とりあえずここまで、最低限の常識の話から入りましたが、
これはこれ以上言ったところでどうしようもありません。

 というわけで、そういう故意性のある不届き物の話はここまで。
ここからはちゃんとレースをする意思のある人に向けた、ようやく本題です。

 実際にレースをする際ですが、知り合いだけで草レースをする分には、
気にせず全開で走って、うっかりやらかしたらレース後謝ってネタにすれば
そんなに問題にはならないと思いますが、知らない人相手だとそうもいきませんし、
ましてやポイントレースだとその1回が大きいので特に避けたいところ。
ていうか身内でも選手権だったら結構一大事です。
 
 まず最初に考えるべきは、一人で走るのと周りに人がいるのとでは、
同じことをしていてはいけない、ということです。
 追突で起こりやすいのは、いつもの場所でブレーキを踏んだけど、
前の人の減速が速くて突っ込む、というパターンだと思います。
特に車が密集するスタート直後には目立ちます。
 ここでタイトルの想像力の出番ですが、車が混んでいるということは、
当然各々が順位を上げることを狙っているわけです。
普段とは違うラインを通ったり、立ち上がりで予想外に速度差ができて
ストレートの途中で前につかえてしまったりして、普段よりも手前で
減速をすることはよくあることです。
 チェイン リアクション、連鎖反応と言うやつですが、これはいつどこで
どういう形で起きるか分かりません。
そうしたことがあるぞ、と考えるか、全然気にしないでいつもの場所まで
アクセルを踏むか、というのが、事故を起こすか起こさないかの
1つの分かれ目です。

 GT SPORTのレースでのローリング スタートは基本的に練習できないので、
特に最初のコーナーのブレーキの開始はぶっちゃけ山勘で、
私も前に合わせるしかなく、PPスタートだと「早すぎたらごめんなさい!」
と思いながらてきとーに踏みます。
(余談ですが、後方グリッドで最終コーナーのすげえ中途半端な位置から
自動運転解除するのやめてほしいですね)

 ですから余計に、何事も起こると思う必要があります。
もちろん、前があまりに早い減速をしたならさっさと抜いてしまいましょう。


 スタートを抜けても、順位争いの中ではやはりマナーの問題が出てきます。
前回書いた通り、人を壁にして曲がったり、押してどけたりしてはいけません。
 もちろんこのあたり、腕前という問題は出てきます。
当てるつもりは無いんだけど、あんまりうまくないからブレーキングポイントが
分かってない、並んだら横が見えないから確認する余裕がない、
そういったことはもちろんあると思います。
 みんながみんな毎日何時間も遊んで単独走行なら全然ミスらない人ばかりでは
ないですから、そうした要因は、逆に上手い人もある程度織り込んでおく必要は
あるでしょう。
 しかしもちろん、上手くない人の側も、上手くなければ免罪符を
得られるわけではありませんから、ぶつからない努力を怠ってはいけません。

 まず、最低限ブレーキをどこで踏むかの基準は自分のなかでしっかりと
持っておかないといけません。
私の場合は、コース脇の看板、縁石の始まる位置なんかが多いです。
今作のニュルGPはコース脇に置いてあってすぐ蹴飛ばされる距離看板が無いので
結構距離感に苦労していますが。
 あと、現実世界では無理ですが、時間が固定ならコース上の影や、
サジェステッドギアの点滅も使えます。

 ただ、抜きに行く際にはたいていラインを変えますので、ここでまた
想像力を働かせる必要があります。
看板にしろ縁石にしろ、普段アウト側で見ているのと、インに入って見るのとでは
見え方が違うので、それが原因で場所が狂いがちです。
また、インから入っていくと旋回半径が小さくなって旋回速度は当然落ちますから、
それを無視していつも通りに進入すると、たいてい速度超過で外に膨らみ、
これが相手を壁にして押し出す大きな要因になります。

 プロのバトルであれば、インから入って相手の前に素早く入りながら外に抜ける
美しい追い抜きも出きますが、あれはある程度抜かれる側の技術も含め
高度で素早い判断抜きにはできないですし、ゲーム上では、相手がもう
後ろに抜けたか、まだ横にいるかの確認は瞬時にできないので、基本的には
相手が並び続けている前提で物事を組み立てるのがスジだと思います。
 結果私の場合よく誰もいないラインを延々開けてたりして、
マッキーさんにも言われたことありますけど、傍から見てあんまり
格好よくはないですw が、つまらん接触は減りますし、抜かれるときに
やられるリスクも軽減できます。
 できればモーションを左右の視点確認に使えるような設定を加えてくれると
多少マシになるんですけどね。


