2017 FORMULA 1 PETRONAS MALAYSIA GRAND PRIX 2017 Kuala Lumpur
SEPANG INTERNATIONAL CIRCUIT 5.543km×56Laps=310.408km
winner:Max Verstappen((Red Bull Racing/Red Bull Racing RB13-TAG Heuer)
F1第15戦マレーシア。セパン サーキットは見た目にも綺麗で、
追い抜きもそこそこできて雨の波乱もあって結構好きなコースなんですが、
残念ながら開催は今年で最後。
(もちろん意向が替わって再びお金を払えば復活の可能性は無いわけではないが)
そんな最後のレースを制したのは、前日に20歳の誕生日を迎えたばかりの
マックス フェルスタッペンでした。2017年のリタイア王まさかの復活です。
予選ではセバスチャン ベッテルのPUにまさかのトラブル発生。
Q1すらアタックできずに最後尾スタート。ということでPU交換をさらに進めて
在庫を作っておきます。
この週末は予想外にメルセデスの動きが鈍いようで、レースでの速さの予想は
フェラーリ>レッド ブル>メルセデス
しかしベッテルが崩れた上に、PPはキミ ライコネンを0.045秒差で下した
ルイス ハミルトン。フェラーリは巻き返しのチャンスを生かしきれません。
決勝日は雨の予報がありましたが、大雨は決勝の2時間ほど前に降ったらしく
ベッテル的には残念。
さらに残念なことに、ライコネンはレコノサンスに出る前からガレージ内で
あたふたしており、まさかと思ったらコースに出るもパワーが出ず。
結局ライコネンはスタートすらできませんでした。
バルテリ ボッタスは予選5位と出遅れ気味で、これでレッドブル2台が
ハミルトンを攻略しに行くチャンスです。去年もこんな展開で
ハミルトンのエンジンが壊れましたね。ハミルトンの悲痛な無線は未だに
耳に残っています。
スタートではボッタスがスリップストリームを上手く使って外から
ダニエル リカルドを抜きレッドブルの間に割って入ります。
中団ではエステバン オコンがランス ストロールに接触。
オコンのインにはセルジオ ペレスがいて3ワイドになったため、
オコンは無線で「チェコ(ペレスの愛称)がまた寄せてきてストロールと当たった」
といちゃもん(川井 一仁が別のことを喋っていたので訳してもらえなかった)
しかし、どう見てもペレスは普通にターンしていて、ただのアクシデントです。
何でもペレスのせいにすればいいというものではありません。
ボッタスは3位に上がって良い仕事をしたものの、フェルスタッペンには
付いて行けず、1-2位と3-4位争いに分断。
ほどなく、ハミルトンは無線で『ディーレイト』を訴えます。
ディーレイトはよく川井ちゃんも言いますが、メルセデス内で
『回生パワーが切れて電動アシストが無くなった状態』を指します。
ルノーではクリッピングと呼ぶことが多く、ホンダで日本人向けの説明では
『ディプロイ切れ』と表現します。
すると4周目のターン1、フェルスタッペンがインから仕掛けて前へ。
フェルスタッペンは、ハミルトンが無茶できないだろうし、
回生パワーが弱いのも聞いているはずなので、アシスト全開で仕掛けました。
それにしても、メルセデスをああも綺麗に抜く車って滅多に見ないので
やはり爽快な気分でした。
リカルドの方も9周目にようやくボッタスを抜いて3位へ浮上。
一方ベッテルは最後尾から10周目にはもう10位まで追い上げてきており、
非常に速いペースです。
この後はベッテルが順位を上げていく以外はやや膠着した雰囲気。
基本的にはSS→Sの1ストップと思われ、SSをどこまで引っ張るかに
注目が集まりますが、雨上がりで路面温度が低いことは寿命の面でプラスに
働いています。ベッテルの方はS→SSの逆作戦を採っています。
19周目のフェルスタッペンの無線では
「左前タイヤがターン7・8でちょっとギブ アップし始めている」
というちょっと独特な言い回しで劣化を訴えますが、その割にまだ
走れる様子。ハミルトンに9秒もの差を付けており、相手が動いたら動けば
いいだけの安心設計です。
21周目、ベッテルはペレスを抜いて5位まで挽回。
そしてレース距離の半分近い26周まで走ってようやくハミルトンがピット。
翌周にフェルスタッペンも予定通り合わせると、なんとタイヤ選択が違う
ベッテルもここでピットへ。残り29周をSSで走るというフェラーリにしては
