FORMULA 1 GRAND PRIX DU CANADA 2017 Montréal
Circuit Gilles-Villeneuve 4.361km×70Laps=305.27km
winner:Lewis Hamilton(Mercedes AMG Petronas Motorsport/
Mercedes W08 EQ Power+)
F1第7戦カナダ。今回は珍しく夜中に起きて見てみました。
こことかアルバート パークとか、半市街地の適度に荒れる単純な
ストップ&ゴーが私の好みなのでねw
レースはここで5勝を挙げるルイス ハミルトンが本日も独走。
途中からテレビに映らなくなって存在を忘れるぐらいでしたが、
セバスチャン ベッテルとの点差を12に縮めて、モナコでの失敗から
とりあえず体制を立て直しました。
予選ではハミルトンがベッテルを0.33秒も離すタイムでPP。
71秒の周回で0.3秒はとても大きいです。
決勝は、スタートで5位のマックス フェルスタッペンが「本当に合法!?」
と疑いたくなるすごい飛び出し、短いターン1までの間にベッテルの横に並び、
外から被せて、軽くベッテルのウイングを踏んづけていきました。
ベッテルは4位に後退、バルテリ ボッタスが3位に浮上です。
そして後方ではターン2と3の間で接触が発生。
カルロス サインツのやや不用意な動きでロマン グロージャンが幅寄せされ、
結果サインツが制御を失って芝の上を滑走、ターン3に入ったフェリペ マッサに
ミサイル攻撃。そこまで高速域ではありませんが、危ない事故ではあります。
これでSCが入りますが、ウイングを壊したベッテルはそのままとどまります。
一部分がピロピロしてるな~、ぐらいの感じでした。
ところが、3周目の終わりでSC退出、裏ストレートから加速を開始、という
ところで、ピロピロしていた部分が抵抗に負けて破損。
ウイングの右端のほうが丸々無くなってしまいました。
ウイングの翼端板部分には、ダウンフォースの発生、ならびに
前輪に風が当たらないようにする整流効果もあり、部分的な欠損ならまだしも、
タイヤの前に該当する部分がほぼ丸々吹き飛んではさすがに厳しい状況。
1周は我慢したものの、5周を終えてピットに入り、US→SSの交換。
レース台無しです。
あんまり速くないフェルスタッペンが2位で、ハミルトンの仲間のボッタスが
3位となると、もう優勝争いに波乱が起こりようもないですが、
オマケにフェルスタッペンは11周目にトラブルであっさりリタイア。
マーシャルさんがVSCの中、かなりの距離を押して逆走させていたので
ちょっと怖かったです。カナダでは2013年にマーシャルがクレーンに轢かれて
死亡する事故が起きており、慌てての作業はやはり危険。
芝の上を走っているので実際ここでもマーシャルさんが転んでいました。
退避場所が無いことを考えればSCの方が良かったと思います。
ここでタイヤを替えてしまう賭けに出ることも可能でしたが、
さすがに残りの距離も長いので特に動きなし。
14周目の途中あたりでVSC解除です。マーシャルさん、お疲れさまでしたm(__)m
トップ争いに興味が無くなった代わりに白熱したのが3位争いで、
ダニエル リカルドをセルジオ ペレス、キミ ライコネン、エステバン オコンが追う展開。
トレイン状態で打つ手がないのでフェラーリは17周を終えてライコネンをピットへ。
US→SSでアンダーカットを狙いたいところ。
しかし、翌周にリカルドが入ってUS→Sと替えると、ライコネンの前で
コースに復帰。
これらに食われると嫌なのでペレスも19周目にピットへ、US→SS。
リカルドのSは熱の入りが悪いため、コースに戻るとギリギリの差でリカルドが前で、
ペレスはもう少しでオーバーカットできるところでした。
もう1周引っ張っていたらどうなったんでしょうか。やっぱSでもペースが上がれば
古いUSより速いから無理なのかな?
