Monster Energy NASCAR Cup Series、『リアルな』時間軸では、
日本時間の今日の朝にデイトナでのレースが終わっていると思います。
 なお、このレースのG+初回放送日は7月7日22:30~ですが、
野球中継が伸びた場合変更となるため、録画する方は予め時間を長めに取るか、
開始時間だけは自力で確認しておくことをお勧めします。
再放送が丸1週間後までありません。

 多少時系列が前後しますが、ソノマにスポット参戦、ひょっとしたら
ワトキンス グレンでもう一度顔を見せるかもしれない
ロード コース戦専用ドライバーについて、どんな人なのか気になって
軽く調べてみました。

 その前にその他の話題を少し。
 脊椎を損傷して離脱しているエリック アルミローラですが、
経過は良好なようで、今後2週間程度でテストに参加する見込みだとしてます。
テストでの状態を見て、その後の復帰の工程がよりはっきりしてくるものと
思われます。

 ヘンドリック モータースポーツはチェイス エリオットとの契約を
2022年まで延長することで合意したようです。
エリオットはフル参戦2年目ながらソノマ終了時点で選手権6位に付けており、
獲得ポイントだけならチームメイトのジミー ジョンソンをも上回っています。
大きなスポンサーも複数持っており、当面ヘンドリックの24は安泰の様子です。

 ソノマでは予選で1列目を独占したチップ ガナッシ レーシング。
オーナーのチップ ガナッシは、具体的な言及こそ避けたものの、
来季のドライバーについて「今季と同じような顔ぶれになるだろう」と、
変更しないことを示唆しました。カイル ラーソンは2勝を挙げソノマ終了時点で
選手権リーダー、ジェイミー マクマーリーもここ数年では最も
良い成績を挙げており、勝利こそないものの現在選手権8位です。


 さて、ソノマ戦には6人の『スペシャリスト』が登場、うち5人が
カップ戦デビューでした。決勝の成績順に見ていくことにします。

43 Billy Johnson 1986.10.10 Richard Petty Motorsports 予選26位/決勝22位

 ジミー ジョンソンの親戚では全くありません、ビリー ジョンソン。
アルミローラ(の代役のバッバ ウォーレス)の代役としてエントリー。
Wikipediaによれば本名はウィリアム アーロン ジョンソン、30歳で
私と同い年ですねw
 なんと日本人とのハーフだそうで、主にGTカーのレースで活動していて、
ここ2年はル マン24時間にフォードGTで出ているので、WECを見ている方には
知った名前かもしれません。
NASCARでもXfSにロードコース要員で何戦か出て、なかなかの速さを
見せていたそうです。

33 Boris Said 1962.9.18 Circle Sport-The Motorsports Group
                              予選34位/決勝29位

 ジェフリー アーンハートに代わって出場、今回のスペシャリストで
唯一のカップ経験者のボリス セッド。54歳はコース上で最年長でしょうね。。。
カップ戦ではロード戦の度にどこかしらから出ていてお馴染みの名前です。
 本名はボリス セッド 3世で、お父さんの通称ボブ セッド(本名ボリス セッド)も
やはりドライバー、1959年にシーブリング(セブリングとよく書かれていますが、
アメリカの人はみんなシーブリングと呼んでいるので私もそう呼んでいます)
で開催されたF1に参戦経験あり。1周目にスピンしたそうで・・・
 そして同時にボブスレー選手でもあり、1968年グルノーブル、1972年札幌の
両オリンピックでアメリカ代表として出場し札幌では10位の成績を挙げています。
また日本と縁のある人がw
 で、息子のボリスはやはりスポーツカーでの経験が長く、2005年には
BMW M3でアメリカ人として初めてニュルブルクリンク24時間の
優勝メンバーになりました。ボブお父さんも1953年に第2次世界大戦以降で
初めてアメリカ人としてヨーロッパのロードレースで勝った、ということに
なっているそうですが詳細不明。
 そんなスポーツカーの経験を生かして、1997年のトラック シリーズを皮切りに
3ナショナル シリーズに計146戦出場。
 トラックとXfSでは各1勝、カップでも最高位3位を含むトップ5を2回、
トップ10を8回記録。果たして未だに起用する意味があるのか謎ですが、
なんとなくいないと寂しいキャラですね。


