Monster Energy NASCAR Cup Series
Toyota/Save Mart 350
Sonoma Raceway 1.99miles×110Laps(25/25/60)=218.9miles
winner:Kevin Harvick(Stewart-Haas Racing/Mobil 1 Chevrolet SS)

 MENCS at ソノマ。縁石で楽しそうに車が飛び跳ねるロード コース戦です。
レースはステージ制でなんだかよく分からない感じになりましたが、
ケビン ハービックがソノマでの初勝利を挙げました。



 予選でPPを獲ったのはカイル ラーソン。チームメイトのジェイミー マクマーリーが
2位に並び、CGRがなんと予選1-2。
ロードコースに勝負を賭けるA J アルメンディンガーは5位、そのお隣の6位が
ダニカ パトリック。その後にはライアン ブレイニー、チェイス エリオット、
クリス ブッシャーと若手が続きます。最近の若い人は右に曲がるのが
そんなに下手じゃないですね。
 一方で、今回ロードコース要員として6人が登場。
そのうち5人がカップ戦デビューです。時間があったらどんな人か調べてみましょう^^;

 冒頭ラリー マクレイノルズが説明していた通り、ソノマのレースは、
110周を何ストップで走るか、そこにコーションがどう絡んで、どれが正解を引くか、
みたいなところが常に焦点でしたが、今年はステージ制で、たった25周で
コーションが入るのが最初から分かっているので、展開が違ったことになります。

 あと、昨年のワトキンス グレンでもそうでしたが、JGR勢はワイパー装備、
今回は他にも装備している車が何台か増加しているようで、
ワイパーで空力性能が上がるのかどうなのかもやはり気になります。

 スタート直後、逃げたのはラーソン。しかし3位スタートの
マーティン トゥルーエックス ジュニアのペースが安定していて、
一方でラーソンは明らかに序盤にタイヤを使いすぎ。
9周目のターン11でトゥルーエックスがリーダーに、その後アルメンディンガーが
2位になります。最終ターンであるターン11は、35mph以下まで減速して、
1速でもエンジン音が死ぬぐらい減速するため、『NASCARで一番遅いターン』と
呼ばれています。
 なお、ワトキンス グレンでもそうですが、NASCARのロード戦は、
サーキットの最長レイアウトから一部省いた部分を使うことと、アメリカでのターンの
呼び方には独特な風習があるため、日本人からするとかなり変な数字が付いていて、
スタートから順に

1→2→3→3a→4→7→8→8a→9→10→11

と付番されています。数字飛んでるし、aって何だよ、って感じですw

 15周目、ダニカを抜こうとインを覗いたデイル アーンハート ジュニアがスピン。
ターン11をショートカットして、あろうことかダニカさんの目の前にワープして
2台が接触しコーションに(´・ω・`)

 ジュニアは「ダニカがブロックまがいのことをしてきて滑りやすい方を走らされた」
とダニカのせいにしますが、ダニカは確かにインをおさえる動きはしたものの、
ちゃんとジュニアの空間を残しているので、あれで滑るのはジュニアが悪いです。
ただ、ブレーキが片効きしたような変なスピンではありました。
 一方当てられたダニカさん、スポッターからの
「奴はスピンしたぞ、戻ってくるから気を付けろ」という無線に
「もっと役に立つ情報ちょうだいよ!スピンしたのは知ってるから!」
とおかんむり。オーバルだとローとかハイとか行くべき方向を言うのに、
ロードだとそうもいかないのがスポッターにとっても難しい部分かもしれません。
何にせよ、6位を走っていただけにダニカの後退は残念です。

 このコーションで多くがピットに入り、入らなかったブッシャーがリーダーに。
入った組ではアルメンディンガーが11位で先頭です。
そのアルメンディンガーはリスタート後、内から外からすごい勢いで抜いて行き、
たった2周弱でリーダーに。一時的ですが、JTGドーティー レーシングが
1-2となります。
 しかし、トゥルーエックスはやはりロングで安定感があり、ステージ残り3周で
再びリーダーに返り咲き。このままステージ1を制しました。
アルメンディンガーは速いんですが、タイヤの攻撃性が高く、他のドライバーにも
ロードで上手い人はいるので、なかなか簡単に勝てる雰囲気では無くなっています。
 中団ではブラッド ケゼロウスキーとクリント ボイヤーが接触して
ボイヤーがスピンしましたが、無線では双方とも自分のミスとコメント。珍しいw

 ステージ終了直前にピットに入る人も多く作戦は既にバラバラ。
さらにステージ終了後のコーションでは、2位のアルメンディンガーは入ったものの
リーダーのトゥルーエックスは入らず。燃料的にはステージ2を走り切れる状態なので、
トラック ポジションを重視した考えです。
結局アルメンディンガーは22位からのリスタート。これは多すぎる^^;

 31周目、ソノマ要員のアローン デイがコース オフ。デイはNASCARの
カップ戦史上初のイスラエル人ドライバーです。
 そしてその直後、リッキー ステンハウス ジュニアの車が大破してコーション。
ターン4でラーソンがジュニアのインに入り、そのジュニアが外にいたダニカに接触。
またジュニアとダニカ、というところが因縁なら、そのスピンしたダニカに
直撃したのがステンハウスというのもある意味因縁でした。

 42が原因だと伝えられてラーソンに向かって暴言吐きまくるダニカさん。
その後は「リッキー、ごめんなさい」と、彼氏に謝罪です。
 34周目にリスタート、古いタイヤでもトゥルーエックスはブレイニーを率いて快走。
一方なんとか順位を上げたいアルメンディンガーはターン11で大外から
抜きに行ったらマット ディベネデトーに軽く当たり、汚れたラインで
踏ん張り切れずにスピン。なんかカオスになりましたがコーションは出ず。

