
経験に乏しいラーソンはタイヤの摩耗がハゲしすぎてレースでは戦えず。
3周目、あっさりトゥルーエックスがリードを奪います。
特に無風のレース、25周のステージ距離はピット不要ですが、
入っても周回遅れにならないため、ステージ終了2周前にピット閉鎖と
なる直前にピットを済ませ、ステージ間のコーションで入らずに
次のステージを上位でスタートする、いわゆるロード コース ストラテジーが
上位陣では当たり前に行われます。
ステージ後半に向けて、6位スタートのケビン ハービックが追い上げていき、
ピット出口で並走して逆転!と思ったら、その先でトゥルーエックスが
抜き返しました。ただこれ、トゥルーエックスはタイヤを使わされた
可能性があります。
一方、5位スタート・ロードコースに賭けているA J アルメンディンガーは
作戦ではなくステージ ポイントを狙ってなんとステイ アウト。
これでステージ1を制しますが、代償としてステージ2のスタート順位が
大きく下がってしまいます。
ステージ2、そのアルメンディンガーがまさかのシフト操作ミスで
エンジンをぶっ壊してリタイア、ジェイミー マクマーリーもトラブルで
エンジンが止まりガレージへ。
トップ争いはロングで速いハービックがトゥルーエックスを
41周目に抜いてリード。
ここも2周前のピットでステージ順位を捨てる作戦。ハービックは
ピット後ものすごいゆっくり走ってタイヤを温存。
デニー ハムリンがステージ勝利を手にしました。
ファイナル ステージもハービックをトゥルーエックスが追う展開。
FOXの放送では
Credit One Bank One's to watchというスポンサー系コーナーで
(見どころ、といった意味のwhat to watchとスポンサー企業名をかけている)
コメンテーターがこの後注目すべき人、勝つと予想する人を挙げていきますが、
「いや、ハービック以外無理やろ」と、話を聞いてもなんか虚しい響き。
ところが、スティント中盤以降、トゥルーエックスがじわじわと
ハービックとの差を詰め始めました。
アジャストが決まったでしょうか。
その頃、そこそこ走れていたライアン ブレイニーはパワステの
トラブルで腕力に頼った走行となり順位大幅ダウン。というか
たぶんこれは完走無理ですな・・・。ブレイニーは去年も
ブリストルでパワステが壊れてますが、何でこういうハズレを引くのやら。
ラーソンは引き続きタイヤが減りすぎて苦戦、
タイ ディロンはギアがスタックしたということでガレージへ。
結構なサバイバルになります。
60周のステージ距離は、残り40周あたりで燃料的にはウインドウが
開きますが、何せ劣化がどんどん進むので、タイヤを考えると
もうちょっと引っ張りたいところ。
そんな中、ハービックの1秒近辺にまでトゥルーエックスが接近。
アンダーカットを仕掛けるか、いや、やるとトラフィックにハマるから
案外後から入っても守られるか、と思っていたら、なんと残り37周、
先にハービックがピットに入りました。
どうやらトゥルーエックス陣営が無線とクルーの動きでブラフを
仕掛けた模様。ハービック陣営が釣られたのか予定通りかは分かりませんが、
トゥルーエックスはスティントを延ばします。
ハービックとすると、オーバーカットされない最低限のペースで
走ってタイヤを守るか、飛ばして差を築くか考えどころですが、
何せまだまだピットに入っていない車もいるので自分のペースで
走るのにも一苦労です。
遅れること8周、トゥルーエックスもピットに入り、約6.5秒の差で
コースに復帰。実質3位で、ハービックを抜くためには、まず
クリント ボイヤーを攻略する必要があります。ボイヤーも
かなり調子が良く、ハービックと一緒にピットに入って、ピット後には
ハービックを揺さぶる場面もありました。
ここはチームメイトですし、まずハービックの壁になりたいところ。
しかし残り22周、ペース差は圧倒的で、トゥルーエックスはボイヤーを
とてもあっさりとパス。ハービックとはもう2.5秒差。
残り20周でもう1秒以内となると、最終ターンで抜いてとうとう
トゥルーエックスがリードを奪います。
すると、ハービックとボイヤーは翌周にピットへ。
入っても順位を2つ失うだけだったので、『2ストップ作戦』に出ます。
トゥルーエックスとすると、ステイアウトすると、万一コーションが
出た際、タイヤが古すぎてステイアウトの選択肢はあり得ないため
ピットに入ることになり、ハービックたちは当然入らないので間違いなく
逆転を許します。
一方で、次の周に入って作戦を合わせるとそのリスクは消せますが、
アンダーカットされるリスクがあり、しかも現状2位にいる
チェイス エリオットがギャンブルでステイアウトすると、そのまま
勝ち逃げされる危険性があります。
そこでトゥルーエックス陣営が出した結論はステイアウト。
コーションが出ないよう祈る中周回は進み、本当に何も起きないまま
とうとう最終周へ。
ホワイト フラッグを受ければ、もうコーション=レース成立なので
一安心。最後は周回遅れを抜かずに安全策でゆっくり走り、
それでも車は結構暴れるわけですが、2位ハービックに10秒以上の
差を付けての勝利となりました。
ブレイニーは腕が限界でガレージ行き。ハービックとボイヤーは
結局2・3位に戻り、ステイアウトで粘ったチェイスが4位でした。
かなりロードコースでの経験値も増えて戦えるようになっています。
クリス ブッシャーの12位、マット ディベネデトーの17位もお見事な
結果だったと思います。ディベネデトーもカリフォルニア州出身です。
昨年も書いたと思いますが、ロードコースとステージ制は
合わないです。仮にステージ制がなくても、ハービックと
トゥルーエックスのウサギとカメみたいなレースになったかもしれませんが、
何回ストップ作戦か、どこでコーションが出るのか、誰が得をするのか、
という部分も含めてのNASCARのロードコース戦だと思うので、
入る周回数が二択というのはあまりに単純すぎる気がします。
見に行ったお客さんも楽しめたのかなと心配になりました。
今季はプレイオフのシャーロットもロードを使用しますが、
ステージ制とロードコースの組み合わせは来年以降廃止で
いいんじゃないでしょうか。