Monster Energy NASCAR Cup Series
Quaker State 400
Kentucky Speedway 1.5miles×267Laps(80/80/107)=400.5miles
winner:Martin Truex jr.(Furniture Row Racing/
             Furniture Row/Denver Mattress Toyota Camry)


 MENCS at ケンタッキー、2週連続の土曜夜開催です。
レースは最後の最後に神のいたずらがありましたが、それを乗り越えた
マーティン トゥルーエックス ジュニアが勝利。
恋人のシェリー ポレックスの癌が再発し手術を行ったというニュースが
あったのですが、トゥルーエックスは彼女に勝利を届けました。
そしてレース後にも一波乱あったようです。


 大会は雨で変速日程、Xfinityのレースが土曜に順延されてカップと同日開催になり、
このレースを勝ったカイル ブッシュが史上初の同日開催2連勝を目指し、
PPからのスタートです。

 ステージ1、スタートから飛び出したカイルがレースをリードしますが、
2位スタートのトゥルーエックスが相変わらずロングでは強さを見せカイルに接近、
ちょうど追いついたあたりで30周のコンペティション コーションで
水入りとなりますが、レース展開が見えました。

 多くのドライバーが2タイヤ交換を選んだコーションをはさみ
ステージ後半も同じ展開、終盤にカイルを捉えたトゥルーエックスが
ステージ1を制します。
 トゥルーエックス以上に注目されたのがカイル ラーソン、彼はまたもや
車検に引っかかって予選不参加、後方スタートでしたが、どんどん抜いていって
ステージ3位、ただ、ステージ終了後のコーションで痛恨の速度違反、
また後方に下がりますσ(^_^;


 さて、違反で予選不参加の人が最近多発しますが、彼らの罰を
重くすべきだという議論があがっているそうです。
 現在の規則では、予選~決勝のスタートは同じセットのタイヤである必要があります。
予選はいわゆる2ラウンドのノックアウト方法なので、上位勢は最小でも6周使い、
2度激しく攻めたタイヤです。
 しかし、予選を走らない人は新品でスタートなので、抜きやすいトラック、
展開次第ではあまりマイナスになっていないのでは?というのがその理由。
 そのため、予選不参加の人はタイヤ1セット没収、といった案が出ているそうです。
ピット位置選択権がないことでそれなりの損害を被ってはいると思うんですが、
いかんせん“違反してビリスタートなのに何で早々に優勝争いに加わってるの?“
という感情的な面が大きいので、何かやるにしてもきちんと合理性を
持たせてほしいですね。


 さて、88周目にステージ2が始まりますが、ここからなぜか事故多発。
リスタートでカイルが飛び出してリードを奪い返した一方で、
ターン3でブラッド ケゼロウスキーが姿勢を乱してクリント ボイヤーを巻き込み、
ジミー ジョンソンも巻き添え。ケゼロウスキーは
「すまん、俺のミスだ。もうちょっと早く引けばよかった。場所が悪いのは
 分かってたんだけど」とバツが悪そう。ジョンソンもガレージ送りです。


 93周目にリスタートしますが、翌周にはトレバー ベインと
ケイシー ケインがクラッシュ。
 112周目にはさっきクラッシュしてスポイラーも無いのにとりあえず復帰した
ベインがまたスピンしてコーション。
 ステージ距離は80周で、通常だと1回の給油が必要な距離。
中団以降はこれらのコーションでちまちまとピットに入りますが、上位勢は
タイヤのデグラデーションが小さいので、クリーン エアー重視でステイ アウトを
繰り返していきます。

 それでもまだ走り切るには距離が足りないんじゃ、と思いつつ
推移を見守ると、133周目、またもやトゥルーエックスがカイルを抜いて
リーダーに。展開は変わりません。

 カイルはやはりバランスが完璧にならないことにいら立っている様子。
今週からクルー チーフのアダム スティーブンスが帰ってきましたが、

アダム「車どう?」
カイル「わかんねえ、2位の車ってとこだな」
アダム「何かできることある?」
カイル「わかんねえ、いっつもおんなじだよ、わかんねえ」

 一方、まあ人気選手だから取り上げられるのも仕方ないとはいえ、
デイル アーンハート ジュニアは今日もうまくいかない様子、無線が壊れているようで

ジュニア「そっちの声聞こえないんだけど。どうしてほしいんだよ」
グレッグ アイブス「リーダーと逆のことをしてって」
ジュニア「ちゃんと言えよ、聞こえてねえんだよ、聞こえたのは”逆”だけだ。
     自分たちの作戦やろうぜ、コールしろよ」
アイブス「りょうかーい。そうする」


 137周目にジョーイ ゲイズのクラッシュでまたコーション。
これでどうやら燃料的には最後まで走り切れそうです。
 142周目のリスタート、ここまでリスタートでやられていたトゥルーエックスが
ようやくリスタートでもカイルを制しまたステージ勝利。
2位カイル、3位にマット ケンゼス。
 ケンゼスはこの週末、ジョー ギブス レーシングと来季契約しないことが
明らかになりました。先にオチを行ってしまうと、次の週末、JGRは
エリック ジョーンズと来季の契約を結んだことを明らかにします。
今回のスポンサーはCircle Kですが、日本ではサークルKはファミリーマートと
統合して無くなってしまいますね。なんかロゴが違うと思ったら、Wikipediaによると、
日本で使っているロゴがアメリカのサークルKの旧ロゴで、他国では
使われていないとか。