ところがフォース インディアはオコンに対しては別の戦略を託し、
暫定3位の状態でステイ アウト。
全然目立たないボッタスは23周目にUS→Sでほぼ3位確定。
ライコネンは調子が出ないのかペレスに付いて行けていません。
そしてペレスはDRSを使っているのに、しかもここのDRSは1つの検知で
2回使えるオイシイ仕様なのに、抜くことができません。
ハミルトンは32周まで引っ張って盤石の体制。オーバーヒートが怖いし、
安全を見てSで行くのかと思いきや、SSを装着。同じ周にオコンも入り、
こちらはライコネンの後ろで復帰。オコンの2.5秒後方には
長旅を強いられているベッテルが来ており、ベッテルがここから巻き返せるか、
リカルドは3位を守れるか、というところに映像も注目。
10秒差のメルセデス2台にはまるで関心が向かないので、私もすっかり
存在を忘れました。まあ夜中なんでね・・・w
それにしても、ピレリ初年度なんてタイヤの摩耗が激しすぎて、
3ストップでもタイヤが厳しかったりしたのに、今や半分近い距離まで
ウルトラ ソフトで走れちゃうんですから、時代は変わったもんです。
当初摩耗しすぎて批判されてたのに、今はもちすぎて批判されてるしw
さて、リカルドとペレスは一旦2秒以上に差が開いたので、ああSSは
やっぱ消耗して、ロングならリカルドのレースなんだな、と思っていたんですが、
その後両者は再び接近の方向へ。インディアの戦闘力が比較的高く、
逆にレッド ブルはこういうコースだとPU性能を補えるほど車体が良くないです。
またも手が出せないライコネンは41周を終えて2度目のストップ。SS→USで
違いを出したいところです。
問題になったのはこの後から。ペレスは再びリカルドをDRS圏内に捉えますが、
やはり抜けない。そしてそのペレスにはオコンも接近。
オコンの方が13周も新しいタイヤなので速さがあります。
そしてその背後にはベッテルがもう来ています。
ベッテルは49周を終えて2度目のストップで、SS→US。
Fインディアは、膠着状態のペレスに対して、
「抜けないようならオコンを前に出してオコンに攻略するチャンスを与えるぞ」
と伝達。そして、抜けないのでとうとう
順位を入れ替えるように指示を出しますが、ペレスは言うことを聞きません。
エンジニア「チェコ(ペレスの愛称)、エステバンはペレスを抜けると言っているぞ」
「この周を終えて3周チャンスを与える、それでダメなら順位を入れ替える。
フェラーリが来てるんだ」
ベッテルが新しいタイヤで追ってきているので、共倒れを阻止し、なんとか
1台を表彰台に乗せたいのがチーム側の考え。しかし個人は別の話
ペレス「時間の無駄だよ。リカルドはペースが落ちてるんだ。
追い抜くチャンスをくれよ、俺にレースをさせてくれ。」
エンジニア「チェコ、作戦としては、フェラーリが後ろに来る前に攻略したいんだ。
もし入れ替えてもオコンが抜けなかったら順位を戻すから。」
ペレス「リカルドが周回遅れに捕まるチャンスを待ってくれよ。今は集中させてくれ。
チャンスをくれよ。もうすぐトラフィックがある。そこがチャンスなんだ」
なんのかんの指示を聞かないペレス。周回遅れが出てきても特に
何もできず、ついにはDRSを失って差を詰められなくなってきます。
そうこうしている間に残りは10周を切り、ライコネンとベッテル接近。
と思ったらフェラーリは順位入れ替え。またか、と思ったら、
ライコネンはブレーキに不具合発生の模様。ツイてねえなあ。
そしてとうとうペレスが言うことを聞かないまま、ベッテルがオコンを捕まえ、
66周目のターン1でピンク2台と赤1台があわやスリー ワイド。
一番インに入ったベッテルが汚れたラインなので、あー、ぶつかった!
と思いましたが、なんとか接触回避。ヤバそうだったのでオコンは
エスケープへ退避し、これで順位を失いました。大事故かと思ってビビりましたよ。。。
この後ペレスも捕まってベッテルは4位まで回復し今日のお仕事終了。
ここで「そういえばトップはハミルトンだった」と思い出します。
ハミルトンが何事も無く逃げ切り、ボッタスは全く目立つことなく2位で、
リカルドは追われまくったけど3位。
そしてピンク2台は最後にはオコンがかなり苛立ったのかペレスを煽りまくって
いつぶつかっても不思議ではない感じでしたが、そのままの順位で
5位、6位でした。
ペレスの行為は客観的に見ればいただけないものでした。
確かに3位のチャンスが目の前にあって、それを交代しろと言われても
素直に聞く人は少ないでしょうが、彼にはチームのエースとして、時には自身が
多少犠牲になってもチームに利益をもたらせる行動というのも必要だと思います。
オコンがリカルドを抜けば、その流れで自分もリカルドを抜ける可能性は
あるわけで、抜けずにフェラーリにつつかれて揃って順位を落とすよりも
入れ替えた方が良いと考えるチームの考えは理解できます。
これがチャンピオンを争っている2人での出来事なら分からなくもないですが、
このレベルのチームだと、チームを優先した行動をとるのも大事。
来年彼がどうしたいのかは分かりませんが、巡り巡って自分の評価も下がります。
きちんとチームと話をすべきでしょう。
ただ、じゃあこれが例えば佐藤 琢磨とジェンソン バトンだったらどうか、というと、
日本の放送席が「そりゃあバトンが速いのにタクマが抑えてるのは問題だ」
とは誰も言わないわけで、それだけ3位に重みがあるのも理解できます。
ただ、ペレスはモナコでもいらんクラッシュをしているだけに、ちょっと
落ち着くべきでした。
さて、アメリカ帰りの男、フェルナンド アロンソは入賞できそうでしたが、
残り2周でPUのトラブル。バイクに乗らずに客席に入ってグローブを投げてプレゼント、
と、見るからにやけくそな行動でしたが、やはり怒りは相当なものらしく、
レース後のミーテイングをすっぽかしたとか。
ここできちんとドライバーを叱るか、あえて自由にやらせるか。
遠慮する、というのが一番ダメです。