FORMULA 1 GRAN PREMIO DE ESPAÑA EMIRATES 2018 Barcelona
CIRCUIT DE BARCELONA-CATALUNYA 4.655km×66Laps=307.104km
winner:winner:Lewis Hamilton
(Mercedes AMG Petronas Motorsport/Mercedes F1 W09 EQ Power+)
F1第5戦、おなじみヨーロッパの開幕戦スペイン。
カタルーニャ サーキットはオフに全面再舗装を行った、というのが
大きな話題でした。
この再舗装で当然タイムは速くなりますが、新しい舗装に高ダウンフォースの
F1車両が高速コーナリングを行うと、タイヤがものすごい力を受けることは
想像に難くありません。
オフのテストではブリスターが大量発生。ブリスターというのは
タイヤの温度が一気に上昇して内部の気泡が膨張して表面にブツブツと
穴が開いてしまう現象です。放っておくとタイヤが破壊されてバーストする
危険な症状なので、ピレリは対策を検討。結果、ゴムのトレッドを4mm薄くする、
という脱毛センターな処置を取りました。ゴム表面に近い柔らかい部分を
予め削ってしまうことで、よく動く部分が消えて気泡ができる余地をなくす、
という感じだろうと思っていますがF1の高度な理屈はよく分かりません。
レース後これについて不満が出たりするわけですが、レースは
ルイス ハミルトンがアゼルバイジャンに続いて2連勝、前回はもらった
勝利でしたが、今回はハミルトンらしい勝利でした。
予選では上記小細工タイヤのせいもあってか妙な展開。
タイヤはSS、S、Mの3種類でしたが、Q3進出ドライバーのうち
フェルナンド アロンソ以外はみんなSでQ2を突破。
そしてそのQ3でさえ、SSよりSでタイムを出す人が現れるという
極めて珍しいことになりました。
元々このコースはとりわけ左前輪に大きな負担がかかるので
低温作動型のSSは不向きなタイヤですが、それにしても予選で1周の
タイムを出すにもあまり役に立たないとは・・・
そんな珍予選でしたがハミルトンがPP、バルテリ ボッタス、
セバスチャン ベッテル、キミ ライコネン、マックス フェルスタッペン、
ダニエル リカルド、とチームごとに綺麗なトップ6になります。
決勝は、できれば1ストップで行きたいところ。
スタートでベッテルがボッタスを抜きますが、中団グループで
多重事故発生。ロマン グロージャンがスピンした上に
巻き込んでコースの真ん中に戻ってきてしまって、
ニコ ヒュルケンベルグとピエール ガスリーが巻き添え。
いきなりSCが入ります。3台も大破したので回収に時間がかかり、
これで1ストップが多少やりやすくなりますが、降水確率80%、
黒い雲が見える怪しげな天気のバルセロナ、タイヤが冷えると各ドライバー
いつもながら文句たらたら。
リスタート後レースが流れ始めると、誰もバトルにならないお馴染みの展開。
目には見えませんが、高速コーナーが連なるこのレイアウトでは、
相手の車の2秒以内に入ると乱気流の影響が大きく、バランスが悪くなり、
無理に近寄ると、アンダーの車を無理に曲げて走ることになるので
前輪をかなり摩耗させてしまいます。「これ以上近づけない」というやつです。
黒い雲が見えるのでドライバーも予報を気にしている様子。
フェルナンド アロンソも無線で聞いていますが、去年のホンダ時代に
「雨って降るの? >降らないよ (暫し経過) ノー パワー! →リタイア」
という、晴れなら勝負にならないから故意リタイアした疑惑が
記憶に新しいところです^^;
17周を終えると2位のベッテルがまずピットへ。S→Mの交換ですが、
寿命的にギリギリ1ストップできるかどうかの距離。
しかも、ベッテルはケビン マグヌッセンの後ろに入ってしまい
クリーン エアーを得ることができません。
これは3位のボッタスはオーバーカットのチャンスです。
2周後にボッタスもピットへ。ところがメルセデスにしては遅いピット作業。
ターン1を前に、ベッテルはストレートでマグヌッセンを抜きつつ、
ピットを出てきたボッタスも抜いて実質的な順位は変わりません。
いつも通り2.5秒ぐらいで終えていればボッタスが前だった可能性が
