2017 FORMULA 1 SINGAPORE AIRLINES SINGAPORE GRAND PRIX Singapore
MARINA BAY STREET CIRCUIT 5.065km×61Laps=308.828km
                     (時間規定により58周に短縮)
winner:Lewis Hamilton(Mercedes AMG Petronas Motorsport/
                                                                  Mercedes W08 EQ Power+)

 F1唯一の耐久戦がやってまいりました、シンガポールGP。
今年で10回目の心理的節目のレースは、初の雨絡みのレースになってしまい、
フェラーリ好きの心は一瞬でへし折られ、ルイス ハミルトンが3連勝を挙げました。


 予選ではメルセデス勢に元気がなく、PP争いはマックス フェルスタッペンと
セバスチャン ベッテルの争いに。フェルスタッペンに史上最年少PPの
可能性が出てきましたが、Q3でベッテルがこれを一蹴するタイムを記録。
Q2から1秒以上記録を更新してチャンピオン争い再逆転へ落とせない一戦を
先頭からスタートすることに成功しました。
 2位フェルスタッペン、3位ダニエル リカルド、4位キミ ライコネン。
この並びが結果的に最悪の結果をもたらしてしまうわけですが。。。


 検索をすると『シンガポールを旅行するなら雨対策は必須』とたくさん
出てくるぐらい雨は当たり前なお国柄。これまでにも降るぞ、ということは
ありながら、決勝で雨が降ったのは初めてです。しかも、雨量が中途半端で
スタート時のタイヤもウエットとインターミディエイトが混在。
上位3チームはIM選択、以後は10台に対してIM4台とややWが人気です。

 これは前回のF1GPニュースで出ていて、今回の放送中にもされた話題ですが、
『ある人物』によると、「今年のインターダメだから」とのこと。
 雨量が多いと発熱しない/排水量不足でグリップしない、ところが
雨量が減ると今度は劣化が早くてすぐに性能が落ちる。
IMが役に立つ条件があまりにも限られてしまうため、事実上役に立たない、
ということです。
 イタリアGPの予選後もドライバーからはIMの使いにくさが指摘されており、
今回見た目の水量のわりにIM選択が少なかった要因の1つだと思います。


 しかし、この狭いコースで雨でタイヤ混在というと、もはや嫌な予感しかしません。
そしてその予感は現実になりました。
スタート直後、ベッテル、フェルスタッペン、ライコネンの3台が絡み、
さらに不運なことにフェルナンド アロンソも巻き添えに。


 破滅的、とはまさにこのことでしょう。絶対リタイアだと思った
アロンソが実はその後走行を継続していたことには驚きましたがw
 私の見解としては、これは不運な事故でしかないです。
ベッテルがフェルスタッペンをけん制するのは仕方ない、寄せてきたら
フェルスタッペンが車を左へ進めるのも仕方ない、
自分の方が蹴り出しが良かったんだから、ライコネンが壁とフェルスタッペンの
隙間に入っていくのも仕方ない。
誰も間違ったことはしていないけど、たまたま重なったら事故になっただけです。
川井 一仁はまだ映像確認が不十分な段階で誰が悪かったかな話を
していましたが、結局映像を見て話が二転三転するだけだし、あんまりあの段階で
余計なことは言わない方が良かったと思います。

 フェルスタッペンはベッテルがいらんことしたと非難し、フェラーリは
フェルスタッペンを非難し、レッド ブルはそれに反論しているようですが、
全部無意味な論争だと思います。
 一番文句を言いたいのは、好スタートをして大外から一気に抜きに行ったら
いきなり体当たりされたアロンソでしょう。
結局車体へのダメージが大きく、センサー故障でその度合いも分からず、
最後は「ノー パワー」でリタイア。本当にパワーが原因かは信用なりませんが(^_^;)

 この混乱でハミルトンがしれっとトップに、スタートに失敗した結果
リカルドはカオスを避けて2位。3位ニコ ヒュルケンベルグ、4位セルジオ ペレス、
5位ジョリオン パーマー、6位にバルテリ ボッタスと順位もかなり
おかしなことになりました。


 5周目にリスタート、リカルドの番狂わせを期待しましたが、
ハミルトンはリスタート後異様に速く後続は付いて行けず。
タイヤ的には最初こそWがやや優勢に見えましたが、徐々にIMに
熱が入ってきたのと路面水量の減少で立場は逆になって行った模様。
 11周目、ダニール クビアトがケビン マグヌッセンをせっかく抜いた後に
壁に刺さるしょんぼりなミス。これで2度目のSC投入。
 ここでハミルトンはステイ アウトしますが後続は軒並みピットに入り、
Wを捨てるなり新しいIMにするなり。
ボッタスとサインツがステイアウトして3位、4位とコース上での順位を上げます。
サインツにとってはこれが良い結果をもたらしました。

