2017 AUTOBACS SUPER GT Rd.4 SUGO GT 300km RACE
スポーツランドSUGO 3.704km×81Laps=300.024km
GT500 Class winner:DENSO KOBELCO SARD LC500
                    Heikki Kovalainen/平手 晃平
                 (LEXUS TEAM SARD/LEXUS LC500)

 約2か月ぶりのSUPER GT。夏休みにできるだけ開催するためとはいえ、
ずいぶんと時間が空いてしまいました。
 レースはSCが3度も入る荒れたレースで、GT500クラスはそれに加えて
最後の最後にまさかの出来事が起きましたが、昨年のシリーズ王者コンビが
今季初優勝を果たしました。いやあ、途中眠くなったけど最後は
目が覚めた、そしてレースが長すぎてトイレ行きたかったw


 予選ではARTA NSX-GTが2位のRAYBRIG NSX-GTを0.5秒以上引き離す
驚きのタイムでPP獲得。しかし、決勝は天候の不安定さに泣くことになります。
 日産勢は早くも今季の2基目のエンジンを投入。1基目はどうも
信頼性に問題があるのか性能を抑えて使用していたようで、それでいて、
ニスモははっきりと『信頼性の問題』と言わない歯切れの悪いコメントで、
『もっと根本的に何か失敗しているのでは?』との噂もあったようなので
さっさと1基目に見切りを付けた、というのが正しいでしょうか。
 そして、今季は年間2基という規則なのでこれで鈴鹿1000kmを含む
5戦を走る、という建前でしょうが、今季のタイトル争いが厳しいと判断されれば、
来季への開発のために、ペナルティーを受けて3基目を入れる腹積もりだと思います。
あるいは距離の長い1000kmでさっさと3基目を入れて枠だけ増やすか・・・


 決勝スタート前に振った雨、グリッド上に並ぶころには雨が上がって、
ライン上はちょっと乾き始めたから、あ、ドライかなー、いや、また
振り始めたなー、というあわただしい状況。GT500では4台がスリック選択です。
 
 スタートはNSXが上位3台独占ということで同士討ち禁止ムードありあり。
そして4位スタートでスリック選択のWedsSport ADVAN LC500がターン1で
さっそく曲がれません。スリック組はGT300よりも遅いペースでしか
走ることができません。

 これで上位4台がNSX、そして5位スタートのMOTUL MUGEN NSX-GTが
すごい勢いで追いつき、一方でARTAのペースがいまいちでNSX4台が大混戦。
という中で、1周して戻ってきたらKEIHIN NSX-GTのリアのカウルがいきなり
ストレートで飛散。締め忘れでしょうか、リアが見事に吹き飛んだ小暮 卓士は
オレンジ ディスクを掲示されてピットへ。これでいきなり1台脱落です。

イメージ 1
公式動画より

後部ライトが自分の方向いてて仕事してませんw
小暮は童夢時代にクラッシュしてリアを大破させ、エンジン丸見えなほど
壊れてるのに「大丈夫」と1周して呼び戻されたこともありました。
なぜかこの人はこういう事態に遭遇するようです。

 しかし10位スタート、雨になると元気なEpson Modulo NSX-GTが
4位に上がってきて、見た目上はまだNSXトップ4独占。
無茶苦茶な展開の中RAYBRIGがARTAを抜いてとりあえずトップになります。
 すると5周目、最終コーナーでARTO 86 MC 101がクラッシュし、早くもSC導入。
この直前にスリック組は既に3台が周回遅れで、カルソニック IMPUL GT-Rだけが
唯一のリード ラップ車となります。ヤン マーデンボローが自ら
スリックで行くと伝え、そしてフォーメーション中に無理だと言ったそうですが、
スリック組の中ではぶっちぎりで速かったので助かりました。
グランツーリスモのウエットは雨量が増えると鬼畜なので鍛えられて
いるんでしょうか。だったらみんなGT6で雨を練習したら速くなる?w

 11周目にリスタートしますが、ここで7位のMOTUL AUTECH GT-R以下は
スリック組のとばっちりを受けます。
 SGTでは周回遅れは挟まってもそのままなので、スリックでGT300より
遥かに遅いフォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rの後ろとなってしまい、
ほぼトラブル級に遅い車でもルールはルールなのでスタート/フィニッシュ ラインまで
抜くことが許されず、 リスタートした直後にストレートの受けのカメラで
映らないほど前から置いて行かれます。
もうちょっとNASCARを参考にコーションとリスタートのやり方を考えてほしいと
毎回書いておきます(ー_ー)!!

