本日2017年1月9日付日本経済新聞1面にこんな見出しがありました。
マツダ燃費3割向上
18年度 主力車に新型エンジン
背景に思いっきりGT-Rを置いといてなんですがマツダのお話ですw
同記事内では、HCCI技術を採用した新型エンジンを
2018年度末に発売する新型のアクセラに最初に投入するとしています。
HCCIは日本語では『予混合圧縮着火』と書くもので、
従来点火プラグで着火していた燃料を、圧縮によって自着火させるという、
ガソリン エンジンでありながらディーゼル エンジンのような仕組みで
動かすエンジンです。
技術的な細かい話は検索した方がよほど詳しい話が得られると思いますが、
空気を思いっきりつぶして発熱させ、それによって火を点けるという
超高圧縮によって非常に燃焼効率が高まるのが利点です。
他方で、この現象を起こせる条件というのが非常に範囲が狭いらしく、
燃焼室内の温度やらなんやらが成立していないと火が点かないので
実用化が難しいのが難点で、各社研究はしているものの、量産化に
至ってきませんでした。検索してみると日産も技術として紹介していますから、
作ることはできていなくてもやろうとするのはみんな同じようです。
エンジンの圧縮が自動車メーカーの共通のテーマだというような話は
以前にも取り上げ、その際にもマツダのスカイアクティブに触れていますが
弊ブログ2016年8月17日
マツダにとってHCCIエンジンはスカイアクティブの第2世代と位置付けられて
いるようです。
記事通りだと2018年度末、ですから、要するに2019年の1~3月、今から
ちょうど2年後ということになります。
(2018年という数字だけを見ると実質1年近く意味がズレるのでお間違いなく)
なお、マツダも点火プラグを完全になくすわけではなく、プラグが必要な条件では
従来通り使用するようです、というか技術的にそうでないとほぼ無理っぽいです。
HCCIは今モータースポーツ界でも話題に上ることが多い技術です。
F1でも既にメルセデスとフェラーリは導入済みともいわれており、
ホンダがあるんだか無いんだか、と噂されています。
WTCCのシトロエンのエンジンにも似たようなものが付いていると言われており、
SUPER GTですら、取材者から「導入予定はありますか?」なんて質問が飛ぶぐらい、
F1だけにとどまらない話題です。
というか、そのせいで私は昨年からHCCIというものに非常に興味を持っていたので
本日の朝刊は一発で目が覚めましたw
モータースポーツで用いるものは私が理解する範囲では量産の技術とは
趣が異なっていて、メインの燃焼室の脇にちいさーーい副燃焼室を設け、
その狭い場所でまずボンと火を点けて火種を作り、それを
副燃焼室→主燃焼室に火炎放射器とかバーナーとか、そういう勢いでぶわーーっと
放出して主燃焼室の燃料を燃焼室全体にわたって勢いよく一気に火を点けて
燃やし尽くす、というような仕組みだそうです。
もちろんみなさん詳細は語ってくれませんが。
私はレースを見てないので分かりませんがWTCCのシトロエンC-エリーゼは
この技術で、全開時にまるでブースト圧を上げたかのようにいきなりパワーが
出てライバルを引き離すことがあったそうで、それが事実であれば、
見てわかるほどの効果があるということになります。
火種そのものはプラグで着火してるのでセミHCCIと呼んだりします。
とりわけ燃料流量が制限されている現在のレースではいかに少ない燃料を
たくさんの空気で燃やす(いわゆるリーン バーン)かが大事で、それを
突き詰めると今のところこの技術にたどり着くということのようです。
マツダが真っ先に名乗りを上げたとはいえ記事の通りなら売るのは2年後、
案外他メーカーが予告なしにいきなり2018年中に発売、なんてことも
ないとは言い切れず、これからは市販車の分野においてもHCCIという
単語を見る機会が増えてくるかもしれません。