 これまたリカルドにチャンス到来かと期待しましたが、15周目にリスタートすると
またハミルトンはするすると逃走。
この条件では太刀打ちできそうもありません。
 中団グループでは小競り合いが続きますが、上位はとりあえずドライへの
タイヤ交換イベントまで何も起きそうにない展開。
しかし湿度が高いのと市街地舗装のせいか、妙に滑りやすそうな場所が散在。

 それでも24周目、マグヌッセンが「入るぞ、入るぞ」と自分からコール。
最初に替える→自爆→またSC、というオチもあるので油断なりませんが、
マグヌッセンはものの数周で好タイムを叩き出し始め、ここから
ドライ一斉交換キャンペーンが始まります。
 ハミルトンは8秒以上のリードがあるので自分から慌てて動く必要もなく、
このイベントでも大きな波乱は無し。

 しかし38周目にマーカス エリクソンがスピン。よりによって
一番狭いアンダーソン ブリッジの上に停車して2車線のうち1車線を完全に閉鎖。
これで3度目のSC導入。何でSCなんだと文句を言うハミルトンですが、
どう考えても重機を橋の上までもっていかないといけないので
車がパックになって作業時間を確保しないと回収不可能です。
残念ながらぶつけてサスペンションが壊れてるので牽引もできません。
VSCだと永久に解除不可能です。
あ、VSCのまま2時間制で終わりにしてくれってこと?w

 これがNASCARならリスタートの度に波乱を意識するところですが、
このレースでリスタートに何か起きるとは思えず、あるとしたら
SC中に追突した挙句、文句ついでに側面から車体をぶつけるぐらい。
 明らかに2時間以内に走り切れる見込みがない展開で、残り時間
27分を切ったところで3度目のリスタート。
 眠くなってきたのでもうあとは明日でもいいかなとは思いつつ、
どんな予想外のことが起きるか分からないのに
「ここで寝て録画で見ました」では1時間半見てきた意味がないな、と
なんとか粘ってみたものの、ここからの約30分には特に見どころ無し。

 ハミルトンに対しては、万一SCが入った際、ぶっちぎりで走っていて
車間が空くと、リカルドがいわゆるフリー ストップを得て新品タイヤに
替えてくる恐れがあるし、もちろんその場合自身のタイヤは消耗しているので、
ペースを抑えて引き付けるよう指示。
しかしハミルトンは「どうやるんだよ」と拒否。そりゃそうだよ、
こういう市街地コースで変にリズム替えたらミスの元だし。
この辺は作戦屋さんと実際に走る人の考え方の根本の違いがよく分かります。
星野 一義だったら絶対そんなこと言わないでしょうね。
「こらー、誰がペース落として良いって言ったー」とか言いそうです。

 ハミルトンは結局4秒程度のほどほどの差でチェッカー。
っと思ったらもう1周。寝ぼけてたのかと思いましたが、ハミルトンは
残り時間0になった後新たな周回に入って、それからチェッカーを受けています。
2時間ルールって
『2時間を超えて新しい周回に入らない』だと思い込んでたんですが、
今のF1の規則は

 所定のレース距離が走破される前に2時間が経過してしまう場合は、
2時間が経過し終えた周回の次の周回終了時点で先頭車両がコントロールライン
(以下、ライン)を通過した時にチェッカーフラッグが表示される。
ただし、これによって予定された周回数を超えることがないことを条件とする。

(2017FIAフォーミュラ1世界選手権規則書 JAF発表の日本語版より引用)

となっており、DTMでいうところの『2時間+1周』なんですね。
以前は2時間経った時点でチェッカー振ってたんでどこかで競技規則が
変わってるんですがいつからなんでしょう?
うーむ、間違えたままのサイトも多いから意外と知らん人多いんかな・・・


 何はともあれハミルトン25点、ベッテル0点で選手権は
ハミルトンが28点の大量リードへと一変。
今後メルセデス優位なコースが続くのでここでフェラーリは大量点必須、
しかも予選でメルセデスがもたついたから、レッドブルを間に挟んで
相手に点を上げない大チャンス、だったはずが、まさかこんなことになるとは。
 そして車いないのにサイン ガードに座り続けているフェラーリのスタッフは
一体2時間の間何の仕事をしていたんでしょうか。ある意味気になります。

 ヒュルケンベルグは4位走行中にトラブルで脱落、
変わってサインツが自己最高位の4位でフィニッシュ。
そしてパーマーもようやく念願の初入賞。来年のシートはたぶん無いけど。
 次戦はマレーシア、フェラーリとしたらもう今度も土砂降りで、
できればハミルトンが高速コーナー走ってる瞬間にいきなり
そこだけ降ってきてハミルトンだけリタイアすることを望んでいることでしょう。