2017 AUTOBACS SUPER GT Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE
岡山国際サーキット 3.703km×82Laps=303.646km
(エクストラ フォーメーション ラップにより1周減算=81周)
GT500 class winner:KeePer Tom's LC500 平川 亮/Nick Cassidy
(LEXUS LC500/LEXUS TEAM KeePer Tom's)
2017年のSUPER GTが開幕しました。
GT500クラスはこのイベントで昨年2位、一昨年優勝のKeePer Tom's。
あろうことか参戦するLC500 6台が上位6位までを独占する完全試合で
2017年の幕が開きました。
土曜日の予選は中途半端な天候が影響。数度の赤旗が影響して
Q2の本格的なアタックを誰も行えないまま雨が降ってきてしまい、
各車がタイヤを温める途上で出したタイムがそのまま予選結果になり、
ARTA NSX-GTがPPを獲得しました。
ARTAと小林 崇志にとっては7年ぶりのPP。
もう古い話なのでご存じない方もいるかと思いますが、7年前の小林は第3ドライバー。
当時の予選はQ3までの3ラウンド制で、事前にドライバー名を記入して
エントリーする必要がありました。
監督の鈴木 亜久里は、本当は
ラルフ ファーマン→井出 有治→ファーマン
と起用するつもりでしたが、用紙の意味を
「登録してるドライバーの名前を全部書いてね」と勘違い。
これにより、大事なQ3にあろうことか起用する予定の全くない小林の名前を
書いてしまったのです。
ところが、このGT500未経験補欠ルーキーは飄々とすごいタイムを記録して
なんとPPを獲って帰ってきました。見ていた側はそんな裏話知らないので、
「亜久里マジックすげえww」となったわけです。
そんな小林なので、ピットに帰ると「お前持ってるなあ」とか
褒め称えられます。本人は複雑だと言ってましたが。
ただ、全般に速いのはテストから好調の声しか聞こえてこないLC500勢。
一方GT-R勢は全車Q1落ちと散々な結果。オフのテストから
冗談抜きに開発遅れてるぞと言われていたのがそのまんま出てしまいました。
テストと変わったことと言えば、MOTUL AUTECH GT-Rのエンジン フードの
スポンサーが、テストでは『三菱レイヨン』だったのが、4月1日付で
三菱ケミカルホールディングス内でのグループ再編で会社が合併し
『三菱ケミカル』に変わっていたことぐらいだと思います。
そして決勝。スタート前からKEIHIN NSX-GTがカウルを開けていて
なんか怪しい雰囲気。
そしてパレード周回が始まると、案の定動きません。なんか電気系が
ダメっぽい動きです。
NSXは予選でも最後の最後にMOTUL MUGEN NSX-GTがいきなり止まっており
似た雰囲気だなあ、他は大丈夫かな、と誰でも思うわけですが、
なんと大丈夫ではありませんでした。
KEIHINがだいぶ遅れて再始動、隊列に追いつくためにフォーメーション周回が
1周追加されますが、その追加された2周目の最中にARTAも失速。
見たところ全く同じ症状です。そして隊列に追いつくことなくとまるKEIHIN号。
収拾がつかなくなってなんとフォーメーション→赤旗という珍事発生。
さらに、赤旗でストレート上に車を並べようとしたら、並ぶ途中に
Epson Modulo NSX-GTもまた停止。 /(^o^)\オワタ
この後レース中にはRAYBRIG NSX-GTも同じ症状で停止、
なんとNSX全車がほぼ同じ走行距離で同じように壊れました。
ホンダノヒンシツカンリハセカイイチダネ。
競技規則が手元にないので正確には分かりませんが、正式スタート前の赤旗なので、
運営上、止まったNSXが再起動するのを待ってグリッドに戻してイチから
始めることもたぶん可能だったと思うんですが、まあそんなことするわけもなく、
ていうか待ってもどうせまた止まるので、レースは1周減算の上で、
SCスタートとなりました。
WAKO'S 4CR LC500がリーダー、2位がKeePerで3周目にリスタート。
KeePerのキャシディーは裏ストレート終わりでかなりロックさせながらインにダイブ。
WAKO'Sの大嶋 和也は、たぶん「おっとあぶねえやられる」といった感じで
きちんと動きを見ていてこれを回避。ちょっと強引にKeePerがトップになります。
結果的にはこれがレースを決する追い抜きになりました。
見ているレクサスのお偉いさんはやめてくれと思ったでしょうが、キャシディーも
全く止まり切れないわけではなくちゃんと旋回していたので、プロらしい
ギリギリの攻防だったと思います。
このあと6周目に2度目のSCで12周目にリスタート。
