FORMULA 1 GRAN PREMIO HEINEKEN D'ITALIA 2016
Autodromo Nazionale Monza 5.793km×53Laps=306.72km
winner:Nico Rosberg(Mercedes AMG Petronas Formula One Team/
                                                                                         F1 W07 Hybrid)

 F1のヨーロッパ戦は今年もイタリアで締めくくり。
F1の公式スポンサーとなったハイネケンが堂々とこのイベントの冠スポンサーです。
ハイネケンのスポンサーについては飲酒運転撲滅団体的なところから
発表直後から避難が寄せられておりちょっともめています。

 予選ではルイス ハミルトンがPP獲得。特にセクター3でニコ ロズベルグを
圧倒しており、ロズベルグからすると、データを見て
「え、そのスピードで曲がるの無理・・・」とショックを受けていないかどうか。


 しかもメルセデスの2台はQ2をSで通過しS→Mの1ストップ濃厚。
ライバルはみなSSスタートなので、普通に考えれば2ストップ。
ピレリは2ストップが理論上速いと言いますが、メルセデスはなんだったら
SでもPP取れそうなぐらい速いのでもう最初から別カテゴリーです。

 ところがハミルトンはスタートで失敗!シーズン序盤を思い出す光景で
なんと6位転落。代わってセバスチャン ベッテル、キミ ライコネンと
跳ね馬さんが順位を上げたので熱狂的な地元ファンは大喜びでしょうが、
最後にはどうせ3・4位にしかなれないことは皆知っています。
一時の夢です。


 ロズベルグはライバルがいないので何も心配する必要がなく
無風で優勝。いくらハミルトンが速くとも、15秒もハンデを抱えては
追いかけるのは至難の業、というか、チームとしてもやめてくれ、なところです。
 ハミルトン側で考えた場合、前戦でPUのペナルティーを受けまくった上で
3位に入ってポイント リーダーの維持に成功して得したのが、ここでは
ミスミス8点詰められてしまったわけで、これをどういう風に自分の中で
消化して次に臨むかが大事になりそうです。
 2点という差は有って無いような差ですが、互いに25点と18点を
取り合うだけの展開になれば、同点にならないことがハミルトンにとって
大きなアドバンテージでもあります。
 そういえば昨年はロズベルグのPUが壊れて25点差が一気に付いてしまい、
ロズベルグの心がポッキリ折れた音がしました^^;

 フェラーリの2ストップは良し悪しを言われそうですが、正直何をやっても
ここより上は無理なので、ちゃんと仕事をしたんだからまあ別にいいんじゃない?
という感じです。
ベッテルが久々にイタリア語いっぱいで、イタリアのお客さんが喜んでたんだから
それでいいじゃないですかw
 考えてみてください、フェルナンド アロンソが、日本GPで3位になって、
レース後の無線とインタビューで日本語いっぱい喋ってくれたら嬉しいでしょ?
仮に作戦ミスがあったとしても、許す気になるでしょ?w

 ところがそのアロンソ、このレースではなんだか大荒れ。
1回目のピットでは作業が終わったのにシグナルが赤のまま変わらず時間を失いました。
「ニホンノシンゴウナガイネー」とか無線で言ったら面白かったんですが、
もちろんそんなことは言いませんw

さらに34周目に流れた無線では「プランAのまま行きたい」(恐らくAは1ストップ)
というエンジニアに対し、「何言ってんの?このタイヤブリスター出てるんだけど」
「プランBとかCとかにしようぜ」とちょっと悪態。
結局この後ピットに入ってタイヤを替えます

そして極めつけはこちら。

エンジニア「よーしフェルナンド、最後まで飛ばしていけよ。
      グロージャンが18周した古いオプションで走り続けていて、
      最後には前まで落ちてくるぞ」
アロンソ「ハッハッハッハッ」

この笑いの意味するところは本人しか知りようがありませんが、いくつか
想像するとすれば

・この後彼はピットでSSに交換しており、タイヤの性能低下に不満を持っていて、
 『ハッハッハッハッ、こっちも遅えってのw』と言う感じだった

・スタートで自身は10位まで順位を上げ、方やジェンソン バトンは混乱に
 巻き込まれて後方にいたのに、気づけばバトンのほうが先行。
 簡単に抜かれる上にピット作業ミスと下手な作戦で大損していて
 今更感しか無かった

・グロージャンを抜いてもどのみち得点には関係なく、
 つまらん励ましが馬鹿馬鹿しかった

いずれにしても、「GP2、エンジン。GP2。アーッッ!」以来の名無線誕生ですw
 なお、この後最速ラップを記録、この体制では初ですが、無論アロンソは
そんなことに意味は無いといった受け答えだったようです。

 さして見どころが無く順位変動もあったのかなかったのかでしたが、
唯一ダニエル リカルドがバルテリ ボッタスを抜いた場面だけは
素晴らしいレースでした。
 おなじみ、直線速くて抜けねえよなウィリアムズに対し、
通常のコースであれば、リカルドは間違いなく、ウィリアムズが
「まだこの周回だとピットに入ってもタイヤが最後まで持たない」と思っている周回、
いわゆる『ピット ストップ ウインドウ外』で先に動いてアンダーカットするのが
セオリー。
しかし今回は先にボッタス側がそうはさせじと動き2セット目のSを投入。

 リカルドはしばらくコースに留まって周回数を稼ぎ、最後のスティントでSSを装着。
速いタイヤで、すでに周回をこなしてやや落ちてくるボッタスに対して
大きな差のある車での攻撃を狙いました。
そして、47周目のターン1、目視だと2車身は離れているところから
得意の超絶ウルトラスーパーレイトブレーキング炸裂。
5位を奪い取りました。

 どうやら、ボッタスがピットに入る時点で「相手と逆をやれ」と
指示されていたようですが、このやり方が私は正解だったと思います。
ボッタスはピット後しばらくするとニコ ヒュルケンベルグに追いついていました。
ということは、リカルドが先に仕掛けてもヒュルケンの壁にどこかで
引っ掛かかったでしょうし、ボッタスが1周後に反応して最初にプッシュした場合、
このあたりでDRS圏内に入ってコース上で抜き返される危険性がありました。
 もちろん、後から入るということは、コース上でリカルドが抜けるという
確固たる自信が必要ですが、それをやれるのがリカルドです。

 彼のこの超絶ブレーキ、相手が「この距離では来ないだろう」と思う
位置から飛び込むことでブロックを無効化し、それでいて、相手を抜ききって
クロスになれるところまで突っ込むか、今回のようにちゃんと並走出来るだけの
空間は残してやってしまうところが本当にすごいです。
今回厳密には0.7車身分ぐらいの残りではありましたが、良い奴のボッタスなら、
あれは俺の負けだと納得できるものだったと思います。
 もう1周後ならもう少し楽に抜けたような気もしますが、あの距離で
行けると判断できる嗅覚、そして、この高速モンツァで、目一杯
ボッタスのスリップストリームとDRSを使って、しかもイン側のラインであるために
やってみないとわからないブレーキング ポイントをきちんと当てて来る。
すごい才能です。
 ちなみに、画面上の数値では、単独で走っているボッタスの最高速が344km/h。
スリップ利用+DRSのリカルドが357km/h。
元々ウイングがペラッペラでDRSの上積み効果が薄く、しかも追い風だったことで
効果が薄れたわけですが、それにしてもウィリアムズは速いしレッド ブルは遅いw


 ちなみに今回、VSCすら入らなかったためレース時間は1:17:28.089。
そして次回は逆に2時間制限に引っかかりそうなシンガポールです。