2017 FORMULA 1 AZERBAIJAN GRAND PRIX Baku
BAKU CITY CIRCUIT 6.003km×51Laps=306.049km
winner:Daniel Ricciardo(Red Bull Racing/Red Bull Racing RB13)

 F1第8戦アゼルバイジャンGP。昨年はヨーロッパGPと名乗っていましたが、
今年は国名を名乗ることにしました。ほかは去年と変わりません。
 今回のレースはあまりにもカオス。勝ったのは、本来この高速コースでは
不利なはずのレッド ブルのダニエル リカルド、2位は一時周回遅れだった
バルテリ ボッタス、そして3位はなんとランス ストロール。
あまりに色んな事が起きたので、今日は箇条書きにしながら、
そして多すぎるので赤旗前後で区切ってみたいと思います。


 予選ではルイス ハミルトンが恐ろしく速いタイムでPP獲得。
リカルドはアタック中にズル~~~、っと滑って壁に当ててしまい、
10位からのスタートです。ギアボックスを壊さなかったのは幸いでした。

 とにかくこのレース、コースが長方形で2km近い全開区間があるので
前輪に熱が入らないのが悩みどころ。でも速度域が高いから
ウルトラ ソフトを持ち込む決断ができず、スーパー ソフト以下の3種類という
設定で、これがやはりカオスを呼ぶ要因となっていきます。
 さて、レースが始まります。

1 サインツがスピンする

 スタートからターン1までは200mしかないのでハミルトン、ボッタス、
キミ ライコネン、セバスチャン ベッテルという並びに変化はなくターン1を通過。
しかし後方では、ダニール クビアトが大きく外へ飛び出し、安易に戻ってきたので
それを避けようとしたカルロス サインツがスピン。避けると言っても
ちょっと左に急ハンドルを切っただけでしたが、タイヤが冷えてるのと
ダウンフォースが無いのとで、まるでアマチュアが体験試乗してるのかと
思うぐらい簡単にスピンしました。幸いタイヤを引きずったぐらいで済みます。

2 またフィンランド人が絡む

 その数秒後、ターン2でライコネンとボッタスが接触。インにいたボッタスが
縁石に乗って跳ねてしまいフライング アタック状態。
ボッタスは「スペースが無かったから仕方なかった」とレース後に言いましたが、
ベッテルの車載を見たら、十分空いてるのに自分でインに寄りすぎてます。
 結果ボッタスがウイングを損傷し、長いコースをゆっくり走ってピットへ。
これで周回遅れに。一方のライコネン
「また同じ奴だよ!当てられた!パンクしてるかもしれん!」
と、なぜかよく絡むボッタスに激怒。車が何か変だと訴えていますが、
右リアを壁にぶつけているほか、空力部品が壊れています。
 これでハミルトン、ベッテル、そしてセルジオ ペレスが3位。ペレスは
去年もここで表彰台。また漁夫の利を得るんでしょうか?

3 リカルド等にブレーキ問題続発

 5周目、リカルドがピットへ。作戦にしてもタイミングが早すぎると思ったら、
ダクトに何か引っかかってブレーキに問題が出ていた模様。SS→Sに替え、
ゴミを除去してコースへ。最後尾です。
 同じころ、ジョリオン パーマーは
「後ろからちょっと煙が出た」と無線、こちらもブレーキの問題のようです。
 ブレーキと言えば昨年からずっとブレーキに文句を言い続けている
ロマン グロージャンも相変わらず問題があるようで

「1つだけ頼んでおくぞゲイリー。もしブレーキが危険な状態になったら止めてくれ」

何でこんな危ないコースでレースが許可されてるのかどんどん謎になってきます。

4 クビアト放置プレー

 10周目、クビアトがトラブルでコース上に停止、ライン上ではないものの、
明らかにレースを続けたままでは撤去できそうにない位置です。
が、黄旗が振られただけでレースが続きます。

