2017 FORMULA 1 PIRELLI BELGIAN GRAND PRIX Spa-Francorchamps
CIRCUIT DE SPA-FRANCORCHAMPS 7.004km×44Laps=308.052
winner:Lewis Hamilton(Mercedes AMG Petronas Motorsport/
                                                                  Mercedes W08 EQ Power+)

 夏休みが開けたF1はスパから後半戦開始。とりあえずロバート クビサは
出てこない模様。
 極めて全開率の高いコースとあって事前の予想ではメルセデス有利でしたが、
レースは非常に拮抗した戦いになり、でも結局ルイス ハミルトンが優勝、
幸先の良いスタートを切りました。

2017 Belgian Grand Prix | Race Highlights
 週末のイベントではミハエル シューマッハーの息子であるミック シューマッハーが
1994年にミハエルの使用したベネトンB194でデモ走行。
Mick Schumacher Honours Michael With Spa Demo Run
 子供の頃はダサい車だと思ったけど今見たら普通ですね。

 事前予想ではメルセデス有利、だったはずがフリー走行ではフェラーリが好調、
という流れで始まった予選でしたが、ハミルトンは1'42.553と強烈なタイムを
叩きだしてPP獲得。平均速度は245.8km/h。
このペースで走ったら300kmのレースがすぐ終わってしまう^^;

 フェルナンド アロンソはスリップ引っ張りっこも使って頑張りましたが
11位でQ2落ち、最後のアタックではパワーが無くなったと訴えピットへ。
原因はトラブルではなくアロンソのドライビング。

オートスポーツweb 

F1 Topic:予選Q2のラストアタックでアロンソのデプロイメントはなぜ機能しなかったのか?


記事はやや批判的にまとめられていますが、なんとか遅い車でタイムを出そうと
本来戻すスロットルを戻さずに少しでもタイムを詰めようと思うのは
ドライバーの本能で、いちいち回生の仕組みまで考えて運転はしないと思うので、
ちょっと違うかなという気がします。手動アシストもできるはずですが、
攻めていて急にガクッとパワーが落ちてすぐに
「あ、今俺が全開を続けたからだ、オーバーテイクを押さないと」とまで
瞬時に考えられるか?というと、難しいのではないでしょうか。


 さて決勝スタート、2位のセバスチャン ベッテルとすれば
最初のケメルストレートがまずチャンス、いい間合いかと思いましたが
そうそう抜かせてはもらえません。ハミルトン、ベッテル、バルテリ ボッタス、
キミ ライコネンと見慣れた順位。
 後方では混戦からまたフォース インディア2台が接触。車だらけだったとはいえ、
セルジオ ペレスがエステバン オコンを壁に追いやっており非常に危険でした。
 そしてアロンソはそうした混乱を利用して7位に上がったものの、
すぐに抜かれていき不満が募ります。
 
 ベッテルはメルセデスの独走を許さないらしく
「今のところあいつに付いていけるよ、問題ない」
 一方問題があったのはアロンソで、5周目

アロンソ「恥ずかしい、本当に恥ずかしい」
エンジニア(そういえば名前を知らない)
「ああ見てるよフェルナンド。今日できるベストを尽くそう。ターン4で(コース外走行の)
 2回警告が出てるから気を付けて」

 なんか早くもアロンソ暴言祭りの予感がします^^;さっそく6周目
エンジニア「マグヌッセンがグロージャンの1.4秒後方だぞ」
アロンソ「ギャップとかそんなに気にすることもねえよ。これテストだし」

 8周目、せっかく5位だったマックス フェルスタッペンにトラブル。
パワーが出なくなり、坂は上ったけどケメルストレートで退避路に停止でリタイア。
ちょっと気の毒ですね。
 そしてこの事象による黄旗でライコネンが黄旗無視のペナルティー。
前回区間のコース脇に車が止まっているだけですが、規則上アクセルを戻すなど
黄旗を見て減速したことを示す必要があります。伝えられたライコネンは
「どういうこと?彼はコース脇にいただろ?」と不満げ。
しかし黄旗が出ている以上ルールはルール。10秒停止ペナルティーの重罰です。
 ただ実際問題、じゃあ310km/hで通過する場所をちょっと戻して295km/hで
通過していかほどの安全性向上が見込めるのか、というと極めて無意味なのも事実。
安全を最優先にするならもっと前後区間までイエローにして減速させるか、
VSCをほんの一時的にでも入れないといけません。

