2016 AUTOBACS SUPER GT Round3
ツインリンクもてぎ 4.801km×53Laps=254.453km
GT500 Class winner:フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R 佐々木 大樹/柳田 正孝
       (NISSAN GT-R NISMO GT500/KONDO RACING)

 SGT史上初の2日連続開催。とても忙しいもてぎ最終ラウンドの初戦です。
もてぎは近年最終戦でウエイトが無い(厳密には一部搭載して出場する車両もいる)
イベントだったため、ウエイト ハンデ有りの車がレースを行うのは
2008年以来のことです。
もしGTAの会長がバーニー エクレストンだったら、このイベントを見て
「2連戦面白いな」と、来年は思い付きで2連戦が確定していることでしょう。

 その大事なレースの予選は路面が濡れており波乱の予感、
PPはDENSO KOBELCO SARD RC Fでした。
フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rが2位。250kmレースでは
彼らは当然タイヤ無交換が予想されますから、予選がウエットなのは好都合。
本来なら決勝を想定したタイヤで予選がある程度犠牲になるはずが、
これなら予選も全力、しかも雨なら条件次第でブリヂストンやミシュランと
対等かそれ以上で戦えます。この時点で彼らにとって追い風でした。

 決勝が始まると、完全にタイミングがズレたのかフォーラムが遅れてDENSOが独走。
フォーラムはタイヤの熱の入りが悪そうでau TOM'S RC Fが2位に浮上します。
このままズルズルと後退すると最悪でしたが、4位のRAYBRIG NSX CONCEPT-GTも
あまり速くなかったのが救いで無理にタイヤを使わされることなく
自分のペースに持ち込むことができたと思います。

 3周目にいきなりSCが入り、4周にわたってコーション ラップ。
フォーラムには再びのタイヤ熱入れ地獄が訪れますが、やはりRAYBRIGが
結果的にアシストになってくれます。

 さすが抜けないもてぎ、コース上での変動も少なくレースは中盤に、
auが20周を終えて先にピットへ。
DENSOも次の周にカウンターでピットに入りますが、ピットの入り口~出口の
計測でauは1.6秒ほど速かったこともあってアンダーカットに成功。
実質的なトップに浮上、と言いたいところですが、フォーラムが
見え見えの無交換作戦なので実質2位です。
 一方トムスのもう1台、KeePer Tom's RC Fはブレーキから出火。
元々予選でスリック勝負の賭けに失敗して最後尾スタートでしたが、
これで完全に脱落しました。

 33周まで引っ張ったフォーラムは予想通り無交換。
元々ピット前のコース上でのタイムは前2台と遜色なく3秒以内の差で
走れており、なおかつピット直前まで既にピットを終えた2台ともほぼ同じペース。
故に順位を失うことを気にして早めにピットに入る必要が無く、
燃料ギリギリまでピットを引っ張ることができました。

 一方追うauはタイヤは今一つ合っていないらしくDENSOからすると
前に行かせろ状態。ドライバー的にも、もてぎをGT500でドライで走るのは
ほぼ今が初めてのニック キャシディーと2年目の進化、ヘイキ コバライネンですから
格も違います。
 が、格上のコバライネンをキャシディーはうまく抑え込み、これがまた
無交換のフォーラムを助けます。
ようやくDENSOがauを抜いたのは39周目、この時点で約6秒差を
約14周で追いかけないといけませんから、抜けないもてぎでは大変です。

 選手権首位で3連覇がかかるMOTUL AUTECH GT-Rは
予選から不振で、単に雨のタイヤが悪かったのかと思いきや決勝も不調。
後半のタイヤでようやくペースが戻った感じがあったものの、
どうやらエンジンにも問題があったようで、わずかにポイント加算できるだけに
留まりそうな気配です。ちょうど彼らの前にGT-Rが2台いるので、
昔の日産なら500%「下がれーい!」と指示が飛んだでしょうが、
今は規則で厳罰が下る可能性が高いので、自主的でないと認められず、
そしてそんなことをしてもらえるほどインパルもMOLAもお人よしではありません。
この2台が接触してスピンした時には、超合法的に譲れるのかと思いましたが(´・ω・`)


 ようやくDENSOがフォーラムの1秒以内に入ったのは残り3周。
裏ストレートで背後に付いてチャンス到来!と思ったら、画面の外から
「キキーーーー!!」という怪しげなスキール音。誰か飛び出したな・・・
と思ったら案の定黄旗が出てフォーラムはまた救われます。
 DENSOはMOTULの不振もあって、このまま2位でも選手権首位に
浮上することができるのであまり無茶しない方が良い状況。
 最後にもう一度最終周の90°コーナーで狙いましたが、GT300との位置関係は
良いとは言えず、外から並んでぶつかると困るので適度に引いてこれで勝負ありでした。


 フォーラムは今季2勝目、ヨコハマ タイヤは今季3勝目となり、
なんとメーカー別では現在最多勝、少なくも最多タイ確定ということになります。
(ミシュラン、ブリヂストンとも2勝)
 前回のSUGOでの無交換はサプライズでしたが、今回は見え見えの策で
”正面からの奇策”な感じでしたが、予選での上位を生かしました。
ペース的に見れば、予選2位なら正攻法でも行けた気がしなくもないですが、
抜けないもてぎでの作戦としては無交換は十分機能しましたし、
ペースが非常に良かったです。

 ただ、全体的にはRC Fが目立ちました。
確かレクサスと日産はこのレースから3基目のエンジンだったと思いますが、
レクサスのRI4AGの新スペックが機能しているのかなと感じられます。
日産はあまり伸びしろがなかったのかな、という感じでむしろ
MOTULの不調の要因がこの新スペックと関係あるのか気になるところです。


 ドライバー選手権ではMOTULが9位で2点どまりとなり、
DENSOが3点差で選手権首位に浮上しました。
3位にはWAKO'S 4CR RC Fがトップから7点差、以降4~6位にも
レクサス勢が並びましたが、こうなるとメーカー内で上位にいた方が明らかに有利です。
 ホンダは13台完走のレースで10~13位と要するにビリ。
タイヤのピックアップに苦労した、ということですが、エンジンにしろ
車にしろ全体に戦闘力に欠けている雰囲気があります。


 日曜日はいよいよ最終戦、同一メーカーが固まってバトルが起きない
パレードでは面白くないので、グリッドに複数メーカーが入り混じり、
昨年のようにタイトルに関係ない人が争う人の間で暴れまくるような
展開を期待したいです。