5 フェルスタッペンまた壊れる

 マックス フェルスタッペンはこの週末好調な様子。ただ、土曜の朝に
トラブルが出ていたのが不安材料。それでも、ペレスに追いついて3位を
奪いそうな勢いで、ちょうどクビアトが止まった10周目の終わりから猛烈にアタック。
次の周は抜けそうな雰囲気でした。
 ところが、2台がクビアトの停止現場を通過、カメラが一旦クビアト車を捉え、
再び3位争いに戻ったら、、、フェルスタッペンがいません( ゚Д゚)
この数秒の間にトラブル発生、結局リタイアを余儀なくされます。
なんかかつてのマーク ウェバーを思わせるトラブルの嵐。
カナダもここもいい結果が出せそうだっただけに残念です。

6 今頃SCが入る

 クビアトが停止してから2周ほど経過して、12周目の終わりごろ、
ここでようやくSCが入ります。
これで上位陣はピットに入ってSS→Sで義務消化&もう入る予定なし。
 ハミルトンはあと少しSCの掲示が遅ければ一人だけピットに入れないところでした。
それにしても、なぜこんなにSCの判断に時間を要したのかが疑問です。
モナコなら1周で片づけれるかもしれませんが、慣れてないマーシャル、
たぶんそんなにきめ細かく置かれてないクレーン、どう考えても黄旗では無理。
VSCかSCかで迷ったと言うなら、なぜ車を排除しなければいけないのか、
という根本的な問題が置き去りのお粗末な対応です。

7 ボッタスが破片を蹴飛ばす

 SCが入ったので、周回遅れのボッタスはウエーブ アラウンドを受けますが、
隊列を抜いている最中、何かしらの破片を蹴飛ばしていきます。
SCが入ったのに、コース上の他のエリアの大きな破片が全然回収されていません。
ちゃんとコントロール側から指示を出さないといけないのではないでしょうか?

8 リスタート1回目のカオス

 リスタートがとても危険です。まず、ただでさえ熱が入らないところに加え、
ソフトは高温作動型なのでフロントが全く作動しない状況と推定されます。
 加えて、このコースは事実上の最終コーナーから第1SCラインまでの
距離がとても長く、かつブラインドでSCが先へ行ってしまうとその姿が見えません。
 いつもの感じで、コーナー立ち上がって、ちょっとフェイント、からの~、全開!
とやると、第1SCラインまでにうっかりSCに追いついてしまう可能性があります。
 
 これ、昨年のGP2で松下 信治がやってしまい、急減速したことで
後続で事故が発生、松下が危険な行為を行ったとして出場停止処分を
受けることになりました。

 そういう経緯があるのに、ハミルトンは普通に加速してしまい、あやうく
SCを追い抜きかけます。後ろでも、ペレスがベッテルのスリップに入ったものの
追いつくのが早すぎて危うく違反スタートに。
 そして、高速走行でライコネンの外れかけていた空力部品がストレート上に飛散。
2週間前に似た光景を見たぞ^^;
 で、この破片が原因で、たった半周でまたSCとなります。
マーシャルさんが回収を開始、他の位置でも落ちてるものを回収。
何でさっきやらなかったんだというのもありますし、ああいう危ない状態の
部品に対してはもっと審査委員がちゃんとオレンジ ディスクを出すべきです。
飛散したカーボン部品が頭部に当たるとどうなるか、みんな分かっているはずで、
しかも1周目にも飛び散ったボッタスのウイングが危うく後方の誰かに
当たりかけてます。

9 ベッテルが故意にぶつける?

 17周目にリスタート→即SC、またタイヤの熱問題でみんな「SCおせえ」と
文句を言います。一度ベルント マイランダーにC63 DTMでも
用意してあげたらどうでしょう?いいペースで周回してくれます。
 そしてSC退出が決まった19周目、なぜかハミルトンと並走するベッテル。
何だ?焦りすぎか?と思ったら、なんと直前にベッテルがハミルトンに追突。

「ブレーキ テストをやりやがった!あいつ何やってくれてんだ!」

と激怒したベッテルが、ハミルトンに並びかけ、左手を上げて抗議しながら、
なんと右に車を寄せてタイヤとタイヤが接触。最近NASCARでもあまり
お目にかからない故意の接触です。