 ステージの上位5台は83周に入っただけのタイヤが古いままで
走り切って順位を維持。タイヤよりも空力が大事そうなことがここでも分かりました。

 ステージ間コーションでは、4台が2タイヤ交換でトゥルーエックスの前に
立ちはだかり、ステイアウトも2台。

 167周目、ステージ3スタート、ここはカイルがラインを変えてガンガン
攻めてくるだろうと思われ、実際リスタート直後はトゥルーエックスの
前を走る場面もあったカイル。しかしその後伸び悩みます。
 対照的にトゥルーエックスは別次元の走りで次々と順位を上げ、
170周目にもうリーダーに再浮上。
おそらくカイルが付いてくると思ったんでしょうが、トゥルーエックスは無線で
「カイルに何かあったの?」と質問。カイルはトラフィックに埋まって
車が全然曲がらん、と訴えています。集団に入ってハンドリングが
悪化したようです。
 その後も
「信じられねえ、♪タイト、ルース、タイト、ルース、タイトタイトタイト、ルース」
と、とうとう歌い始める始末。
これを聞いて権藤、権藤、雨、権藤を思い浮かべる人はどれぐらいいるだろうか・・・


 ここからのトゥルーエックスはレースを支配する速さ。
1台だけスロット カーみたいにレールの上を走ってるんじゃないかと思うぐらい
路面に吸い付いています。2位にはラーソンが上がっては来ましたが、
その差は10秒を遥かに超えています。

 レースが残り60周に迫ろうかというところからピット サイクルが始まりますが、
これだけ差があるとトゥルーエックスは全くアンダーカットを警戒しなくてよいので
相手を見てから動ける楽な展開。
 ピット後も快適なドライブを続け、リード ラップ車もとうとう一けた台に。
600マイルのレースだったら全車周回遅れになりそうだな、と思いつつ、
とうとう残り1周と少し、というところで、カート ブッシュの車から白煙。
なんと無情にもコーション発生でトゥルーエックスのリードは消滅します。
 トニー スチュワートは自チームの車のエンジンの自爆装置でも
持ってるんじゃないでしょうかw

 展開的に、ただでさえ後ろに逆の動きやられる場面ですが、トゥルーエックスは
リードが大きすぎて後続との差があり、動きを見るとか、フェイントをかけるとか
小手先の技を使う余地すらなく、トゥルーエックス1台がステイアウトで
7台がピット、そしてジョーイ ロガーノがフリー パスを手にして
9台だけがリードラップでリスタート。リーダーがステイアウトなので
ウエーブ アラウンドが無いというのが今回の映像でよく分かると思います。


 オーバータイム、外選択のトゥルーエックス、内側にはカイルですが、
カイルは左側2輪交換という微妙な選択です。
蹴り出しが良いとはいえないトゥルーエックスでしたが、それをラーソンがバンプ。
一気に加速してターン1へ。あっという間に5車身分ほどリードすると、
1周回ってきたターン4出口で4台が絡むアクシデント、これで
コーションとなり、絶望的な状況からトゥルーエックスが勝利を手にしました。

 最後のリスタート、トゥルーエックスは単にグリップ力不足で
蹴り出しが悪かったのか、それとも、普通に行くと負けるから、あえて
引き付け気味に出てプッシュを誘ったのかは分かりませんが、
一度加速してしまえば旋回速度は新品タイヤと比べてもそん色ない速さでした。
 これでカップ通算10勝目で、史上60人目の2桁勝利です。

 一方カイルは今季858周のリードでこれはトゥルーエックスに次ぐ2番目に
多い周回数ですが、未だに未勝利です。
 また、JGRはこれで開幕から18戦優勝が無く、これは1997年に
32戦目(最終戦)でようやく勝利を挙げて以来の出来事。ただ、当時の
JGRはボビー ラボンテの1台体制でした。

 周回遅れではありますが、ダレル ウォーレス ジュニアは自己最高の11位。
これは黒人ドライバーとしては1971年にウェンデル スコットが11位になって以来の
最高位です。
 スコットは黒人ドライバーとして初のNASCARドライバーで、
現在のカップに相当するグランド ナショナル シリーズで勝利を挙げた
黒人唯一の優勝ドライバーとして知られています。
2015年にはNASCARの殿堂入りを果たしています。

 そして、ビリから2位でフィニッシュしたラーソン。
2位フィニッシュで選手権では1点差でリーダー、だったんですが、
レース後の車検でリアのブレーキ ダクトに違反が見つかり、
選手権ポイント35点減点と、クルーチーフのチャド ジョンストンに
3試合の出場停止及び$75000の罰金が科せられました。
 これにより、ラーソンは選手権でも34点差の2位ということになります。

 また、レース中のインタビューで
「右側のナットが締まってないかもしれないけど問題ないだろう」と言っていて、
おいおいあなた、また出場停止になりますよ、と思ったカイルの
クルーチーフのスティーブンス。
やっぱりちゃんと締まってなかったようで、$10000の罰金となりました。
出場停止は免れたようですw