Monster Energy NASCAR Cup Series
Daytona 500
Daytona International Speedway 2.5miles×200Laps(60/60/80)=500miles
winner:Austin Dillon(Richard Childress Racing/Dow Chevrolet Camaro ZL1)

 さて始まりました今年のNASCARカップ シリーズ。
開幕戦が年間を通じて最大のイベント!NASCARのスーパーボウル!とか
向こうのメディアでも表現されるデイトナ500です。
何がビックリってリーガン スミスがピット リポーターになっていたことです。
あ、どうでもいいですか、すいません。

 レースは全体的な若返りのせいなのか妙に落ち着きが無く、前日のNXSに続いて
オーバータイムに突入。そして勝ったのは予想外のオースティン ディロンでした。
2月18日は、ここデイトナで命を落としたデイル アーンハートの命日。
同じRCRで、彼の死後封印されてきた3番を背負ったディロンが、数年に
一度しか訪れない2月18日のレースで勝ったというのは何かの縁でしょうか。

 ブギティブギティブギティ!去年はたしか言わなかったので、
デイトナ500ではたぶん2年ぶり。アレックス ボウマンとデニー ハムリンを
先頭に始まりました。

 9周目、2018年の初コーションは、画面では一切映ってませんでしたが
72号車・コリー ラジョーイのエンジン故障。
 このタイミングで給油すればステージ1を走り切れるのでほぼ全員
ピットへ飛び込みますが、ここでリーダーのハムリンがボックスを通過する凡ミス。
さらに、車を戻し切らないうちにうっかり給油する連係ミスも犯し、
『1周ペナルティー』を受けます。これは文字通り、ピットで待機して
周回遅れになるのを待ってから合流するという、日欧のレースではあり得ない
処罰方法です。

 12周目にリスタートが切られた後は割と入れ代わり立ち代わりの展開で
まだまだ本命は見えてきませんが、29周目にカイル ブッシュがタイヤのトラブルで
緊急ピット。コーションも出なくて一人後退。
 さらにステージ残り10周でカイルが再びタイヤ破損。今度は車両中破&
数台巻き添えでコーションになってしまいます。2018年初事故車両でしょう。

 ステージ終盤ということでここでも、次ステージを優先するかステージ ポイントを
狙うかで戦略が割れますが、気づけばピット組のライアン ブレイニーが
ガンガン追い上げてステージ最終周。
 みんなまるでレースの最終周みたいにやたら動いた結果、
イメージ 1
当然こうなりました。過剰に攻めたブレイニーと、過剰に抑えにかかった
リッキー ステンハウス ジュニアの争いが発端、彼ら自身は切り抜けたものの、
周囲がとっちらかってしまいました。
ジミー ジョンソン、エリック ジョーンズ、ダニエル スアレス、ウイリアム バイロンら
上位チームの車も相次いで巻き添え。
ジョンソンは、ザ クラッシュ、デュエルに続いてここでもリタイア。
このスピード ウイークは散々でした。

 解説のジェフ ゴードンも
「(仕掛けるのが)早すぎるよ。ステージポイントは大事だけど、
 デイトナ500が大事だろ?」と苦言

コーションのままカート ブッシュがステージ1を制しました。

 ところが、カートはこの後のピットで自分のボックスに入れずピット通過。
FOXの解説で「スプリッター高制限が無くなったから、ピットでハンドルを切った時に
スプリッターが地面に当たる」というような話が出ていましたので、
昨年までより急ハンドルがやりにくい事情はありそうですが、これは
関係なくただの凡ミスでしょう。

 
 ステージ2、やらかしたブレイニーと、そのブレイニーに代わって
ウッド ブラザーズ レーシングに加入したポール メナードが好調なようで
レースを引っ張っていきます。
このステージは比較的落ち着いていましたが、ステージが半分を消化したあたりで、
既に手負いだったバイロンが再び壁にヒット、結局デブリーを
撒いてコーションとなりました。

 このコーションでほとんどが給油に向かいますが、
マーティン トゥルーエックス ジュニアはステイ アウトに出ます。
リポートによると、クルー チーフのコール パーンは、親友だった
ジェイコブ デイモンという人が急死したとのこと。
チームでは昨年ジム ワトソンという人も亡くなり、オーナーの
バーニー ビッサーも病気で一時入院、そしてトゥルーエックスの
恋人のシェリー ポレックスは癌で闘病中と、あまり穏やかではありません。