 12周目、ハミルトンから先にピットへ。このレースはUSからSへの
1ストップが主流。フェラーリ側は最初からアンダーカット狙いではなく、
引っ張った上でレース後半にタイヤの履歴差を利用して抜くつもりのようです。
 確かにフェラーリはSだと多少温まりが悪いし、少々前に出ても
抜き返されるので、アンダーカットにあまり魅力を感じないのは理解できます。
 といってもそんなに引っ張るでもなく、2周後にベッテルもピットへ。
先に入られた分遅れていましたが、すぐに差を詰めに行くあたり
ペースは速そうです。どうせならもうちょっと極端に引っ張らないと
抜けないまま終わる気がするので中途半端な気がしましたが。

18周目のアロンソ
えんじにあ「フェルナンド、リアを守るためにサジェスト フォーを提案する。
      (BBWの設定か?)フロントのロックに気を付けてくれ」
あろんそ「もうレース中は無線いらねえよ!」

さらに20周目のアロンソ。テレビ放送だと最初のエンジニアの文言が無いので
意味が今一つ通りませんが、情報サイトにある内容だと意味が通ります。

えんじにあ「フェルナンド、ストフェルがこの周ピットに入る
あろんs「何で?俺が唯一オーバーテイクできる(放送禁止)な車なのに
えんじnあ「フェルナンド、ヒュルケンベルグとストロールにやられたくないんだ。
      間違えたパーマーとストロール」
あろnそ「次の周には抜かれちまうよ。防御しようがない。まあ俺の人生が
     変わるわけじゃないけど」

 この時バンドーンがアロンソの目前にいて、後ろにパーマーとストロールがいました。
アロンソの言い分は、自分の車は遅すぎて、同じ遅すぎる格下のチームメイトの
クソ車しか抜けねえ、ということのようですが、DRSを得ていれば後ろから
抜かれない防御の役割を果たしている、という点も大きかったんでしょう。

 依然トップ争いは1.5秒前後の間隔を維持。タイヤを傷めずに付いていける
ギリギリの距離がこれで、ベッテルは我慢しながら待っている、
という風に見えます。ただハミルトンのタイヤがガクッと来ない限り
決定打はないように思えます。
 ボッタスは3位で一人ぼっち、4位のリカルドをペナルティーで後退した
ライコネンが追いたいんですが、あまりペースが変わらずこちらも
追いつける気がしません。

 展開的にはしばし退屈ですが、もっと退屈なのはこの人でした。

アロンソ「雨の予報ある?」
エンジニア「いいや、レーダーに雨はないよフェルナンド」

あー、もうやる気でねえし、雨ぐらいしか期待できるもんねえなあ、
という雰囲気、そして

aろんそ「エンジンに問題。エンジンに問題」
エンジニア「分かったこの周ボックスだ」

突然のトラブルでアロンソ脱落。なんですが、レース後の話ではデータに
異常なし。ホンダF1総責任者の長谷川 祐介によると、
異変はデータ上に無くてもドライバーが感じることはあるから用心のため、
という言い方で故意のリタイアではないとしましたが、流れ的に
パワーではなくやる気が無くなったのでは?と思われても仕方ありません。
データに異常はないけど違和感があるならこのPUを使いまわすわけには
いきませんから、アロンソは次戦でPU総取り換えでグリッド降格しかないですね。
だってデータ上異変が無くて、たぶんトラブル シューティングも無理ですから。
せっかくレースしてるのに、また原因不明のトラブルでも起きたら
アロンソに失礼なので、最後尾スタートをしていただきましょう。


 29周目、もう一組、最近不機嫌街道真っただ中のコンビがやらかします。
またオー ルージュ手前でペレスがオコンを壁に押し付けて接触。
破片が散乱してSCが入ります。
 ペレスは元々オコンの後ろを走っていましたが、この前のピットで
先に入ってオコンをアンダーカットしていました。

オコン「何であいつを先にピットに入れたんだ」
エンジニア「彼は5秒ペナルティーがあったから君の前には出ないはずだったんだ」
オコン「ふざけんなよ」

こんなやり取りがあった後ですが、ペレスの動きは明らかに相手の行き場を奪い、
ましてや壁側に追いやっていて危険極まりないです。
出場停止でも構わないと思ったのに、なぜかお咎めなし。
これじゃあデスレースを推奨したようなもんで意味不明です。

 さて残り15周あまりでSCということで、上位勢はみんなピットへ。
メルセデス勢は新たにSを投入しますが、フェラーリはUSを投入。
予選であえて新品を1セット余らせていました。スーパーひとしくん作戦です。

 不利な情勢になったハミルトンはSCに不満たらたら。
「何でSC入れたんだ。馬鹿げてる」
「デブリーなんて落ちてないぞ」←たぶん既に片づけられただけ
「SCのペースが遅い」
いい加減チャーリー ホワイティングに怒られんじゃね?

