2016 AUTOBACS SUPER GT Round5 FUJI GT 300km RACE
富士スピードウェイ 4.563km×66Laps=301.158km(GT300 Leader 62Laps)
GT300 class winner:ARTA BMW M6 GT3 高木 真一/小林 崇志
(BMW M6 GT3/AUTOBACS RACING TEAM AGURI)
GT300クラスもGT500同様ポール トゥ ウインでARTA M6が優勝。
M6としての初優勝でもあり、BMW車両としても2014年鈴鹿1000kmでの
TWS LM corsa BMW Z4以来だと思います。
予選の映像を見ていると、もう速さがGT500を見てる気がしてくるんですよね・・・
レースは終始ARTAとHitotsuyama Audi R8 LMSの争いに。
R8は最高速でM6を上回っているようですが、幅広大排気量の怪物車両は
最終コーナーからストレート中盤までが速く、R8はなかなか勝負ができない感じ。
予選3位はJMS LMcorsa 488 GT3でしたが、4周目にSUBARU BRZ R&D SPORTが
これを抜いて3位に。富士では予選だけ速くても開始早々に抜かれるのが
お決まりのパターンだっただけに、この順位を走れるのは意外です。
BRZは、今回おそらくGT中継で初めてだと思いますが、ライブで車載映像の
配信が行われました。これは元々インターネット回線を通じてスバルのファン向けの
パブリック ビューイングか何かで利用していたものを、公式に使ってみよう、
と試験導入したものだそうです。
車載映像というと通常はお金がかかるので、金のない日本のレース中継では
まず無理なんですが(フジテレビ時代のフォーミュラニッポンでも採用されていたが、
今やカメラの台数すら少ない状態に・・・)通信技術の向上で汎用的なもので
代用できる水準になってきたようです。確かに綺麗に映像も音も入っているし、
画面がバラバラになることもありませんでした。
ただ、中継で「今車載映像流して!」というタイミングではことごとく
使ってくれませんでしたが。。。
BRZはこの後安定して3位をキープし続けましたが、自力で前を脅かすのは
さすがに辛くバトルが少なくて車載的にはイマイチでしたかね。
上位2台はSC導入までほとんどDRSレンジ状態。藤井 誠暢は
「ウイング傾け!」と思ったかもしれませんw
リスタート後、中団グループ以降では早めに入って何か策を講じたらしき
雰囲気もあり、LEON CVSTOS AMG-GTが上位に割って入ったりしますが、
上位3台は速すぎて、抜ける富士ではあまり関係ない模様。
しかも、彼らに次ぐ位置を走っていたTOYOTA PRIUS apr GTが作業後
発進できなくなる問題発生で脱落。完全にM6とR8の後半勝負、何かあれば
BRZがごっつぁん、という流れです。
先にR8、次にM6が動き、燃料爆買い、じゃなくてバカ食いのM6は
不利かと思われましたが、なんと驚きの高速ピット。
タイヤ替えてないのかと疑ってしまいましたが、練習の賜だそうです。
前半はできるだけ燃料を使わないようにしつつ走っていた部分も
あったのかもしれませんし、レースを重ねて燃料の最適なマッピングが
見つかり始め、開幕当初より燃費が改善したのかもしれません。
ピットのおかげで6秒以上の差を得たARTAではありましたが、
R8の方がわずかにペースが良いのかじわじわと、本当にじわじわと追いつき始めます。
53周目に自己ベストを記録しており、恐ろしい車です。
残り4周、画面の隅に、ダンロップ コーナーでRAYBRIG NSX CONCEPT-GTに
譲った後NSXに引っかかるM6がチラッと見えたので、
画面の前で私が
「今詰まりましたよ~!カルソニックの映像いらないよー!」
と言っていたら、次に映った時2台は1秒以内に入っていました。
しかし次の周、今度はARTA NAX CONCEPT-GTがダンロップでR8を抜き、
今度はR8がロスに。
ブレーキングが甘かった上にインから抜いたせいで旋回が遅いNSXをR8が後ろから
「遅いんじゃボケ!オレンジ仲間で邪魔する気かオラ!」
とばかりにバンプしたように見えました。
別にARTAの連携ではないでしょうが、これでまた少し差がついた2台。
しかし火がついたR8のリチャード ライアンは最後の最後まで攻め続け、
最終周の最終コーナーをほぼ真後ろで脱出。
ここから加速競争&スリップストリーム、でしたが、0.106秒及びませんでした。
しかし最初から最後までずっと接戦で、非常に良いレースでした。
ARTAの高木/小林組は身長差14cm、年齢差17歳の見事な凸凹コンビですが、
見ていて非常に面白いコンビです。
前回の富士の予選では小林が
「Q1で高木さんがすごいタイム出してプレッシャーかけてきたから
ポールを取れてよかった」みたいなコメント、
で、今回の予選では小林がQ1担当で
「前回すごいプレッシャーかけて来たんで、3位で良いって言われてたんですけど
きっちり1位でプレッシャーかけときました」
と見事な前回からのボケの重ねっぷり。
スタート前も、決勝の展望を聞かれ
「まあ何位で帰ってくるか次第ですけど、ぶっちぎって来てくれると思うんで」
とプレッシャー攻撃。高木は「15秒ぶっちぎる」と『応戦』
高木は長年ARTAでベテランの新田 守男と組んで、自分が引き立ててもらう
立場だったので、このコンビになって、今度は自分が年長者として、
エースが気分良く走れるように立ちまわる役目をこなしているなと感じさせられます。
4位はマネパ ランボルギーニ GT3。ウラカンでの今季最上位ですが、
一番得意であろうここで優勝争いに絡めないのは厳しいところ。
ハンデを嘆きたくもなります。
グッドスマイル 初音ミク AMGも相変わらず影が薄く、むしろ
54kgのハンデで予選17位から追い上げてきたB-MAX NDDP GT-Rの方が
目立った印象です。
ヤン マーデンボローに関しては、
「日本人はちょっと何か気になるとすぐタイヤが~セッティングが~と
言ってピットに帰ってくるけど、彼は与えられた環境で100%を出すにはどうすればいいか
考えながら文句を言わずに走れる」という評価があるそうです。
これは外国人のドライバー全般に言えることだそうですが、
GTアカデミーは車のセット不可で気に入ろうと入るまいとその条件で
速く走らないと勝てないわけですから、アカデミー出身者の持つ1つの
才能といえるんじゃないかと思います。
次戦は1000kmレース。第3ドライバーの参加でエヴォーラに期待!