 追突に関しては、人間の反応速度という問題を織り込んでいないことも一因です。
みなさん、自分が走ってるリプレイを見たことはあるでしょうか?
 一度ブレーキングポイントを見てみてください。自分が目標としている場所の
遥か先でブレーキを踏んでいることが分かります。
 これは教習所でも習うと思いますが、人間・考えてから自分が実際に
体を動かすまでには時間差があります。
 これがどういうことかと言うと、追いかける立場にいる際に、
相手のブレーキライトを見てこっちもブレーキを踏むと、結構な確率で
ぶつかってしまうということです。
 相手が踏んだのを見て踏んだんだから同時だと思っていても、実際には
見る~踏むのラグがあり、このラグによる、いわゆる空走距離が車間距離よりも
小さくなると、実際のブレーキングポイントは相手よりも奥になっています。

 250km/hで走行していれば、約69m/s、一般のドライバーの反応速度は
0.75秒、鍛えられた人でも0.3秒程度で、0.1秒未満は不可能な領域と
されていますから、仮に鍛えられた人でも 20m、平凡だと50m、
私みたいに眠たくなってくると自覚は無くても70mほど空走距離が
あることになります

 特に追う側はペースが良いので、相手よりも速度が出た状態にいることが
多いわけで、本来相手よりも減速を早く開始しないといけません。
 物理の授業で出てきますが、運動エネルギーというものは速度の2乗に比例するので、
ほんの数km/h速いだけで、それを止めるために必要な力は大きく増加します。

 電車でGO!で遊んでいて、ちょっと時間を取り戻そうといつもより
10km/hほど速く走っただけで全然止まらずオーバーランするのもたいてい
このイメージがわかず、数字だけで「たった10km/h」と思っているからです。

 私がデロリアンのレースでヤスさんにぶつけてしまったのもこれで、
未だにあの行動を悔やんでいるわけですが、相手と一緒にブレーキを踏んだら
まずいかもしれないぞ、という想像力は常に働かせておかないといけません。
 また、車種やドライビングスタイルによる個人差でもブレーキングポイントは
変わってしまいますから、重たくて速く踏まないと曲がれないR35を相手に
「お前踏むのが早すぎ、ドケ下手くそ」なんて態度で押すのは言語道断です。
自分がR35乗ってみればいいです。そういう想像力を持てず、
いつも自分の走りが優先、いつもの場所で減速して、その時邪魔になったやつは
そいつが下手なだけだから押された奴が悪い、そういう態度では
レースは決してできません。
こういう自業自得論は必ず実社会の生活でも問題になるので改善すべきです。


 GT SPORTは旧作と比べて、特にスリップストリーム・リアルでは
かなり抜きづらくなっています。
収録コースも中高速が多くてこれもまた抜きづらいです。
ですから、秒単位で上回るペースを持っていないと自力での追い抜きは難しく、
どうしても「もっと速く走れるのに!」という思いは出てきますが、
そこははっきりと申し上げておきましょう、それがモータースポーツです。

 ドラゴントレイルの魔のシケインとか、あのあたりのラインは一本なので、
「こういう場所は手前までに決着しなかったらやめておく」というのが
上手い人ほど感覚として理解していて、レースしていれば
「ああ、この人は分かってるな」と伝わってくるものがあります。
 しかし、その感覚を持たないと、とにかく前より速度があったら
何でもかんでも並んで走って、となってしまい、そしてシケインで刺さります。
 このコーナーで並んだらどうなるのか、というところを考えるのも
これまた想像力かなと思います。

 例のマスタングの方もミラーで見ていてまさにそうでした。
この前は後ろで見ていましたが、相手がミスをしてここだという場所を待って、
機会が来た時にスパッと狙っていました。結果ミスって飛び出してましたが。
 
 これはSUPER GTのドライビングにおける基本概念として示されていますが、
基本的にリスクを負うのは抜く側である、というものがあり、
結果ミスって飛びだした、というのはある意味正常な出来事です。
抜かれる側が飛ばされた、が多いというのは好ましい状況ではありません。


 抜かれる側も全く無策ではいけませんので、最低限バックミラーの
確認はしておくべきです。
なんかミサイルが来そうだなと感じたら、あるいはさっきから何回か既に
やってるやつがいたら、むしろさっさとインを開けてこっちは早めのブレーキで
ミサイルやらせておいて、どうせ曲がれっこないので、ラインを外れたところを
出口重視で離してやれば被害にあう確率は下げることができます。
 ただ私のようにミラー見すぎるとタイムガタ落ちなので、そこは
メンタルをなんとかしましょうw


 これらは一人で走っているだけでは身に付きませんし、
AI相手では下手くそすぎてどうしようもないので、結局は実戦で
失敗しながら学ぶしかありませんが、意識付けが無ければいくら失敗しても
学ぶことができません。
 ぜひ皆さんも、想像力を働かせて、相手があって初めて競技は成立するんだ、
ということを頭に入れて、オンライン対戦に望んでいただけたらと思います。
 DRがBの8割ぐらいのところから全然増えなくなった若輩者の
意見ではありますが、ユーザーさんへ向けた提言でした。