高かったので、痛いロスでした。
特に追われる驚異のないハミルトンは25周まで引っ張って1ストップ
安全圏でタイヤ交換。ちょうどレッド ブル2台の間に入りました。
ステイ アウトのフェルスタッペンとぶつからないかだけが心配です(´・ω・`)
その間にライコネンはトラブルでリタイア、なぜかこういう役は
全部回ってきます。
予想外にSで引っ張ってレース折り返しまで来てしまったレッドブル勢。
ボッタスの無線は
「ここは集中していこう、どうやらレッドブルは1ストップで我々の前にいる」
ということは、ボッタスは2ストップを考えている可能性があります。
33周目にリカルド、次にフェルスタッペンと半分作戦でレッドブルも
交換終了。タイムを調べると、引っ張った古いSのフェルスタッペンと
新品Mのベッテルのタイムがさほど大きく変わらないのが興味深いところです。
というかフェルスタッペン速いと思います。
これでコース上に見た目の順位は元通りですが、2ストップなら
レッドブル勢は2位、3位の可能性があります。
そこでボッタスの無線で、エンジニアからは
「もしこのタイヤで最後まで走るとしたらどうか情報くれる?」と
作戦変更の打診。
「今のところ安定してるよ」とボッタス。これは最後まで行くかも。
じゃあベッテルはどうする。
なんてことを気にしていたら、エステバン オコンがトラブルで停止。
油圧トラブルのようですが、この前のピット作業でナットの問題で
長時間停止させられており、熱の問題が関係したかもしれません。
そして、車が止まったのでVSCとなり、ピットに入るアタックチャ~ンス。
そこでアタックチャンスを使ったのがベッテルでした。
ボッタスに対しては順位を失いますが、フェルスタッペンよりは
前でコースに戻れて、新しいMに交換できるので、と思ったら、
作業時間長くてフェルスタッペンにもも抜かれてしまいました。普通に
3秒程度で出せていればベッテルが前だったと思います。
そして、VSCが終わると、、、、いきなりフェルスタッペンが
周回遅れのセルゲイ シロトキンと接触。VSC明けで加速すると思ったら、
シロトキンは道を譲ろうとしたのかいきなり減速。反応できず
ウイングが当たってしまいました。これはどっちが悪いとも言えない
場面ですね。少なくともフェルスタッペンが無茶したわけではないと思います。
これで左側の翼端板が消し飛び、ここでは致命的、かと思ったら
意外と速いフェルスタッペン、グラフを見ても、VSC前と同じ流れで
推移しているので、これだけ見たらウイングが壊れてるとは誰も
思わないでしょう。
かくして、手負いのフェルスタッペンなら抜けると思いきや、
2秒以内に近寄れないままベッテルは時間ばかりが経過。
メルセデス2台は楽な展開となり、そのままハミルトンはあまり
テレビにも映ることなくトップでチェッカー、ボッタスとワン・ツーを
決めました。
フェルスタッペンが3位で今日はひとまずナイス レース。
ベッテルは、2度ともピットのタイミングや作業に問題があり、
色々と悔やまれる4位でした。
リカルドは全然後半出てこずどうしたもんかと思いましたが、
リスタート後に冷えたタイヤに苦しんでスピンしたとのこと。
ペースを見ると、速い周はフェルスタッペンと同じかやや速いペースなのに、
遅い周とギザギザのグラフになっていて、フェルスタッペンは綺麗な
線を描いています。
タイヤの熱がうまく制御できず、グリップが上がったり無くなったりを
繰り返していた可能性がありそうです。
ようやく自力で勝ったハミルトン、これで復活か、というと
そうとも言い切れないと思います。
元々メルセデスは昨年から、速く走れる条件の幅が狭く、ハミルトンも
『ディーバ』と呼んで手を焼いていました。
今年はそれを無くすのが開発方針でしたが、実際には癖は抜けていない感じで、
対ライバルでもボッタスでもレース毎に立ち位置がバラバラです。
メルセデス自体も、伝統的にリアが厳しい車になることが多く、
それはフロントに厳しいコースでちょうどよくなって速く走れたりも
していたので、スペインの結果だけをもって、改善したとは
判断はできないでしょう。
次戦モナコではまたディーバが顔を出す可能性もありますし、
当分はこうした混戦が続くと思います。
そろそろライコネンに良いことが起こってほしいですね!