 この後しぶとく走ってきたジミー ジョンソンがいつの間にか2位にまで
浮上してきたところで、デブリーによりステージ39周目にコーション。
ここでトゥルーエックスはピットに入りますが、ジョンソンはステイ。
ここでもまたステージ終了を見据えて戦略が分かれますが、トゥルーエックスは
右前のフェンダーが傷んでいるのか、タイヤの着脱にやたら時間を要していて
ピットを出たのが6番目、ピット組ではデニー ハムリンが先頭でした。

 41周目にリスタート、ジョンソンの後ろではハービックがマクマーリーを
押しのけて2位へ。ステージはそのままジョンソンが制しますが、
ハービックはステージ順位を捨てて残り2周でピットへ。


 ステージ3はハムリンとジュニアが1列目という、なんでそうなったんだか
もうよく分からんオーダーですw
 状況としては、39周目のコーションで入った組がまず前に固まっていて、
その次にステージ終了前の46~47周目に入った組で、この先頭がハービックの8位、
そしてステージ2を終えてから入った組が並んでいて、その先頭は
ジョンソンの22位です。
ステージ3は60周なので、いずれも必ず1ピットは必要です。

 ステージ3開始直後はハムリンがリード、それにカイル ブッシュが追い付いて
3周だけリードしますが、タイヤの新しいハービックが彼らをまとめて料理。
そのハービックもまたトゥルーエックスに料理され、67周目に
またトゥルーエックスがリードする形に戻ります。

 レースが残り42周となると、中団以降で早めのピット サイクルがスタート。
あまりに放置してアンダーカットされても困るので、残り40周で
トップ2もピットへ。
トゥルーエックスはまたタイヤ交換で時間を食って順位を落とします。
 アルメンディンガーはピット後にバッテリーがダメで電圧が下がってると訴え、
ズタボロの車でなんとか順位を上げてきたものの、ここでバッテリー交換のため
戦線離脱です。

 しかしそれ以上に深刻だったのはトゥルーエックス。
エンジン音が変だな、と思ったらピットからのリポートで、
エンジンに問題が出ているとのこと。タイムが2秒も落ちているようです。
その後いきなりコース上で最速になるなど症状にばらつきがある模様でしたが、
結局はエンジンがダメでリタイアを余儀なくされました。

 コース上ではペンスキーの2台が引っ張り作戦。
ブラッド ケゼロウスキーはいつまで経ってもピットに入らず、普通にやっても
ダメだからコーションによる奇跡を希望作戦でしょうか。
 しかし何も起きない間にハービックが追い付き、88周目にリーダーに。
トゥルーエックスが脱落したことで、ハービックを終えるドライバーが
全く見当たらない状況となっており、このままコーションが出ないとハービックの
独走劇で終わりになってしまいます。

 結局ケゼロウスキーは残り18周まで引っ張ってピットへ。
11位でコースに復帰しました。
 2位はハムリン、3位にクリント ボイヤー。今回CARS3のスキームのボイヤー。
先週は同スキームのラーソンが勝っていて、今週ボイヤーが勝ったら
いい宣伝どころか八百長っぽいですが、ボイヤーがハムリンを抜いてこれでSHRが
1-2体制です。思い返せば昨年のレースも14と11の争いで、14は
トニー スチュワート。結局最終周のごたごたした争いの末にスチュワートが
結果的に現役最後の勝利を挙げていました。ハムリンは対14号車でソノマ2連敗です。

 残り6周ではターン11でオースティン ディロンとジョンソンが接触して
ディロンが回りますがコーションは出ず。
ハービック、ボイヤー、ハムリンのオーダーのまま、とうとうホワイト フラッグが
振られ、もうコーションが出てもハービックの勝ちが確定するだけです。
 ハービックがいよいよターン11に入ったところで、ケイシー ケインが
クラッシュしてコーションが出ますが、もちろん意味なし。
ハービックが勝利を挙げ、SHRはチーム史上3度目の1-2を達成しました。

 この週末は併催されるのが、仮にカップ戦をメジャー リーグだとしたら、
普段の3A相当のXfinityではなく、1A程度の大会であるK&N Pro Series westでしたが、
ハービックはこれに出場して優勝。
少しでもソノマでの良い感触を得ようとしていたようです。
 このレースにはダニエル スアレスとブレイニーも出ていてそれぞれ11位と26位。
また、日本人の古賀 琢麻もこのシリーズに参戦しているのでこのレースに出ており、
1周遅れの21位でした。

 そして、3位には最終周でハムリンを抜いたケゼロウスキー。
ケゼロウスキーはピットを出た段階ではハービックから41秒差でしたが、
フィニッシュ時は10秒以内。
コーションを待つ極端な引っ張りより、残り25周ぐらいでピットに入って
少ない目の燃料と新しいタイヤでプッシュしていれば、ひょっとしたら
ハービックに追いついたんじゃないかと思います。
ハービックは残り40周で入っていて燃料的にもタイヤ的にもあまり
無理できませんでしたから、追えばチャンスはあったはずです。
 というかみんなアンダーカットとコーションを警戒して
ちょっと早く動きすぎな気がしました。



 元々作戦の表裏があるロードコースにステージ制が加わって、
レース内容が分かりにくくなりすぎており、これがファンのためなのか?
という疑問が正直なところです。
リーダー数とリード チェンジ回数がソノマ史上最多だったんですが、
それがレースの面白さを決めるわけではありませんし、ちょっと
ステージ制とロードは相性が悪いんじゃないかと思いました。