各カテゴリーが終盤を迎えてくる秋ですが、フォーミュラーEは10月に
香港で3季目の幕が開きます。
その前に、シーズン2を振り返ってみます。

2015-2016 series
Drivers Champion
Sébastien BUEMI (Renault e.dams Formula-E Team/Renault Z.E.15)
Team Champion
Renault e.dams Formula-E Team
 2シーズン目のFEはパワートレインの開発が可能になり、メーカー系を中心に
独自のユニットを開発。そしてやはり1年目の時点から強かった
e.damsとabt Schaeffer Audiが開発でもライバルの先を行き、開幕から数戦で
チャンピオンはいずれかになるであろうという流れになりました。
 もちろん争うのはエースのセバスチャン ブエミとルーカス ディ グラッシです。
双方が獲得したポイントと、ブエミから見た点差をまとめてみました。

イメージ 1

思ったより小さくなったな^^;
開幕から2戦、明らかに速いのはe.damsでした。第2戦では突発性
電源落ち症候群でブエミがリタイアしますが、勝ったディ グラッシは
ペースでの差に危機感を募らせるコメント。
その後ディ グラッシの規則違反失格で一旦差が開いたものの、
今度はブエミが予選不調症候群に見舞われて一進一退。
 最後は最終戦の予選を終えた段階で、PPボーナスの3点を得たブエミが同点とし、
そして2台が絡むという悲惨な結末で終わりかけたところが一転、
互いに車を乗り換えて最速ラップのボーナス2点を賭けてアタックしあうという
ある意味最後まで分からない、ある意味お粗末な王座争いとなり、
そのボーナスを手にしたブエミがチャンピオンとなりました。
 表で赤く塗った部分はPPとFLの両方のボーナスを得たレース、青はFLのみを
得たレースを表しています。

(なお、FE公式サイトでは開幕から2戦のポイントについて、本来ブエミの
ポイントに『P FL』と表記すべきところ、Pを書き忘れて3点が加算されておらず、
最終戦でもDNFであるために数字が書かれていないため、単純に足し算すると
全然計算が合わない不具合があります)

 ブエミはボーナスだけで合計17点を稼いでおり、これが選手権に
決定的な差をもたらしました。
これを受けてFEは来季からFLのポイントを1点に減らすことになりましたが、
仮にこれを当てはめると、ブエミは4点失うことになるので、チャンピオンは
ディ グラッシのものでした。
速さで劣ることに危機感を抱いていたディ グラッシですが、まさしくシーズンを
分けたのはその一発の速さでした。

 ただ、それだけを言い訳にできないのは、彼らがメキシコでやっちまった規則違反。
最初に乗った車の重量が規定より軽かった、というもので、おそらくは
チームの初歩的な確認ミスでしょう。
本来はこのレースも1位でフィニッシュ、仮に1.8kg軽い車がアドバンテージを
持っていたとしても少なくとも5位で10点は確実に入っていたでしょうから、
ここがゼロだった、というのはあまりに致命的でした。
 さらにベルリンでも、チーム オーダーを出したはずがダニエル アプトが
順位を譲らなかった、ということもありました。
ディ グラッシがすげえイイ奴で、母国で自己最高位になれる僚友から無下に
順位を奪いたくなかった、という話ならまあ仕方ないんでしょうが、
チャンピオンにかえてまでそうするとは思えません・・・


 e.damsの車に関してジャーナリストの記事で見たのは、ライバルよりウイングが
立っていて、それでいてライバルと同等以上にストレートが速い、
ということでした。
 開発は自由になりましたが、ユニットの最高出力やバッテリーの容量は
全車共通なので、基本的に性能差は電力ロスの大きさや駆動系の抵抗の改善、
あるいは回生効率の向上による実質的バッテリー容量拡大によってしか
生み出すことはできません。
 FEの使用可能電力量は、決勝を常に全開で走るには全く足りない容量しか
ないため、レースではリフト&コーストを多用し、エネルギー回生で
航続距離を伸ばし伸ばし走る必要があります。
空気抵抗は『電費』に影響するので、ウイングの立てすぎは航続距離の低下を招きます。
 e.damsはそれらを最適化させ、『実質的な出力』でライバルの一歩先を行き、
それによってウイングを立てることも可能になり、コース全域にわたって
速さを得ていた、と考えることができそうです。


 開発が自由という点で、他にもいくつかのアプローチがあり、
DSViegin RacingFormula e TeamとNEXTEV TCR Formula E Teamは
2モーターというアプローチで挑んできました。
DSは何とか使いこなしてサム バードが2勝を挙げましたが、TCRは大失敗。
初代王者のネルソン ピケは毎度毎度後方争い。
2つにしても出力を増やせるわけではないので、単純に増えた重量分だけ
車が遅くなったことが主な要因だそうです。

 当初はトップ カテゴリーからちょっと外れちゃった人たちが多かった
ドライバー陣もだんだんと世界の精鋭になりつつあり、
なぜか戻ってきたジャック ビルヌーブはすぐお払い箱に(´・ω・`)
そんな、かなりレベルの高い人たちが狭いコースで無理やり抜きつ抜かれつする
バトルとそれによる接触はFEにあってF1にないもの。
ただ、最終戦のクラッシュは三流ドライバーのやることです。

 第3シーズンはまた外観が少し変わったり、新規参入組の登場もあって
まだまだ面白いレースは続きそうです。
何せジャガーのタイトル スポンサーはパナソニックです。
なんで亜久里さんを助けてやらなかったんだ・・・

 50分にも及ぶ公式ハイライトで、見たことない人も良いとこ取りで
お楽しみくださいw