FORMULA 1 PIRELLI GRAND PRIX DE FRANCE 2018 Le Castellet
CIRCUIT PAUL RICARD 5.842km×53Laps=309.69km
winner:Lewis Hamilton
   (Mercedes AMG Petronas Motorsport/Mercedes F1 W09 EQ Power+)

 F1第8戦はフランス。フランスGPの開催は2008年以来10年ぶり、
このころはマニ-クールでの開催で、ここポール リカールでの開催は
1990年以来28年ぶりです。
 最近はWECはGTレースではお馴染みのこのコース、一時
テスト用コースとして使用されていたこともあり、昔からのコースを
基幹としつつ、コース外を全面舗装してしまい、とにかくだだっ広い
ランオフ エリアと、青や赤のシマシマ模様が気になるコースです。
私にはどうしてもテストの印象が強いのでここでF1やってるのが
妙な感じはしますね。

 あて、レースの方はルイス ハミルトンが今回は予選から
自分の流れでうまくレースを運び今季3勝目を挙げ、選手権でも
リーダーに返り咲きました。
 予選は雨がぱらつく中で接戦。
 Q2では上位はタイヤ選択が分かれ、メルセデスとレッド ブルは
ライフを重視でSS、フェラーリはUSを選びます。
 Q3では各車1回目のアタックの反省点を活かして2回目でタイムを
更新していきますが、そんな中ハミルトンは1回目のセクター3で
失速したことからタイヤの残し方を変えた模様。
結果、セクター1・2では自己ベストに及ばないながら、セクター3で
大きく伸ばしてPPを獲得、2位にバルテリ ボッタスとメルセデスが
1列目を占めます。
 今回はバルセロナ以来の登場となる、ブリスター対策でゲージが薄いタイヤ。
こうなると、やはりこの仕様はメルセデス向けでは?と見られそうです。
 3位にセバスチャン ベッテル、4位マックス フェルスタッペン、
5位ダニエル リカルド、6位キミ ライコネンと跳ね馬と赤牛が混在。
 Q3でロマン グロージャンが事故ったせいもありますが、ザウバーの
シャルル ルクレールがなんと予選8位です。グロージャンせっかくの
母国レースなんですけどね。。。


 そして決勝、USで蹴り出しの良いベッテルがボッタスのインを伺いますが、
ターン1で突っ込みすぎてロック、ボッタスと接触してしまいました。
 これでベッテルはフロント ウイング脱落。
ボッタスは左リア タイヤを破損した上にスピン。
 さらにその先ターン3ではエステバン オコンとピエール ガスリーも接触。
コース上散らかりまくってSCとなります。
 これまた二人とも母国レースなんですけどね。。。

 ベッテルは明らかにミスでした。本人も認めています。
これでベッテルは後に5秒ペナルティーを受けましたが、
結果論から言うと、前にいる相手にぶつけて相手のレースを壊し、
しかも相手側はスピン&パンクで後方、自分はウイング破損で
相手よりも前でレースに戻っていますから、損失具合から言うと
ドライブスルーが妥当だったと思います。これではボッタス当てられ損です。

 一方オコンとガスリーは、基本的にはガスリーが入っちゃいけない
空間に入ってしまいました。
 ただ、オコンはスタート直後にグロージャンに幅寄せされて既に
一部車体が破損(これもフランス人同士だ!( ゚Д゚))
 本人も破損を自覚している中で、ターン3にやや早めの切り込みで
浅い角度で進入しました。
ちょうどその前方でウイングの無いベッテルがロックしてまた軽く
接触もしていたので、煙を見て「あ、外やべえ」と感じてインに
逃げる心理が働いたせいもあるように思えるので、この動きが
全くダメだとは思いませんが、ちょっと急な動きで車の多いスタート直後と
しては危なかったのも事実かなと思います。
 結局スチュワードはこの件について双方に戒告を出しました。

 SCが終わるともう競争相手がいないハミルトンは楽な展開。
一方ベッテルは猛追、DRSを使うとけっこう抜きやすいせいもあって
14周目には既に8位にまで戻ってきました。この時まだボッタスは12位です。

 じわじわとハミルトンから離れていくフェルスタッペンは
25周を終えてピットへ。約7秒差まで広げられています。
 スティント後半にかけてフェルスタッペンに詰めていたリカルドも
この後ピットに入りますが、出た場所はベッテルの後ろ。ベッテルは
装着したSで最後まで走り切るつもりなのでちょっと損です。
 しかも、レース後のコメントによると、ちょうどピットの前に
なぜかフロントウイングが壊れてしまったようで、ダウンフォースを
失ってしまったとのこと。これでリカルドは競争力を失ってしまいました。


