2017 FORMULA 1 ROLEX AUSTRALIAN GRAND PRIX Melbourne
Melbourne Grand Prix Circuit 5.303km×58Laps=307.574km
      (エクストラ フォーメーション ラップにより57周に減算)
winner:Sebastian Vettel(Scuderia Ferrari/Ferrari SF70H)

 2017年のF1が始まりました。今年の大きな特徴の1つに、
運営がバーニー エクレストンのワンマン会社からリバティー メディアへと
移ったというのがあります。
昨年の終わりごろからYoutubeの公式チャンネルに過去の名場面、2016年の
印象的な場面等がアップされていたのでひょっとしたらと思いましたが、
今年から予選・決勝のハイライトやインタビューがYoutubeにも
上がるようになりました。ただ、外部での埋め込み再生は
許可されていないようですがw

 さて、レースに目を転じると、やはり開幕にはいろいろとバタバタが
付きものなようで、まずザウバーはパスカル ウェーレインが急きょ欠場に。
彼はオフに『レース オブ チャンピオンズ』という、各国の様々なカテゴリーの
ドライバーが同一車両で競争するというイベントに参加した際に、
かなり大きなクラッシュをしてしまい、オフの間のトレーニングが不十分。
それにより、金曜日のフリー走行後になっていきなり、
今年の負荷の大きい車では完走できる体ができていない、と判断したという発表。
ザウバーには補欠の選手もいないので、急遽フェラーリ門下の
アントニオ ジョビナッツィーが呼ばれて参加することになりました。
願ってもないチャンスだけど乗ったことない車でいきなり見知らぬコースです。
ていうか大丈夫なのかウェーレイン。

 予選ではルイス ハミルトンがPP獲得。1'22.188と、2011年に
セバスチャン ベッテルが記録したタイムを1.3秒更新してレコードを樹立。
ただ、5秒速くなると言った割にそこまで速くなってねえよ、と思った方も
多かったかと思いますが、ここはダウンフォースよりメカニカルなグリップ重視で
空力部品の恩恵は少なめ、かつ、そもそも5秒というのは昨年ではなく
2015年比であるという点があるので、まあこんなもんではないでしょうか。


 ちなみに、6位のロマン グロージャン以下は昨年のハミルトンのタイムを上回れず。
ベースが違うので単純比較はできませんが、速くなる規則で作った新車より、
去年のメルセデスの方が速いというのもまた何とも言えないものがあります。
そりゃあライバルは勝てねえはずだ。

 初戦ということもあってか、降りたドライバーはみんなライバルの車を
しげしげと観察。特に、元々観察に熱心なベッテルは、しげしげと
見つめるのを通り越して、「ここどうなってんだ?」みたいな感じで、
明らかにちょっと触っています。
レッド ブルのスタッフが「お客さん、触っちゃだめだよ」みたいな感じで
笑いながら遮ってましたが、怒られるんでマジやめた方がいいです。
言われてもまだ見てるしw
 まあああいう、常に探求心に溢れている、のか、単に車が好きなのか、
そんな振る舞いがベッテルの好感が持てる部分なんですけどね。

 2位にベッテル、3位にバルテリ ボッタス、4位キミ ライコネンと
銀・赤・銀・赤の並びで、5位にマックス フェルスタッペンが来たものの、
やや前から離されている印象。ダニエル リカルドは珍しくスピンして
車を壊してしまいました。ただ、空力サーキットではないので
これだけでレッド ブルが遅いとは言い切れません。

 そして決勝、今日は生放送で見ていたので、レコノサンスからラノベ片手に
スタートを待っていたら、リカルドが停止。ギアが6速で引っかかったとかで
ピットへ。残念。
 さらにさあスタート、と思ったら、グリッドが整列されておらず
スタートがやり直しに。画面で見ると、エステバン オコンがえらい右側に
止めてしまっている様子です。残念。これで1周減算、燃費的には助かります。

 でも何より一番残念なのは、予選からずっと国際映像のテロップ類が不調なこと。
タイムが表示されない時間が多いし、グリッド紹介の映像も処理落ちしまくって
全部紹介する前に消えるし、レースが始まってからも、画面下の速報順位が
全く表示されないので後方集団の様子が分からないし、何周目かも
分からない時があるし、ドライバー名の脇に付けるチームを表す色分けも
決勝ではグチャグチャ。フォース インディアはピンクにしないといけないのに
なんか黒いし、マクラーレンはオレンジのはずが黄色でルノー色だし。
別にテロップ類は昨年から変えてないのに何でこんなにバグるんだ。
ゲームに合わせて本物をバグらせることにしたのか?w

 さらにもう1つ残念なのが、東京側のコメンタリー2人が、
無線にかぶって喋る回数が多すぎること。
確かに昨年から、表示がドライバー名のみで見づらくなってしまいましたが、
福永 一茂アナあたりだと、気づいたらすぐ喋るのを止めるのに、小穴 浩司アナも
片山 右京も、気付いても今話している内容を言い切ってから黙るため、
冒頭がどうしても被りがちに。予選で川井ちゃんが
「すいません、黙って・・・・!」
「あの、グラフィック見えてません?」
と苛立っていて、まあコメンタリーが苛立ったところを見せちゃいけないんで
川井ちゃんも悪いんですが、東京側ももうちょっと気を付けないといけません。
今日福永さんはゴルフの実況担当だったようですね。

