先ほどオートスポーツwebを見てびっくり仰天(言い回しが古いかw)
なんとアウディーが今年限りでWECから撤退すると明らかにしました。

オートスポーツweb
WECに衝撃! アウディが2016年限りのWEC/ル・マン24時間からの撤退を正式発表

 R8から始まってル マン24時間を長年に渡って引っ張り、
ワークス勢がLPM1から消え去っていた冬の時代にもカスタマー車両で
グリッドに賑わいをもたらし、今のWECの隆盛には彼らの努力が多大に貢献していたと
思いますし、WRCを去って以降、なんだか箱型でおっさん臭くて
FFで特に面白味がない車のイメージだったアウディーに一気に
スポーティーなイメージを与え、世界的な販売拡大に貢献したと思っていたので、
わりといきなりな感じの撤退劇です。
壊れてもごっそり部品を取り換えて、ものの数十分で新車みたいになって
戻ってくるレースぶりには少々納得がいきませんでしたが。

 記事によると、今後はフォーミュラーEにより注力する方向性だそうで、
それは間違いのないところだと思いますが、もう1つ、フォルクスワーゲン グループの
一連の不正問題が影響しているのは間違いないでしょう。

 折しも、今日の日本経済新聞・夕刊には、VWのアメリカでの
制裁金支払いに関して、主要部分が決着した、という記事が出ていました。
 
VW、1.5兆円の制裁金支払いを米地裁が承認

 WECに参戦するワークスはアウディー、ポルシェ、トヨタの3社。
2社はVW傘下のブランドであり、全く別の部隊で、全く違う車でレースしているとはいえ、
財布のひもはもとをたどれば同じ場所。
 昨年VWの不正問題が明るみに出た際にも、現場のトップは
「まあ大丈夫だとは思うんだけど・・・」といった雰囲気でやや歯切れが悪かったと
オートスポーツ誌で見ました。
 両社は今季も参戦継続、アウディーはR18を外観が大きく変わったモデルに
進化させて長足の進歩を遂げたポルシェに対抗する意思を見せていました。
一方で費用削減のために、例年は3台体制だった24時間を2台体制に変更。
削りやすいところから削ってるんだなあとは思っていましたが、
訴訟費用による一時的な損失を除けば、VWの本業の業績は決して悲観的な
状況ではないため、むしろイメージ戦略としては多少規模が縮小されても、
長く続けるメリットを優先するのかと思っていました。
 しかし、F1に勝るとも劣らないお金がかかるという噂の現代のハイテクLMP1活動に、
競争力を持って続けていくだけのお金を2陣営分用意するのは会社の状況が
許さなかったのかもしれません。

 また、アウディーはR10以来ディーゼル エンジンを搭載して活動し
ディーゼルのイメージ向上に繋げていましたが、今回の不正問題は
そのディーゼルのものであり、ディーゼル王国だったヨーロッパでも
イメージは明らかに低下。今後規制は強まることになり、各社の自動車ショーでも
今まで
「ハイブリッドなんて高いだけで無駄、エコなのはディーゼルですよ。
日本人は騙されてますね」
な態度だったのが
「電気自動車万歳!でも普及はすぐできないからハイブリッドって最高だよね!」
な雰囲気に様変わりしている様子。
 VWも矢継ぎ早にEV戦略を打ち出している模様で、もはやディーゼル車での
プロモーション活動に多額の費用をかけるよりも、
限定的な部分だけ開発すればよく費用が安いFEを使って、今後のEV市場を
おさえに行く方が得策だと判断されたのは容易に想像できます。


 これで困ったのはWECでしょう。
私の記憶なのでソースが曖昧ですが、元々FIAがル マンを含む
ILMC(インターコンチネンタル ル マン カップ)を世界戦としてWECに”格上げ”
するにあたって、主催団体であるACOに対して言ったのが
「最低でもLMP1に3社のワークス参戦」だったと記憶しています。
 当時ワークスはアウディーとプジョーで、ここにトヨタが加わりますよ、
という話だったのが、プジョーがお金がなくて抜けてしまい結局2社でスタート。
ここにポルシェが加わってくれてようやく3社になってまだ2年しか経っていません。

 ここ3年ほどのWEC/ル マンの盛り上がりには、やはり3社が
全く違う動力機関でそれぞれの発想で車を作り、それを主催者が絶妙に均衡化させる
方策を打って来たことによる見事なバランスがあったと思います。
耐久レースでありながら随所でワークスvsワークスの激しい争いがあるからこそ、
耐久レースとは思えない華やかなレース内容があり、人気を博していたと思います。
 しかし2社となると、単純に勝ち負けが簡単に見える場面が増えるでしょうし、
台数が少ないので見どころも減ることは確実。
新規参入の話も今のところ聞かないですし、当面はこのままでしょうから、
いかにそのなかで興味を引く策を打ち出し続けることができるか、FIAとACOは
シリーズ開始後最初の大きな壁に直面しそうです。

 過去、地域選手権がFIAの手によって世界選手権へと格上げされ、
最初は良かったけど、そのうちお金がかかりすぎて抜ける人が出てきたら
急に歯車が逆回転しだしてあっという間につぶれた、というケースが
何度となくありました。逆回転する前に策を打つことが何より肝心です。

(DTMとSUPER GTの統合規則を使用して、この規則のレースを
世界選手権として開催しようという動きが急に浮上しているんですが、
こういう事例があるから手放しでは喜べません)

 そういえば、参戦したけど休止してしまったメーカーが1つあったような
気がします。えっと、前輪駆動の奇妙な車を開発していたと思うんですけど、
ちょっと私としたことがメーカーを忘れてしまいました。
 その何とかというところが、すごくいい条件
(初年度年会費無料・さらにポイント2倍キャンペーン開催!みたいな)
を提示でもしてあげれば食いついてくるかもしれませんね。
 ダット自動車製造だったかな・・・(´・ω・`)