攻めた判断です。普段のレースでもこういう決断をすればもうちょっと
点数稼げてるんですがね。。。
ボッタスはさらに次の周に入って、これでベッテルはこれでボッタスを
アンダーカット。引っ張るぞ、と言われたリカルドも29周目には入って
そんなに引っ張ったわけでもなく、これで上位陣のピットはほぼ終了。
ここからはベッテルがリカルドを、リカルドもハミルトンをじわじわと
追い上げていくタイム争いが見どころ。
なんか中団以降では小競り合いから無線での罵り合いが続いていましたが、
ベッテルは少しずつリカルドに迫り、リカルドは追いきれなさそう。
49周目のターン1でとうとうベッテルがDRSを使って仕掛けますが、
リカルドがすごいラインを変えながら防御。怒られないの?w
抜かれるのも時間の問題かと思いましたが、しばらくブロックしていたら
ベッテルが後退。どうやら熱の問題があったようで、これは我慢したリカルドの
執念勝ちでした。
結局フェルスタッペンは最後までリードを綺麗に守って今季初優勝、
予選ではリカルドを上回る力を見せており、レースでもちゃんと走れば
遜色ないことを改めて見せつけられた気がします。
もちろん、メルセデスが守りに入っている、フェラーリがいなかった、
ということを言い出せばキリがないですが、SCとか、作戦の当たりはずれとかではなく、
コース上において実力で勝ったという点に価値があると思いました。
ハミルトンはイタリアGPでも終盤にディーレイトがあって気になりましたが、
今使っているPUはスパで使い始めたやつなので、チーム側が意図的に
酷使しないモードを選ばせているせいな気もします。現状ポイントでは
大きなリードがあるので、無理はしないのかもしれません。
そして、シンガポールに続いて、路面温度が下がったことには助けられた
かもしれません。
フェラーリは元々シンガポールを落とせば後は戦えそうなコースが
無いと言われていたのが、なんとすぐにその場面が巡ってきたのに、
それも落として痛すぎます。
ベッテルは4位まで取り返したのはすばらしかったですが、レース後に
なんとストロールと接触し車両中破。レース後を手を振ったり
タイヤカスを拾ったりで、あんまり周りに注意を払っておらず、互いにあまりに
不用意でした。壊れた車からベッテルが下りる画面に
Driver of the Day Sebastian VETTEL
とテロップが出ていたのはちょっと笑えましたが、リアを壊しているので
万一ギアボックスにダメージがあると困ります。
不用意と言えば、最初の接触を人のせいにしたオコンはこの後も
2度他車と絡んでいました。ちょっとレースが荒かったです。
ボッタスは影が薄いレースでした。彼は、どういうコース/条件だと苦手、
とかいうのが特にあるわけでもないと思うんですが、なんかダメな日が
時々あります。移籍1年目だから、今まで良い車で走ったこと無いから、
なんて言えるのは今年だけで、このムラを直さんことには、来年には完全に
ナンバー2になってしまいます。何が悪いんでしょうか?
一方ストフェル バンドーンは予選7位からそのまま7位フィニッシュ。
パワーのないホンダでこのコースでよく頑張りました。
このところ予選でもフェルナンド アロンソを上回る場面も出始めており、
徐々に大物の雰囲気が出始めたでしょうか。
彗星のごとく!みたいな感じじゃなくて、走るごとに学んでいって
上達するタイプらしいので、今後に期待大です。
期待大と言えば、トロ ロッソはいきなりピエール ガスリーがデビュー。
クビアトが首やと!?と言いたくなるのはお約束ですが、
予選でもいきなりカルロス サインツに肉薄し、決勝もしっかりこなしていました。
こちらも期待できる選手に違いないでしょう。
次戦の日本GPも走るそうですが、鈴鹿は新人殺しなので、
「俺このコースなら知ってるぜ~」とかついつい調子に乗ると
デグナーの餌食になって高い修理代を払うことになります。
鈴鹿こそじわじわ行った方が良いです。
選手権争いは秋風ムードですが、日本GPでの一発逆転を期待しましょう。
フェラーリとすれば、気象条件こそ違いますが、スパ、セパンと
高速コーナーのあるコースで、ダウンフォースを武器に思った以上に
メルセデスと戦えるという感覚は持っていると思うので、
セットさえ出すことができれば鈴鹿でも戦えるんじゃないかなと、
少なくとも1か月前よりは展開が楽しみになりました。
しかも土日の予報はこの時期としては気温が高めになりそうな感じが・・・?