Monster Energy NASCAR Cup Series
Coca-Cola 600
Charlotte Motor Speedway 1.5miles×400Laps(100/100/100/100)=600miles
winner:Kyle Busch(Joe Gibbs Racing/M&M's Red White & Blue Toyota Camry)

 MENCS第13戦、シーズン最長のシャーロット600。
日テレG+だと距離にかかわらず全部3時間枠の放送なので、けっこう編集で
ごっそりと持っていかれますから、公式でフルで見れるのはありがたいです。
 アメリカでは5月の最終月曜日がメモリアル デー・戦没者追悼記念日。
それに併せてその前日に開催されるのがインディアナポリス500と
シャーロット600です。
 このレースでは、ウインドウ上部の各ドライバー名が書かれている
ウインドウ デカール(ハチマキ)には、それぞれが戦没者の名前を掲げて
出走しており、放送でも時折
「〇〇〇は××での事故により夫人と子供を残して△△年に他界しました」など、
亡くなった方の経歴が紹介されています。
 軍隊色が強くて日本人には理解しがたい風習ですが、これが国民性の
違いというやつですね。


 さて、レースの方はカイル ブッシュが絶好調。結局400周中377周を
リードする圧勝で今季4勝目を挙げました。
 PPはカイル。2位はジョーイ ロガーノ。今季絶好調で
オール-スターまでも勝ってしまったケビン ハービックは予選前の
車検を通過できず39位からのスタートです。
カイルはレース前「55周目には5位まで上がってくるだろう」と予想していた模様。

 スタートではロガーノが前に出て4周をリードしますが、すぐに
カイルがリードを奪い後続を寄せ付けません。
デニー ハムリン、エリック ジョーンズも好調で、JGRが速そうです。
 36周目、オースティン ディロンが壁に当たって最初のコーション。
ちょうどディロンの車にはグルグル回せるタイプの車載カメラがあったので
イメージ 1
 金づちで叩く様子がバッチリ映像に移りますw
この後発煙して煙だらけになったこの映像も映りますが、
一応トラブル扱いになったのでガレージでの修理が許され、後に
復帰することになります。

 さてリスタート後もカイルは好調、カイルの予言はほぼ正解で、
ハービックは45周目時点で既に6位、67周目に5位。
これは後々カイルvsハービックになって行きそう、と思った矢先の84周目、
タイヤのトラブルでハービックが単独クラッシュ。左フロントが
壊れたようでちょっと珍しいケース。これでハービックはステージ1も
走り切らないうちにレースを去ることになりました。

 このコーションではブラッド ケゼロウスキーがボックスを誤通過。
ステージの残り周回数が少ないので、再ピットせず強行突破を狙いますが
リスタートした瞬間から抜かれまくってほぼリード ラップのビリになりました。

 ステージ1はカイルが制し、ライアン ブレイニー、カイル ラーソン、
マーティン トゥルーエックス ジュニアという並び。
今日はフォード無双という感じでは無く、けっこう色んな人が絡んでいて
カイルだけがちょっと抜けた速さです。

 ステージ2は115周目にウィリアム バイロンがスピン。
リスタート後から3ワイドでちょっと危なっかしいなあと思っていたので
案の定、という感じでした(+_+)
 さらにリスタート直後の120周目にはハムリンに押されたジミー ジョンソンが
スピンしてまたコーションとなります。
 ただカイルには一切影響がなく、ステージ2もあっさりと制しました。
トゥルーエックス、ラーソン、ハムリンと続きます。

 コースは日が暮れて路面温度が低下。大抵温度が下がるとグリップの
バランスは フロント<リア になって、タイト方向に行くというのが
NASCARに限らず多いんですが、シャーロットでは逆に作用するらしく、
多くのドライバーが『路面がフリー方向』で、ルースに対処していく
アジャストが必要な様子です。

 さて、このあたりから気になってきたのがタイヤの残りセットです。
このレースはスタート時に履いているものを含めて最大12セット使用可能。
 最低でも各スティントに1ストップは必要なので、仮に何一つ
アクシデントがないレースだったとして、
スタート→ステージの半分あたり→ステージ間コーション→ステージの半分・・・
のサイクルで最低8セットは使います。つまり、各ステージで
それ以外につぎ込んで良い新品タイヤは平均1セットずつしかありません。