23 Alon Day 1991.11.4 BK Racing 予選32位/決勝32位

 グレイ ゴールディングの代役として出場のアローン デイ。
イスラエル出身で、カップ史上初のイスラエル人ドライバーです。
 10歳からカートを初め、レースの世界でキャリアを積む一方で、高校卒業後には
イスラエルの空軍で3年間の研修を受け非常に優秀だったそうで、
結局空軍入りはレースができなくなるため辞退したものの、仮に
そちらの世界に進んでいれば、今頃はイスラエル空軍のパイロットだったかもしれません。
 当初ヨーロッパなどのフォーミュラーで経験を積み、インディー ライツに
出場するために初めてアメリカに。その後、ヨーロッパのNASCARシリーズである
Whelen Euro Seriesに参戦し2015年は3勝して年間2位、昨年も3勝で3位。
 NASCARが優秀な若手を選出する発掘プログラム NASCAR Next Programの
11人のメンバーの中に唯一ユーロ シリーズから選ばれ、
昨年XfSとトラックでデビュー。そして今回の抜擢に繋がりました。
まだ25歳と比較的若いですし、支援体制があれば伸びる才能かもしれません。
レースではフロントがボッコボコになってましたねw


15 Kevin O'connell 1967.4.29 Premium Motorsports 予選36位/決勝33位

 主にリード ソレンソンが乗っていた車の代役のケビン オコーノー。
元々開幕前は51番のリック ウェアー レーシングからエントリーすると
言われていたのに、それが後述のジョシュ ビリッキが同チームから出場と発表。
結局オコーノーはプレミアムから出ることに。
 詳しい仕組みは分かりませんが、MBAというやつでしょうか、修士号を持つ
ドライバーだそうで、3ナショナルシリーズでは史上初のドライバーだそう。
若いころのレース経歴があまり出てこなくて、スポーツカーでは結構
レース出てました、みたいなのもさほどないので、感覚的にはセミプロ系の
ドライバーなのかもしれません。


55 Tommy Regan 1977.9.16 Premium Motorsports 予選37位/決勝34位

 主にデリック コープが乗っていた車の代役のトミー リーガン。
結局チームメイトと似たリザルトに。
リーガンはお父さんがホット ロッドやらボートやらを有していて、
レイト モデルの車を兄弟に買い与えてもらうと、週ごとに兄弟で
交互にレースに出るレース好き一家だそうです。
 K&Nシリーズに参戦を果たしたのが34歳の時ですからこちらも
他のレースで活躍した人!というわけでもないようで、プレミアムの今回の
コンビはどちらかというと、細々と努力を重ねてきたドライバーが
この特殊な一戦のためにお金やら何やら集めて出場へ向けて取り組み、
念願を叶える場、といった感じだったのかなという印象です。


51 Josh Bilicki 1995.6.3 Rick Ware Racing 予選33位/決勝36位

 ティミー ヒルと、オーナーの息子であるコディー ウェアーに代わって
今回出場の22歳のビリッキ。こちらは4歳の時に子供用のカートを始めたという
ドライバーで、15歳の頃にはカートからスポーツカーへと場を移していきます。
 そして昨年のロード アメリカでXfSデビュー。本人がブログで明かしたところだと、
彼はなんとか出場契約を取ろうと、エントリー リストで”TBA(未定の意味)”
と書いてあるチームに電話し、Obaika Racingからデビューを果たした、そうです。
このオバイカ レーシングというチーム、ビクター オバイカという
ナイジェリア人実業家の方が所有しており、NASCARの主要カテゴリーでは初の
アフリカ資本チームだそうです。
 そんな驚きのデビュー戦は残念ながら予選でクラッシュ、決勝はバッテリーの
トラブルで結果が出なかったものの、オバイカとはその後もスポット参戦契約が
継続して今季もXfSに出場。そして今回のカップ戦デビューに至りました。
 フル参戦の契約があるわけではないので、それ以外の時は
ドライビングのインストラクターをしています。
カップで華々しく、いや、カップでなくても、下位カテゴリーでさえ、
フル参戦を得てレースができるのはほんの一握りだな、と改めて実感。


 以上、スポットの人たちを深堀してみました。
結構色々と面白いことが分かって良かったです。
 現状のカップではレギュラー選手はプレイオフに出るために欠場は
絶対できないので、ドライバーが固まっていない下位チームでしか
スペシャリストは出てきません。中堅チームだったらもうちょっと
面白いこともあるかもしれないんですが。
 しかし本気でスペシャリストとして代役を呼ぶんだったら、
例えばマルコス アンブローズに来てもらうとか、あるいは今
ブラジルのストックカーに出ているルーベンス バリチェロとか、
少なくともこの特殊な重い車の扱いに慣れている人でないと結果は出ないでしょう。
佐藤 琢磨でもフェルナンド アロンソでも、いきなり出ては
20位にも入れないと思います。