Monster Energy NASCAR Cup Series
KC Masterpiece 400
Kansas Speedway 1.5miles×267Laps(80/80/107)=400.5miles
winner:Kevin Harvick(Stewart-Haas Racing/Busch Light Ford Fusion)
MENCS at カンザス。1.5マイルでのナイト レースということで、
2週間後のシャーロット600への予行演習の側面も持つ400マイルです。
レースはここ最近のステージ制レースのお約束、序盤2ステージは
これといったことも起こらずに進みますが、終盤はNASCARらしい流れ。
そして、今季のお約束、勝ったのはケビン ハービックでした。
PPはハービック、並んでライアン ブレイニー。今日もお強いフォード勢。
雨があったので30周でコンペティション コーションが設定されます。
そのコンペティションのイエローではウイリアム バイロンが2タイヤ交換。
ところが、アンコントロール タイヤと判定されて後方へ。
これは判定が厳しすぎる気がしました。
このピットで前に出たブレイニー、ステージ終盤にハービックに
追い回され、方や前方には予定外のピットで周回遅れとなり、なんとか
2周遅れを阻止すべく立ちはだかるジミー ジョンソン。
ジョンソンが邪魔で危うく抜かれそうになりましたが、ブレイニーが
ステージ1を制しました。
ステージ2、リーダーでリスタートしたハービックが好調、一方
8位からリスタートのカイル ラーソンが大外から順位を上げていきます。

ラーソンは予選後に車両をいじったため最後尾スタートでしたが、
猛烈な速さで前に上がってきていました。
ピット サイクルになり、ピットでブレイニーをも逆転したラーソンは、
ハービックもやっぱり外から抜いて本日初リード。
ハービックはルースがひどいとお怒りなようですが、実はタイムは
速いのでそんなに悪いわけではなく、クルー チーフのロドニー チルダースは
慌てる様子もなくハービックとは対照的。
片方が熱くなったら片方が落ち着かせる、これがコンビネーション、と
いった話をするジェフ ゴードン。
ステージ2はラーソンが制し、なんと昨年の最終戦以来のステージ優勝です。
ファイナル ステージもラーソンがまずは先行。
実質100周のステージは、50周で綺麗に割るのが標準的な作戦で、
ピット サイクルが残り55周あたりから始まります。
ここでハービックは痛恨のロング ピット。一方アジャストが決まったと
思われるブレイニーはピット後からラーソンを追い始めます。
ラーソンは逆にルース気味になっているように見えます。
夜へと向かうレースは、基本的にリアのグリップが勝ってタイト方向に
なっていくので、それにあわせて少しずつルース側へアジャストで振って
バランスを取りたいところですが、一歩間違うとこういうことが起こります。
このままロング ランが続けばブレイニーの勝利あるんじゃない?
と期待した237周目、ダニエル スアレスが壁に当たり、跳ね返って
アレックス ボウマンにもヒット。コーションとなります。
残り25周、ラーソン、ハービック、ブレイニーの順でリスタート。
ブレイニーはラーソンの真後ろでへばりつきますが、エイプロンに
スプリッターを当ててしまい急速にルースとなって後退。
一方のラーソンもルースが直っておらず、ハービックがラーソンの
お株を奪う外からのパスでリーダーに。
そのおよそ5周後、順位を取り返したいブレイニーがラーソンに対して
サイド ドラフトを使おうと接近した結果接触。これでブレイニー脱落、
ラーソンも勝負権を完全に失いました。
お互いに言い合いになるのかなと思ったら、インタビューでブレイニーは
神妙な表情で、最後には「自分のミス」だと自ら非を認めました。
これで再びコーションとなると作戦が別れ、上位6台がステイ アウト。
ジョーイ ロガーノとマーティン トゥルーエックス ジュニアが1列目。
ここまで影の薄かったトゥルーエックスですが、ならばと作戦で
前に出てきました。
そして、バイロンがまた2タイヤ交換で7位リスタートです。
残り15周でリスタート、前ではトゥルーエックスが外からリード、
しかしバイロンが集団でルースになり姿勢を乱して、後続車両が巻き添えに。
多重事故発生でまたもやコーション、あまりに散らかっているので赤旗になります。
残り9周でリスタート。クリーン エアーのトゥルーエックスに対して、
4タイヤ勢でトップ、6位からリスタートのハービックが追いつけるか、
が見どころでしたが、ハービックはリスク覚悟の大外ラインを走って
一気にトゥルーエックスとの間合いを詰めると残り2周でパス。
そのまま逃げ切り、今季5勝目を挙げました。強い!
ハービックの年間5勝は自己最多タイ、開幕からの12戦で5勝したのは
1997年のジェフ ゴードン以来で、1980年以降では
1982年のダレル ウォルトリップ、85年のビル エリオット、87年の
デイル アーンハート(12戦6勝)、上記ゴードンに次いで5人目。
このうちエリオット以外は全てその年のチャンピオンになっています。
復帰戦となったマット ケンゼスは最後のアクシデントの巻き添えとなり36位。
ただ、それまでも3周遅れあたりの走行で、チームメイトの
リッキー ステンハウス ジュニアがリード ラップをなんとか維持していたのと
比べると内容は雲泥の差、短期的に見れば明らかにトレバー ベインの方が
いい結果を出しているでしょう。
ただスポンサーを当てにしただけの起用なら寂しい話なので、
早いことレース勘を取り戻してもらいたいです。
さて、気になったのはバイロンです。彼は他のレースでも最近は
結構な頻度で2タイヤを実行して順位を上げており、ショート オーバルでは
意外と機能しているケースもありました。
しかし、今日のレースでの2タイヤはあまりに無理があったと思います。
クルー チーフは参謀として知られるダリアン グラブで、経験豊富なグラブに
バイロンをグイグイ引っ張って育ててもらおう、という意図があるのかと
思いますが、それにしてもこれは作戦とは言い難い戦略でした。
ステイアウトがいなければクリーンエアーを得られるのでまだ多少は
効果があるでしょうが、そうでなければ、前に中途半端に遅い車、
後ろから速い車で一番混沌とする位置関係ですし、そこに慣れていない
新人が入り込めばどうなるかはなんとなく想像が付くはずです。
そういう難局も経験しろ!というスパルタ方針かもしれませんが、
ベテランでも誰もここで2タイヤなんてやってないですし、
慣れてない新人選手には、4タイヤでもリードラップで最後の15周、みんなが
目の色を変えて争い始める状況にまず慣れる必要があるはずです。
ドライバーのための作戦というよりは、どことなく、グラブの方に、
うまく行く確率なんてほとんどないけど、これで万一にもハマって
結果が出たら俺の功績になるんじゃないか、そんな、クルーチーフとしての
欲が出てしまってドライバーに無理強いをさせたように思えました。
さて、次戦はオールスター、箸休めのレースです。