2018 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE
富士スピードウェイ 4.563km×110Laps=501.93km(GT300 leader:102Laps)
GT300 class winner:ARTA BMW M6 GT3 高木 真一/Sean Walkinshaw
             (AUTOBACS RACING TEAM AGURI/BMW M6 GT3)

 GT300クラスの富士500kmは昨年の夏の富士に続いてARTA M6が
圧倒的な速さ。PPからスタートしてピット時以外はトップを譲らず
完璧なレースで勝利を挙げました。特に言うこと無いですw


 Studieがいなくなったため今季唯一のM6となっているARTA。
GT3車両って確かギア比はファイナルしかいじれないと思うんですが、
M6は鈴鹿だと、ダウンフォース重視の車ではない重量級な上に
『ギア比が合わない』こともあってものすごく苦手。
一方富士は得意コース。顔がデカくて実は意外と最高速が伸びないのが
唯一の泣き所でしたが、今年は予選での計測ではGT300最速の
最高速283.3km/hを記録。テストでも281km/hを記録しています。
 去年の第2戦のBoPの資料が見当たらないので曖昧ですが、おそらく
BoPで定められている最大ブースト圧の値が昨年よりも少し
緩和されているはずなので、その影響でストレートが速くなっていると
思われます。


 JAF GTとマザーシャシーは軽さを生かしてタイヤを替えないなどの
作戦を採用してくることが間違いないため、GT3ユーザーは何かしら
対応策を検討しないとピットで抜かれてしまうわけですが、
ARTAは王道の4輪交換を2度行う堂々とした戦いぶり。
本当に言うことのないレースで、特に流れを追うこともなさそうです。

 そのARTAを追っていたのはSUBARU BRZ R&D SPORTでした。
BRZ=富士ではどんどん抜かれる、が定番でしたが、今年のBRZは
空気抵抗を減らす方向に開発、また、BoPが昨年までは吸気リストリクターで
行われていたものが、今年は他のGT3ターボ車と同じように
ブースト圧での調整となり、パワーが出しやすい方向へとなったことも
追い風となって、最高速度が昨年比10km/h向上しています。
 これによって予選2位から抜かれることなく、しかしARTAには
追いつけずに2位を追走していましたが、40周目にエンジンが壊れてリタイア。
 BRZが使用しているのは元々WRCに使用していたところからGT用に
転用して開発・使用を続けているEJ20型エンジン。
 トヨタがGT500・300に、WRCで使っていた3S-GTE型エンジンを
流用していたのと似たような経路で、基礎性能の高さ、実績で抜群の
ものがあるわけですが、言ってしまえば10年以上同じものをなんとか
絞りだして使い続けている状態。
どんどん高速化し、大排気量の車が600馬力近いパワーで走る現在の
GT300を戦うには、さすがに拓海の86のエンジンよろしく、限界が
来ているのではないか、というか超えているのではないかと思えます。
 もちろんトラブルの要因は分かりませんが、パワーが出るようになったことで
さらに負荷がかかってしまったのが一因のような気がします。
そもそも水平対向ってターボ化して出力を上げるにはあまり向いている
形状ではなかったと思います。
 BRZのベース車が積んでいるFA20型(にターボを取り付けたもの)
への代替わりを、と言っても競技用が無いエンジンをイチから作るのも
当然大変で、エンジンに鞭を打ち続けるしかないのが悩ましいところです。

 変わって2位に上がってきたのは7位から出たTOYOTA PRIUS apr GTの
エース車両31号車。開幕戦では不運な追突事故で脱落しましたが、
ここも相変わらず直線は速く、かつタイヤ戦略も割と使える富士500kmに
適した車。ARTAには遠く及ばず25秒差でしたが、昨年は性能調整の
影響もあって不調だったので、この2戦で速さを見れたのは応援している
身としては嬉しいことです。

 3位はGAINER TANAX GT-R。こちらはスタート直後に接触で
後方に落っこちたところから追い上げて来ての3位。
 2018年型のGT-RニスモGT3は、開幕前はBoPで絞られすぎて
『むしろ旧型の方が速くね?』とすら言われていましたが、実際は
ちょっと緩和されたようでストレートも復活。
 GT500の椅子を失ってここへ来た形の安田 裕信とすれば、
当然見返してやりたい、戻ってやりたい気持ちもあるでしょうから、
まずは怒涛の追い上げで1つ見せることができました。


 ストレートという点ではポルシェはアップデートでダウンフォースを
増やした見返りに当たり前ですが最高速を失い、直線番長では
無くなってしまいました。以前タイプ991型になった際も似た状況で、
総合力アップどころが全体に取り柄のない車になってしまった気がしますが、
D'station Porscheが9位スタートで6位フィニッシュ。
岡山では速くて2位でしたから、取り柄が無くて困る、という状況ではなく、
これは案外最後までタイトル争いに絡む存在かもしれません。


 今回マザーシャシー勢は結局トラブルやら重さやらペース不足やらで
GT3勢を脅かす流れにはならず。
最高速がそこまで遅くないので、あまり奇策にかけすぎなくても実はいいのでは、
とも思えてしまいますが、攻めたタイヤとセットでもこれ以上ペースを
上げる余地がないのでしょうか?

 奇策を講じたのはグッドスマイル 初音ミク AMGで、なんと左2輪交換を2回、
つまり右側は102周無交換!( ゚Д゚)
4位スタート、5位フィニッシュ、という結果からして、これが
良かったのか悪かったのか微妙なところではありますが、
ドライバーもバランスの違いでさぞ大変だったことでしょう。
第3スティントなんて、左の方がだいぶ外径が大きくて右に傾いてたのでは?
と思ってしまいました。


なお、植毛GT-Rは今回リチャード ブラッドリーを第3ドライバーとして
登録しましたが、予選ではそのブラッドリーが四輪脱輪
(コース外走行)によるタイム抹消で最下位となる29位。
決勝は8ポジション アップの21位(3周遅れ)でした。
レース中のベストタイムは全車中下から2番目でした。