 リスタート後はRAYBRIGは逃げの展開。前戦ではリスタート後に
ピックアップ問題でペースが上がらず敗戦に繋がったので、今度こそは
勝ちたいところ。一方コース状況に合わせてころころと速い車が変わるのは
いつものことで、さっきまで元気だった無限NSXのペースが鈍り、
ARTAが追いかけ回そうとしますが、16周目にスピンして自滅。
これでまたNSXが1台後退です。そしてスリックは全然機能しません。
 
 雨が強くなると22周目にEPSONが無限を抜いて2位に浮上し
現状では ダンロップ>ヨコハマ になったようですが、EPSONとRAYBRIGの
ペースはほぼ同じで、追うところまではいかない様子。
 それどころか、また路面水量が減り出すとEPSONも元気が無くなってきており、
無限の後ろにはDENSO、WAKO'S 4CR LC500、MOTUL GT-R、
S Road CRAFTSPORTS GT-Rが団子状態。ミシュランGT-Rの2台は
リスタートでとばっちりを受けた組なので、かなり速いペースで
追い上げてきたことになります。

 29周目にDENSOが無限の扉をこじ開けると、続く30周目は無限は
1つ入られた流れで後ろにいた集団全員に抜かれる憂き目に遭います。
抜かれっぷりがかわいそうなレベルでした(^_^;)

 ピット ストップ ウインドウには入ってるんだけどまだスリックに
替えれそうにないから引っ張るしかないなあという中折り返し近い40周目、
スリック大失敗→相当手遅れになってからレイン→真っ先にまたスリック、
という後手後手の流れを踏んだフォーラムGT-Rが最終コーナーでクラッシュし、
2度目のSC導入。
 この前にも数台が飛び出してはFROが入ったりしていましたが、
特に表のストレートが急こう配で先が見えないので、いくらフラッグが
振られるとはいえ、ストレートを走っているといきなりFROが視界に現れて
ちょっと危険。それに、黄旗区間でGT300のこわごわ走ってる車に
引っかかったりするとGT500は大幅にタイムを失うのでかなり損。
やはりFCY導入を検討すべきだと思います。

 苦言ばかり呈していますが、コース上に話を戻すと上位勢では
無限NSXだけが37周目にスリックの賭けに出ていましたが、
ピット後に周回遅れになっていたので有利かはちょっと微妙です。

 47周目にリスタート、15秒のリードを失ったRAYBRIGは再び猛ダッシュ、
一方でWAKO'S、KeePer TOM'S LC500、MOTUL GT-Rは
SCに続いてピットへ。
 ただ、ピットを出るとちょうどRAYBRIGが後ろに来た上に、
車が壊れてるのかと思うぐらいの遅さであっという間に周回遅れに。
 で、画面には映っていませんでしたが、このリスタート明け1周後の
タイミングでDENSOとS Roadがピットに入ります。これが結果的に
明暗を分けてしまうことになります。
 ターン1でARTA BMW M6 GT3がスピン アウト、さらに最終コーナーでは
植毛GT-Rがバリアに突っ込んでズラを被っており、またSCが入ります。

 この結果、DENSOとS Roadはピット義務を消化し、なおかつ
リードラップの状態でSCの隊列に入ることに。
状況はトップ4台が未ピット、次の2台がピットに入った上記2台で
リードラップはこの6台のみ、7位以下は義務を消化はしているけど
周回遅れ。こうなるとDENSOとS Roadが事実上のトップ2であり、
他の車はどうあがいても3位以下しか争えません。

 53周目からリスタートですが、トップ4はSCに追随してピットへ。
見た目上WAKO'Sと無限がGT500の先頭を争っている感じになりましたが、
実際はそれより後ろを走っている車がリーダーで、彼らは今ピットに入った
人たちと1周後に3位争いをすることになる2台です。ややこしいw

 ピット組はやはり出足のペースが悪く、3位の座はWAKO'Sの手に。
RAYBRIGは何も起きなければ勝ちパターンだったのに、この混乱で
5位復帰が精一杯、さらにARTAに勝負を仕掛けられ最終コーナーでインから
並ばれると、運悪くストレートの外側ラインはFROが走行中。
RAYBRIGはブレーキ勝負の前にスロットルを戻すしかなく、これで6位に。
 だからFRO危ないって言ってるのに、しかもまだ滑りやすい状態なんだから、
ブレーキですっ飛んでぶつかる可能性だってあるわけで、
法的拘束力のない減速義務ではいつか必ず事故が起きますよ。