 そんなMr.ステージ優勝をリーダーに98周目にリスタートしますが、
やはり速いのはブレイニー。
トヨタ勢はもう実質トゥルーエックスとハムリンしかいないので、
おなじみトヨタ編隊を築くことができません。
そして4周後の102周目、ブレイニー、エリオット、ブラッド ケゼロウスキーの
それぞれの動きがビミョーに重なった結果
再び大惨事( ゚Д゚)NASCAR引退のダニカ パトリック、ケビン ハービックも巻き添え。
ブレイニーは先頭だったので気にせず通過。今日は明らかにこの人が何か
やらかしそうです。

 109周目のリスタート後はさすがにちょっとみんな自重。
ただ、有力コンテンダーだったリッキー ステンハウス ジュニアはまさかの
オーバーヒートで脱落。ステージ2をブレイニーが制しました。


 このステージ間コーションではトゥルーエックスにタイヤ バイオレーション
(詳細不明)があり、最後尾へ落っことされます。

 ステージ3はブレイニーとジョーイ ロガーノの1列目。
ケゼロウスキーが脱落してもまだロガーノがいるペンスキーですが、
この2人が仲良くレースできるとは私には思えませんw

 この2人はこの後レースをリードして何も起こらずレースは残り44周。
ウインドウが開いたということで数台が先にピットへ向かいますが、
上位陣の大半はステイ アウト。
 そしてこの上位勢は残り29周でピットになだれ込んでいき、ほぼ全員
2タイヤ交換。ただ、トゥルーエックスは先ほど4タイヤを行っていたので
ここを給油のみで出て順位大幅アップ。
しかしロガーノはピット入り口で速度違反&作業も失敗で後退。
 そしてハムリンはなぜかぽつんと1人でもう1周引っ張り、ピット後に
やや順位を落とします。なぜ引っ張ったのか謎。

 なお、ロガーノは今季のスポッターに、昨年までデイル アーンハート ジュニアの
スポッターだったT J メジャーズを迎えています。

 ブレイニーは100周以上をリード、これは2005年のトニー スチュワート以来、
そして、仮に100周以上リードして勝つと、1998年のデイル アーンハート以来、
というデータも紹介されますが、こういうデータを出すと勝てないのが世の常。
残り11周でまたバイロンがスピン。もうカマロぼっこぼこです。
イメージ 2

 残り7周でリスタート。ブレイニーは一旦リードを失うもすごい勢いで復活。
カート ブッシュ、ハムリン、エリック アルミローラらと争いながら
残り2周までこぎつけますが、
ブレイニーがまたやらかしました。後ろからも押されていたとはいえ、
ターンで完全にカートに引っ掛けてまたまた大惨事。そしてこれで
オーバータイムに突入します。


 ハムリン、アルミローラの最前列でオーバータイム開始。もうすっかり
暗くなりました。顔ぶれ的にハムリン有利かなと思っていたら、
アルミローラが飛び出してホワイト フラッグ。
外ラインはやや遅れてディロンが来ているものの、その後ろは新人の
ダレル ウォーレス ジュニア。
インのアルミローラとハムリンが一騎打ちか、と思った残り半周。
ここでアルミローラはいきなり外へ振ってディロンをカバー、そして
ゆらゆらとブロック ラインを取っていたら、
ディロンに吹っ飛ばされました。押したディロンが良いかと言われると
そんなことはないんですが、ちょっとアルミローラの動きも良くなかったですし、
外を抑えに行かせたスポッターの指示もどうだったのかな、という気がしました。

 かくしてディロンがトップでチェッカー。
RCRの車がデイトナ500で勝つのは2007年のケビン ハービック以来で、
デイル シニアと合わせてチーム史上3度目。この2007年のハービックもまた
デイル シニアの命日である2月18日のレースでした。

 そして2位はウォーレス。黒人ドライバーとしては1966年の
ウェンデル スコット(13位)を上回りデイトナ500史上最上位、
カップ全体でも、同じくスコットが優勝して以来、歴代2番目の順位です。
(スコットは通算1勝で2位は一度も記録していない)

 最終的にリード ラップでフィニッシュしたのはたった10台。
ジャスティン マークスが12位、デービッド ギリランドが14位という結果に
荒れた一端が見えます。

 今年は本当に荒れていました。若手の台頭、と捉えて良いのかは
難しいところですが、暴れまくったブレイニー、ちょっと物議をかもす感じとはいえ
ナンバー3をデイトナのビクトリー レーンに導いたディロン、
最後に泣いた移籍組のアルミローラ、洗礼を浴びたボウマン、バイロン、ジョーンズら。
ドライバーのキャラが立ち始めて、今年は1つ違った流れのシーズンを
期待できそうなレースでした。
でも、暴れすぎて怪我はしないように気を付けてください。

 なお、ポイントでは58点を獲得したブレイニーがトップになっています。