 既にステージ1でほとんどが2ピット、ステージ2も2ピットしており、
この先もコーションが複数回出るようなら、ステイ アウトでケチって
終盤の勝負所でのタイヤ切れリスクを避けるか、先のことなんて
わからないからとにかく目の前のレースのために使えるだけ使うかを
考えないといけない局面が訪れるかもしれません。

 

 ステージ3も226周目にグレイ ゴールディング、さらにピット サイクルが
始まりそうな259周目にもクリス ブッシャーがクラッシュしてコーション。
 コーションの度にタイヤを替えている上位勢、カイルはこの時点で
残りの新品4セットという情報です。
 272周目、4位を走っていたカイル ラーソンが単独スピンで
またもやコーション。9周のグリーン フラッグ ランでしたが、
これ以上安易にタイヤを注ぎ込みたくないので上位勢はここでステイアウト。
 しかし、序盤にうっかりピットに入り損ねたケゼロウスキーはここで
その使い損ねた1セットを投入、リスタート後猛烈な速さを見せます。
 ところがチームメイトのブレイニーの車から出火してコーションで水入り。
それでもステージ3位まで挽回してステージ3を終えました。
ステージ勝者はカイルです。


 ファイナル ステージを前にしたピット。ステージ2位で初優勝の
期待も持たれたジョーンズに不運。ピット作業に入ろうとしたら
エア ガンのホースを1つ前のボックスに入ってきたケイシー ケインの
車に轢かれてしまいタイヤ交換を開始できず(+_+)19位まで後退しました。
イメージ 2
 ケインが邪魔になるからわざわざボックスの後ろの方に止めてたんですけどね…
一歩ライアン ニューマン陣営では、勝負権のないディロンとチーム内で
クルーの入れ替えを行ったそうで、奏功したか4つ順位を上げて6位からの
リスタートになります。
 ただ、NASCARのクルー、特にピットの人たちは専属のプロ選手ですから、
途中で替える判断をされたり、替えたメンバーが成功したりすると、
言うなれば「お前らはチームで2番手扱い」とバッサリ言われたような
ものなので、なかなか非情な采配と言うこともできます。
 ところがこの後トラブルでまさかのガレージ送り、無念・・・

 この最終盤になってもカイルの優位性は揺るがぬどころか益々
勢いに乗る一方。残り60周でロガーノが超ショート ピッティング作戦で
何かしらレースを動かそうとしますが、ロングで速いけどコース上の
順位が悪い人ならともかく、ロングで苦しむ人がこの手の作戦をやって
上手く行ったのをあまり見たことがありません。

 残り48周ほどで上位もほぼピットへ。カイルは2位のトゥルーエックスに
8秒の大差。
 カイルは悠々トップを守る一方、トゥルーエックスはアンダーカットされて
7位にまで後退。結局2位に戻っては来たもののカイルとの差は大きすぎ、
もはやコーション頼みの状態。
 ジェイミー マクマーリーはタイヤを使い切ったのでコーションには
出ないでほしいと思っていたようですが、願いは通じたようで
結局このステージはコーション無し、カイルが独走したまま、
リード ラップ車を9台まで削り取ってチェッカーを受けました。
 トゥルーエックス、ハムリン、ケゼロウスキー、ジョンソン、
マクマーリー、ラーソンと続きました。


 カイルはこれでカップ通算47勝目、シャーロットでは初勝利で、
これで参戦した全てのトラックでの勝利を挙げました。
ただし、秋のシャーロットが初めてロード部分を使用して開催されるため、
そのレースで勝てないと『全て』という記録は一旦外れることになります。

 そもそもステージ制レース導入の要因となった1つは、
2016年にトゥルーエックスがこのレースを392周もリードして
勝ってしまったことが1つだと思いますが、ステージ制にしても
結局同じことになってしまいました。
最初は目新しくても、結局みんなこの形式に合わせて最適化していった
セットや戦略でレースをし始めてしまうので、これだったら別に
この制度無くてもいいような気がします。。。

 長い長いレースを終えましたがNASCARに休みはありません、
次戦はポコノ―です。