 それはともかくレースがスタート。上位陣は無難な展開で始まりました。
昨年までならここからハミルトンがあっという間に2位をDRS圏外に
追いやるわけですが、今日はなんとベッテルがきちんと付いていきます。
最初だけでなく、周回が進んでも離されない展開に、昨年までと違うのでは?
という期待が持てました。
 そして昨年までなら3位にいてもニコ ロズベルグはすぐに抜いて
2位に来るか、少なくともアンダーカットを狙える距離にいましたが、
ボッタスはベッテルから遅れをとってしまい、ハミルトンとベッテルの直接対決に。
 なかなかこういう争いにならないレースが続いていたので、見ていて
自然とワクワクします。

 15周を超えても相変わらず2秒以内の争い。ハミルトンは
「車がオーバーヒートだ」と訴えており、タイヤが厳しいのかなという印象です。
このレースは1ストップが確実とされており、アンダーカットの機会が1回きりなので
タイミングは大事にしないといけませんが、17周目、ベッテルが1秒以内に
再び踏み込んできた17周目に先に動きます。
 US→Sへの交換となり、ベッテルとすると、飛ばしてオーバーカットを狙うか、
引っ張ってSSに乗り換え、タイヤの差でコース上で仕留めるかになります。

 すぐ次の周に入らなかったベッテルに対し、ハミルトンはすぐに
ペースを上げてオーバーカット封じに出ましたが、やがてフェルスタッペンに
引っかかってしまいます。
 昨年までなら、新しいタイヤでこの争いならまあ直線で抜いてしまって
1~2周タイムを失うだけで済んだと思いますが、このレースではそうはならず、
ハミルトンはフェルスタッペンを抜くことができません。
無線で「まだベッテルの前にいるけど、フェルスタッペンを抜くのことが必須だ」
と言われますが、全然抜けずにお手上げ状態。
 これでベッテルは一旦詰められた差を広げることができ、23周目にUSからSへ交換、
フェルスタッペンの前・事実上のトップでコースに復帰します。
ただけっこう僅差でしたし、ハミルトンは抜けそうな雰囲気でなかったので、
もう1~2周引っ張って、安全圏まで逃げてからでも良かった気がします。
フェルスタッペンが入ってしまうのを警戒したんでしょうか。

 結局フェルスタッペンがピットに入るまで抜けなかったハミルトン。
タイヤに対する不満も口にし、チームはプランB(恐らく2ストップ)への
変更を考えている、と伝えます。ただどう考えても損なので、出来れば
乗りにくくても走り切るべきです。

 ボッタスは25周まで引っ張ってこちらもSへ、一方フェルスタッペンはSSへ。
暫定リーダーのライコネンも次の周にSへ交換。
 快適な走行になったベッテルの後ろでは、ハミルトンにボッタスがじわじわと接近、
ライコネンに対しても、速いタイヤのフェルスタッペンがやはりじわじわと
接近していき、レースの終盤にこれらがどうなるか、というところが
ポイントになりそうですが、何せタイム表示がないのでどんな具合で
追い上げているのか、追い上げが鈍ったか、が分かりません。

 周回数が進むとハミルトンは結局プランAのままで行こうということに。
ボッタスの追い上げが楽しみでしたが、2.5秒差あたりで膠着してしまいました。
 一方フェルスタッペンの方は2秒を切る差にしていきますが、
こちらも1.5秒から先には踏み込めません。そろそろタイヤ的にSSの良さは
終わってきているので、逆転はなさそうです。

 ベッテルにとっては、同じPUを使うハースの車にトラブルが出たのが
気になるところだったかもしれませんが、結局最後まで快調に走り続けて
そのままフィニッシュ。一昨年のシンガポール以来の優勝で、
昨年後半のイライラ不良青年から、いつもの好青年に戻りました。
イタリア語で話されるとこっちは全然分かんないんですがw

 2位以下も結局動きはなく、言ってしまえば、1回目のピットまでが
白熱して、その先は何にも起きなかったわけですが、違う色の車が
タイムを削りあう様を久しく見ていなかったので、期待が持てるレースでした。

 フェリペ マッサ、セルジオ ペレス、と続き、その後ろにトロ ロッソの2人。
このあたりはまあ予想された序列通りの感じでしょうか。
 ペレスは終盤、トロ ロッソ2台から突かれまくってましたが、
抜けないコース・抜けない新規則で、ペレスが得意のトラクション系の
コースですから、どんだけ頑張ってもドアは開きませんでした。


 まあそれにしても抜けないこと。フェルナンド アロンソも結構必死に
抑え込んで、トラブルが出るまで10位になんとかしがみついていましたが、
事前の予想通り抜けない車でした。
 1ストップが予想されるレースでは、安易に先に入って固い側のタイヤで
乗り切ろうとすると、引っかかって抜けないリスクが昨年より、
特にメルセデスの場合増えているので、アンダーカット警戒で
早めに動きすぎるのもマズイことがよく分かりました。
 今後もメルセデスvsフェラーリが近い力量差で争うのであれば、
それが1対1ではなく、2対1、あるいは2対2であれば、お互いの揺さぶり合い、
それによる作戦の成否、思わぬ誤算など、色んな展開が出てくるでしょうから、
フェラーリにはこの調子をぜひ維持してもらいたいところです。