NASCARは2017年のレース形式を発表しました。3大ナショナル シリーズで
なんと、1つのレースを3つのセグメントに分ける、まるでオールスターのような
形式を通常のレースで採用することになりました。


 変更されるものをまずざっくり箇条書きすると
・各レースを3つの『ステージ』に分割
・『チェイス』の呼称を『プレーオフ』に変更
・第1、第2ステージの上位10人に選手権ポイント、勝者にはプレーオフの
 ボーナス ポイント
・第3ステージの結果がレースの正式結果
・レース結果に対して付与されるポイントを変更。勝者にプレーオフの
 ボーナス ポイントを付与
・レギュラー シーズン26戦終了時点でのポイント上位10人に
 ボーナス ポイントを付与
・プレーオフ内(最終戦を除く)でボーナスを持ち越し
・ラップ リードによるボーナスの廃止

 といったようになります。ではもう少し具体的に見ていきましょう。

 まずレースは3つに分割されます。第1、第2ステージはそれぞれレース距離の
概ね25~30%の距離で設定されます。
例えば、300周のレースで第1ステージが90周目まで、第2ステージが180周目までに
設定されたとします。

 レースがスタートし、90周に達するとコーションとなり、その時点での上位10人に
1位10点~10位1点までの選手権ポイントが付与され、勝者には1点の
プレーオフでのボーナスも付与されます。
このボーナスを『プレーオフ ポイント』と呼ぶことにします。
 コーションですから各陣営必要に応じてピットへ。テレビはこの間にCMを流し、
CMが開けたら第2ステージが始まります。
 第2ステージも同様に行われます。180周を終えるとコーションです。
第1、第2ステージの終了後のコーション周は周回数に数えられ、また
コーション中に規定周回に達した場合もステージは予定通り終了となります。
なお、今回の改定に合わせて、レースの成立は従来の『レース距離の半分』から、
『第2ステージ終了時』に変更となります。

 第3ステージが始まるとあとは普通のレースと同じ。
勝てば40点、2位は35点となり、勝者の配分が増えます。
また、勝者には5点のプレーオフ ポイントが手に入ります。
従来は1勝で3点でしたからこちらも増強されています。
 つまり、1レースでは最大選手権ポイント60と、プレーオフ ポイント7が
手に入ります。逆を言えば、第2ステージまで後方で最後だけちゃっかり勝った人が
40点、第2ステージまでリードしていて最後だけやられた人はなんと55点を
獲得し、勝った方がポイントすくねえ、ということも起こりえます。

 なお、デイトナ500の予選レースとして開催されるデュエルでも
ステージと同様に上位10人に10~1点が付与されます、プレーオフ ポイントは
付与されません。

 これらの変更は、昨年のシャーロットのようにコーションもなく無風で
ただ一人速い人が延々リードして終わるようなレースを強制的にでも
無くし、視聴率・観客動員をテコ入れしようという意図があります。
また、ドライバー側にとっても、シーズン早々に1勝してプレーオフまで
お休みモードにさせないための策でもあります。

 レギュラー シーズン26戦+プレーオフ10戦(3戦、3戦、3戦、最終戦)は
変更なく、レギュラー シーズンの最多得点者+勝利数の多い順で16人進出、
という基準も変更はありません。
 ただし、レギュラー シーズンでのポイント上位10人にはこれまた
プレーオフ ポイントが付与され、レギュラー シーズン1位、即ちチャンピオンには
15点が与えられます。以下2位=10点、3位=8点、4位=7点で以下1点ずつ減ります。

 プレーオフはおなじみ2000点にリセットされて始まり、
勝利=自動的に次ラウンド進出、残りはポイント順で下位4人が脱落、というのも
従来通りですが、昨年まではラウンド オブ 12以降に繰り越せなかった
プレーオフ ポイントが繰り越しになります。
つまり、レギュラー シーズンでがっつり稼ぐと非常に有利です。
もちろん、プレーオフ中も同じ方式で1レース最大7点のプレーオフ ポイントが
与えられるので、少ない人がプレーオフに入ってからがっぽり稼ぐことも考えられます。

 最終戦は最上位でフィニッシュした人がチャンピオンで変わりありません。

 レギュラー シーズンも夏場になると消化試合感が出てしまうのが
大きな難点でしたが、これで解消となるでしょうか。

 なお、この他に規則改定で、チームはレース中にボディー パネルを
交換してはいけないことになりました。
 おそらく、ここ数年、車体を破損しても既に用意してある車体と同じ形状の
外販パネルをテープ留めすることで、外装の破損による影響を最小限に
してしまうのが上位チームで当たり前となっていたので、
予算の高騰や、レースの緊張感を保つための措置と思われます。
これによって、ボッコボコに凹んだ車はガレージに戻してハンマーで
ガンガンたたいて戻すか、えぐり取ってボコボコのまま走ることになりそうです。
当然クラッシュした人がまともな順位でレースを終えられる可能性は低くなりました。