すんごいフラット スポットを作ってしまったというキャシディーに対し、
大嶋は後ろからじっくり眺めて長期戦の構え、かと思いましたが、
後ろにも同じ車の人がたくさんいるわけで、22周目にZENT CERUMO LC500の
立川 祐路が大嶋を抜いて2位に。キャシディー追う係になります。
もうLC500だけ別クラスみたいになっていて、その中でWedsSport ADVAN LC500は
タイヤの発熱が悪い上に、デグラデーションも別にブリヂストンに対して
良いわけでもなさそうでややペースに苦しむ展開。
結局27周目、DENSO KOBELCO SARD LC500とのLC最下位争いで
ちょっと粘りすぎて接触し、飛び出してしまいました。
au Tom's LC500は長いことWedsSportに引っかかっていたものの、
抜いた後は快調なペースで前のLC集団にじわじわ迫ります。
GT-Rは別のクラスなのでまたの機会にご紹介しますw
同一メーカー同一車両ハンデ無しでは決定打が無いし下手なこともできないね、
ってそれなりに危ないところまで行ってるわけですが、レースはピット作戦へと
展開が移り、ピット リポーターの高橋 二郎、ここから大混乱に陥ります。
「サッシャさん、38号車よりも37が先に入るかもしれません」
「いや、違います、すいません、38号車を先に入れます」
「すいませーん、先に37号車入れます!」
レクサスは互いにタイミングが重なって作業の邪魔にならないように、
陣営内で入る順番をちゃんと割り振ることが多いんですが、自分たちだけの
レースになったためにちょっと秩序が乱れたようです。結局
Lap37 KeePer
Lap38 ZENT,WAKO'S
Lap39 au,DENSO
という順番となりました。
ここで得をしたのがauです。KeePerは一番先に入ったので、以降に入った
LC500の全てが見た目上オーバーカットを許すことになり、冷えたタイヤの
遅い車とはいえ、全員をコース上で抜かないといけません。
一方でauは、最後に入った組のうち先行車両だったので、
ZENT、WAKO'S、DENSOの3台をKeePerが抜くのに要してしばった時間の分だけ
自分たちのアドバンテージにすることができます。
結果、auはピット前の時点でKeePerから4秒半離された3位で、ピット作業時間も
ほぼ同じだったのに、KeePerからギリギリトップを死守できるかもしれない
位置にまで押し上げてコースに復帰しました。
これで逆転してしまったらそれはそれでトムス内でもめそうですが、
平川は中嶋 一貴をスパッと処理。
さらに中嶋は2位を守ろうとWAKO'Sのアンドレア カルダレッリ相手に
向きになりすぎて飛び出してしまいました。終盤に中嶋がどう走るか
期待していたのでちょっと残念。
彼は予選でも飛び出してしまっていて、久々のGT500、そんなに甘くはありませんでした。
昨年までは最終戦のゲスト解説でけっこうトヨタの同僚たちに毒舌吐いてましたが、
もしこれを自分が解説していたら
「まあ、ちょっと久々のGTで気合入りすぎて空回ってますよね」とでも
解説したでしょうか。
この後はカルダレッリが平川を追う、第1スティントに近い展開。
KeePer号は見ているとコーナーで他のLCよりスプリッターをこすって
火花を出してるので、内圧なり足のセットなりが異なっていそうですが、
ちょっと車がフリーに見えます。
54周目、なんと3度目のコーション発生。違うこれじゃNASCARリポートだ。
SC導入となり、62周目にリスタートです。
このレースではスタートも合わせて15周ほどSCが走りましたが、車種はNSX。
NSX-GT勢のRAYBRIGとARTAは2台合わせて5周しかしておらず、
このレースで4番目に多く周回したNSXはセーフティー カーです。
リスタート後もカルダレッリはガンガン狙っていきますが、
作戦『ガンガンいこうぜ』が回復魔法を使わずHPを消耗します。
攻め続けたら左フロントのブレーキが明らかにオーバーヒートしており、
攻撃はやがて止みました。
平川は単純なペースでは劣った状態になっていましたが、耐え続けて
相手のカードが切れるまでよく耐えたと思います。
カルダレッリも自分だけが攻撃していればもっと押したり引いたり
できたかもしれませんが、ペースを落とすと後ろからも同じ車が来るので
攻め続けざるを得ないところがあったのではないかと思います。
彼は彼でブレーキを酷使した後、抜かれずにうまく冷却して
温度管理をしたと思います。
とにかくLC500以外がアクシデントでしか話題にならないレースでした。
トムスの37号車は過去2年、シーズン中盤でセッティングの穴にはまって
点をあまり獲れずにチャンピオン争いから下がっているので、
彼らにとってここから先が大事になります。
彼らと争うのはどのレクサスか、はたまた、他メーカーのサプライズがあるのか。。。