 慌てる必要のないハミルトンは33周を終えてタイヤ交換義務終了。
この頃のフェルスタッペンとの5秒程度の差を、結局レースの最後まで
ずっと維持し続けました。

 ちょうどこのピットしたあたりの時間帯、一部のチームからは
雨が来るという話が出ていましたので、引っ張れるなら引っ張りたい、
という状況でしたが、引っ張らないところを見ると降らない様子。
 最後まで留まっていたライコネンが34周を終えてピットに入り、
ベッテルの後ろで戻ったのでさあ、どうするかな、というところでしたが、
さすがに事故って無理やり1ストップのドライバーが、普通に上位を走る
ドライバーより優遇されたら問題大アリ。39周目にコース上で
ライコネンが抜きました。ていうかベッテルはタイヤ本当にもつのか?


 先週ル マン24時間で優勝したフェルナンド アロンソはこの週末
ずっと車が遅く、1周目の事故に巻き込まれたが故の1ストップ強行に、
タイヤも無いし入賞圏外だし、とかなりお怒りの様子。
 さらに、ランス ストロールの車載映像を見ると、フラット スポットが
出来てしまっていて、映像でも振動が分かる状態です。
 通常ドライバーが訴える程度のバイブレーションって、画面では
分からない揺れなので、逆から言うと映像で伝わるのってかなりヤバいです。
昔これでライコネンのサスペンションがぶっ壊れましたし、
危ないからピットに入れて欲しいです。。。


 1ストップ強行も視野にいれていたボッタスですが、接触でフロアに
損傷があるようで、ペースが上がらずタイヤも消耗、39周を終えて
2度目のストップになります。しかもここで作業ミスまで起こる不運。
 これで、前を走るベッテルはいわゆるフリー ストップ状態となったため
次の周にピットへ。5秒ペナも消化して、5位のままコースへ。

 もうこれであまり見どころもなくなった感じでしたが、
47周目にライコネンがリカルドを抜いてこれで3位。
 放置プレーのアロンソはなぜかあと6周でピット。マクラーレンは
何がやりたいのか分かりません。
 6位を走っていたカルロス サインツはPUにトラブルが出たようで8位へ後退。
なんとか入賞だけは、と思っていた残り3周、全開で抜けるような高速の
ターン10でタイヤが壊れてコース外へ。
アウト側が広すぎてこれでも壁には刺さらず安全なコースだと
いうことはよく分かりましたが、なぜここまで放っておいたのか
こちらも意味不明です。

 これでVSCとなり、特に変動もなく、解除後ちょっとだけ
走ってチェッカーとなりました。PUに問題があったサインツは
8位で踏みとどまれてちょっとラッキー。そしてルクレールは
10位で2戦連続・4度目の入賞。フェラーリは若手をいきなり使わないから、
とは言われますが、こういうドライバーをたまにはポンと使ってほしい! 

 今回ウィリアムズがどう考えていたのか分かりませんが、
粘って入賞できるわけでもなく、場合によっては他のドライバーを
含めて危険にさらす恐れがありましたから、タイヤの問題は
軽視すべきではなかったと思います。

 最近時折聞くのが「最近のエンジニアはデータばかり見ている」という声。
おそらくデータを持たない他チームや、レースに詳しい人間なら、
あのヤバそうなタイヤで走り続けてもメリットがほぼなくデメリットだけだと
すぐ感じたと思いますが、チームがデータに頼りすぎると、そうした
目で見て分かる情報よりも、振動センサーがどうか、内圧がどうか、
現在のラップ タイムは、ピットに入った場合と入らなかったの差は、
など数字に囚われすぎてしまい、
「データ上問題はない」「今入ると〇〇を失ってしまう。ステイ アウトだ」
とかいう結論が出てしまったりします。
 無論今回がそうだったとは限りませんし、私が車載で見て
振動していると思ったのが、単にカメラの固定の問題で関係なかったかも
しれません。
 ただ、基本的に、タイヤを使いすぎてぶっ壊すというのは、
例えチャンピオンがかかった局面であったとしても、絶対に避けるべき、
やってはいけないものだというのは関係者の方にぜひ
肝に銘じていただきたいです。


 サッカーの影響もありますし、フランスGPが成功だったかどうか
私にはよく分かりませんが、とりあえず渋滞の退屈レースでは
なかったですから、来年以降も期待しておきましょう。
来週はオーストリアです。