 ただ、ハミルトンは確かに低速走行ではありましたが、SCと距離を取ろうと
するのはある程度予測できる話で、極端に減速したり、それによってベッテルの
加速を欺こうとしたようにも見えず、単にベッテルが
「コーナーを曲がったら加速する」と勝手に思い込んで油断して距離を
詰めすぎただけにように見えます。
 それでいてわざとぶつけに行くのはちょっとあり得ない行為です。
結局10秒のストップ/ゴー ペナルティーとなりますが、なぜ失格にならなかったのか
不思議なぐらいです。

10 リスタート2回目のカオス

 今度はハミルトン、『本当の最終コーナー』を出てから加速を開始。
正直、危ないのは分かり切ってるので、バクーだけは特別に、事前にNASCARのリスタート ゾーンのように加速して良い場所を決めておくべきだと思います。
 そして、加速したら、さっきベッテルがわざとぶつけたせいか部品が散乱。
もういい加減にしてくれ・・・
 そのせいもあるのか、2位以下にベッテル、ペレス、エステバン オコン、
フェリペ マッサの4台が集団でターン1に飛び込みます。
ベッテルは順位を守り、ペレスとオコンが並走。
そしてターン2、インにいたオコンが外のペレスを壁方向に追いやって
チームメイト同士で接触。オコンはパンク、ペレスはウイング脱落。
 放送ではオコンが寄せすぎだという点だけが取り上げられていましたが、
その前のターン1~2の短い直線、ペレスは左後方にオコンがいるのに
左に寄せていってオコンと軽く当たっています。オコンが多少イラっと
来たのも分からなくはありません。だから寄せて良いというわけではないですが、
ペレスのドライビングにも問題があったと思います。
フォース インディアはカナダでの遺恨を引きずる格好で同士討ちとなりました。

 さらに運の悪いことにこの散乱した破片をまともに踏んだライコネンの
右後輪がパンク。カオスな状況でまたSCが入ります。
 ライコネンは戻るまでの間にバーストしたタイヤがフロアを叩きまくって中破。
彼とペレスはガレージ送りです。

 これで順位はもうぐちゃぐちゃ、ハミルトン、ベッテルに続くのがマッサ、
ストロールのウィリアムズ2台で、度重なるリスタートでリカルドが5位まで
戻ってきています。フェルナンド アロンソも8位まで浮上。
あまりにひどいコース状況に、一旦赤旗にしようぜ、と無線。
その声が通ったのかどうかは分かりませんが、22周を終えたところで赤旗になりました。

 見ていて面白いカオスだとも言えますが、もはや1人死んでいてもおかしくない
水準に問題が山積していて、レース進行としてはひどいレベルだというのが
ここまでの印象です。


 さて、F1の赤旗ではタイヤを替えたり、破損個所に限って修復が可能な
ルールになっているそうです。そして、ガレージ送りになっていた
ライコネンとペレスも、赤旗の時間を利用して修復。中破していたライコネンも
戻ってきました。
 どういうルールか知りませんが、ウエーブ アラウンドを先に受けれるようで、
ピットで先頭に並んで、SCより先にコースに出て1周して最後尾に付けるようです。
 ただ、通常赤旗中の作業はピットの走行レーン上と定められており、
ガレージ内での作業には許可が必要とのこと。2台ともこの後ペナルティーを受けます。

 そしてライコネンはここで珍事。テレビ未放送の無線で

「ステアリング!誰かあいつによこせって言ってくれよ!来いよ!さっさと!」

映像を確認してみると、ライコネンの目の前に置いてあったステアリングを、
ピット発進前にメガネをかけたパンチパーマのおじさんが邪魔になるからと
手に取っています。ライコネン車はクルーに押されてピット出口へと
向かうおみこし状態ですが、パンチさんはそのまま手に持った状態で
ライコネンと並走しています。
途中、ライコネンがパンチさんの方を指さしている場面が見えるので、
たぶんその時の無線でしょう。

川井「ライコネンのステアリングよこせって無線流してほしかったなあ。
   富田 真由子さん並みだったんですけどねえ」

珍しく川井ちゃんが政治からネタを持ってきましたw

まだレースは半分も終わってないんですが、3レース分くらい文字を書いた気がします。
次回アゼルバイジャンGP後半戦です。
F1GPニュースも2時間ぐらい無いと尺が足りないんじゃない?