 RAYBRIGは結局この後も順位を下げていき、最終周には
GT300とぶつかってチェッカーを受けることさえできませんでしたが、
周回遅れが多すぎて2周遅れの9位となりました。


 DENSOとS Roadの争いはDENSOの方がペースで勝っているようで、
これは優勝争いももう決まりかな、さすがにもうこれ以上の事故波乱は
いらないや、と思っていました。

 が、一時7秒以上に開いた差が、残り12周辺りからまた縮まり出します。
最初はGT300の関係かと思いましたが、毎周確実に差が詰まっています。
レース後の話だとこの頃から雨が軽く振り始めていたようで、
この条件ではS Roadが優勢だった模様。
 職人・本山 哲の本領発揮、たぶん無線でGT500の周回遅れに
暴言吐きまくってたと思いますが、残り6周でとうとう1秒以内に入ります。
なんかGT500の周回遅れに対して青旗があんまり振られてなかった気はします。

 残り2周の最終コーナーでDENSO平手 晃平が少しGT300に詰まり
本山が背後に。
「これは絶対本山入るぞ!」と身を乗り出して見る私の期待に応えて
本山は外から勝負。ターン1は早めに引いた上でターン2で差しに
行きましたが、平手も外から応戦、当たりそうに感じて本山は自重。
平手は1車身残した上でうまく被せており、本山が突っ込んでいれば
確実に接触して、本山はトップでフィニッシュした上でペナルティーを
受けていたと思います。ギリギリの良いバトルでした。

 普通ならこれでもう終わりですが、SUGOは周回遅れ1つで最終コーナーを
曲がるまで分からないコース、ハイポイント~レインボーで
平手もちょっと突っ込みすぎてるし、まだ分からないぞ、と思って見ていた
馬の背の先、なぜか急にワイパーを動かす本山、次の瞬間
明らかに曲がれない挙動でSPコーナーに入る平手、そして同じく
姿勢を乱す本山。ここでいきなり雨が強くなるというとんでもない
罠が待ち構えていました。
 たぶん2人とも軽くパニックで、「ミスった」「抜ける」「やられる」など
様々な感情が一瞬で駆け巡ったんじゃないかと思いますが、その思いは
SPの出口で2台が接触しとっちらかるという形となって表出し、
平手は進行方向から40°近く横を向いていましたが、本山とゴリゴリ
当たり続けていたせいか真っすぐ立て直しに成功。
 逆に本山は一旦アクセルを戻してしまったのか失速してしまい、
これで勝負あり。信じられない結末でした。



 3度のSCがなければこのタイミングで雨が降ることは無かったでしょうし、
もし仮に少しレース ペースが違っていれば、最終コーナーでいきなり
この雨に当たって2台とも真っすぐバリアに刺さり、遅ければ
馬の背を直進していたかもしれません。
 雨のタイミングすら神がかり的な信じられないフィニッシュで、
やっぱりSUGOはただでは終わらんな、と改めて実感。
レース後に平手が手を合わせて謝りつつ本山と健闘をたたえ合った姿が
印象的でした。
 本山がはみ出さなければS Roadは勝てたでしょうが、予選で
おそらくミシュランが作動せずにビリだったことを考えれば
上々の結果でしょう。

 リードラップ車はたったの2台で、近年でも1000kmレースではあるものの、
300kmのレースでは2004年のSUGOでの3台以来となる少なさと思われます。
この時も最後の最後に雨が降ってきてとっちからったレースでした。
 10位のKeePerは2周遅れで79周走りましたが、GT300で優勝した
GAINER TANAX AMG GT3は77周しており、あやうく総合で
トップ10に入るところでした。
 スリック選択の失敗からグダグダになったZENT CERUMO LC500は
完走した中では最下位の13位で76周消化、GT300より少ない距離しか
走ることができませんでした。

 コンディションが荒れまくったので、GT-Rのエンジンがどうだったのかは
よく分からりませんでしたが、予選でのパフォーマンスを見ると、
エンジンだけが問題ではなさそうです。

 ちょっと今回アクシデントが多すぎたので喜んでばかりもいられませんが、
GTらしいレースが久々にあったな、という印象。
次戦は2週間後に富士スピードウェイ。
デブリーがストレートに散らばったらFROじゃなくて、すぐにSC出してくださいね。