 34周目、残り11周でリスタート。今回は追突とか無いですよ。
ベッテルとすれば、タイヤに熱が入り切っていないハミルトンを最初に
抜けるかどうかがカギ。私は抜けると予想しましたが、
ちょっと距離を詰めすぎたか、ケメルストレートの序盤で追いついて
横に並ぶ形となり、そこから先でメルセデスの大パワー&低ドラッグ性能が
威力を発揮。ストレート終盤でハミルトンが伸び返して順位を守りました。
 さらにその後方では3位争いは3ワイドになってリカルドがお得意の
ブレーキングで3位を奪取。3ワイドの間に挟まれたボッタス、どうしようもなく
2台にやられてしまいました。この数十秒、なかなか痺れる場面でした。

 結局この後トップ争いは膠着状態のままチェッカー。
最後はベッテルのUSがお疲れな感じでした。3位リカルド、4位ライコネン、
5位ボッタスも変わらず。レッド ブルはPUは遅いですが、空力効率、
いわゆるC/D値という点では優れていて、コーナーが速いわりに
抵抗も少ないので、バトルになると印象よりは抜きづらい車です。


 レース中川井 一仁の解説にもありましたが、メルセデスとフェラーリの
後部ライトの点滅の違いが目に留まりました。
 あのライトはよくリフト&コーストすると点く、と解説されますが、
川井ちゃんによると厳密には直前より出力が120kw以上低下した際に
点滅するようになっていて、アクセル全開でもシステム上で電動アシストを
オンからオフにした際にも点滅します。
予選でアロンソがノーパワーと言った時もたぶん点滅していたでしょう。
 
 で、メルセデスは結構コーナー手前で頻繁に点滅しているのに、
フェラーリはあまり点滅しません。じゃあフェラーリの方がより
アシストしてるのかと言うと、表示されているグラフィックでは
放出エネルギー量が多いのはメルセデス。
 ここから考えられるのは、メルセデスは120kwを立ち上がりから一気に使って
速い目にアシストを止めているのに対し、フェラーリは120kwをフルに
出力しておらず、100kwとか、80kwとか、弱めのアシストをやや長い時間
かけているのではないか、ということです。
低出力では切っても点滅しないので、どこでアシストが切れてるのかが
全く分かりませんが。

 いわゆるデプロイメントと呼ばれる、どこでどのぐらい電動アシストするかの
配分具合は現行PU規則の肝。もう4年目にもなれば、計算上どこで
どう使うと最も速いかというのはほぼ答えが出ているはずなのに、
それでもこうした違いが出ており、そして性能としては相変わらず
メルセデスPUが速い。普通に考えればメルセデスが理想形なわけで、
その理想形と同じことができない、という風に解釈すると、
フェラーリとメルセデスのPUには、未だに埋められない差が厳然と
そびえているのではないか、そんな風に感じました。


 そして次戦も高速のモンツァです。アロンソのやる気が気がかりですが、
抵抗の増えた今年の車が昨年対比でどの程度の速さなのかも気がかりです。

 ホンダに関しては、競争力が無いのは残念ですが事実です。
前から思ってるんですが、いちいち持ち込んだPUに
バージョン4を投入します、とか、
4と言えるだけの進化をできなかったので3.6です、とか、
うまく表現できないんですが、なんか対外的に頑張ってますよアピールのためで
ちょっとお役所的というか、中二病的というか、なんかそんな表現ばっか
こだわっててどうすんの?な印象を受けるので、バージョン情報とかいらない気がします。
そのうち

バージョン3.61を公開しました
主な変更点
エキゾーストサウンドの問題点を改善しました
コーナリング中の操作性を改善しました
その他不具合を改善しました

バージョン3.62を公開しました
主な変更点
テレメトリーが条件によって正しく動作しない不具合を修正しました
回生ブレーキの効率を改善しました
重量を100g軽量化しました
その他不具合を改善しました

とかやり始めるんでしょうか。
分かりやすく説明する、とか、投資家に対する説明責任を果たさないと
企業として厳しい、とか色々あるんだとは理解していますが、
要するに遅い、壊れる、直ってません、すぐ無理です!
って話をまわりくどく言い訳しているようにしか見えなくて、
そういう態度や姿勢が逆に不評を買ってるように見えてしまいます。

バージョン4.00を公開しました
主な変更点
特定のドライバーが違和感を感じる不具合を修正しました