FORMULA 1 GRAND PRIX DU CANADA 2016
Circuit Gilles-Villeneuve 4.361km×70Laps=305.27km
winner:Lewis Hamilton(Mercedes AMG Petronas Formula One Team/
F1 W07 Hybrid)
F1第7戦カナダ。私はこことかオーストラリアみたいなコースが、
シンプルでありながら抜けて、ミスには代償が付いてきて、
腕の良し悪しが出るので好みです。
一方でルイス ハミルトンはF1デビュー時、初めて走った時から結果がよく
彼もまた好んでいると思いますが、今回もポール トゥー ウインでカナダ5勝目。
少し流れが彼の方に巡ってきた気もします。
予選Q3、1発目のアタックで事実上PPを決めたハミルトン。
ニコ ロズベルグとの差は僅かでしたが、ロズベルグは2回目のアタックの
最初のターンで前輪をロックさせ、見せ場なく終わりました。
一方セバスチャン ベッテルは予想外の好タイムでしたが、本人はまだいけたと
行った感じの悔しがり方。じゅうぶんすぎると思いましたが^^;
しかしその悔しさがバネになったか、スタートでベッテルがTCS付いてんのかと
疑いたくなる好スタート。ハミルトンはまたもエビスタートで、それがために
ターン1で外から並んだロズベルグを外へ押し出し。昨年よく見た光景で、
ロズベルグはエスケープへ退避。大きく順位を落としてレース後たいへんお怒りでした。
先頭に出たからといって引き離せるわけではないベッテルですが、
さすがにメルセデスでも別クラスのようにあっさり抜けるわけでもなく
ハミルトンは1秒前後の差で追走。
今回、戦略的にはSで走りきれる周回まで引っ張っての1ストップが推奨とされており、
逆から言うとUSで20周あたりまではいきたいので下手にタイヤを壊したくもないところ。
そんな中、11周目にジェンソン バトンがエンジンを壊して停止、VSCに。
ここでフェラーリは、VSC中なら少ないロスでタイヤを替えれるのでお得と考え
ベッテルはSSに乗り換えます。一方メルセデスは初志貫徹の模様。
VSCはわりとすぐに解除されます。
ベッテルはタイヤこそ新しくなったものの、レッド ブルの2台をコース上で
抜かないといけず、どこまで得するかは微妙なところ。
ハミルトンは前が開けて自分のペースで走行です。
抜かれる側のレッド ブルは今日もなんだかチグハグで、スタート後の混乱で
位置関係が逆転したマックス フェルスタッペンとダニエル リカルドでしたが
やはりリカルドの方がペースが速そう。
チームからフェルスタッペンに指示が出ますが、「ダニエルを抑えるな」という内容。
当然フェルスタッペンはこう考えたでしょう。
「抑えるのはダメだけど、ペースを維持して近づけさせなければ譲る義理はないな」
結局コース上で入れ替わることのなかった2人。うーむ、これでは
トロ ロッソ時代にカルロス サインと軋轢を作った二の舞を演じることに
なるではないか・・・
ハミルトンはベッテルが約5.5秒差まで詰めてきた24周目にピットに入り、
予定通りSに交換の1ストップ。
ここからSのハミルトンとSSのベッテルはほとんど同じペースで、
37周を終えてベッテルもSに。
13周履歴の浅いタイヤで約8秒差を追うこととなり、あとはハミルトンのタイヤが
ガクッと落ちるのを待たないと自力で追いつくのは難しそうです。
ただ、中団グループでは1ストップだろうと思った人が意外とあっさり
ソフトを捨てて2ストップにしている姿も見られ、ひょっとすると、という
期待は持ちます。何せ雨が振りそうなぐらいどんよりとした天候で、
作動温度領域の高いSにとってはあまり良い条件ではありません。
ベッテルは少しハミルトンに近付きはしているものの、
頑張りすぎて最終コーナーを曲がれずに時間を失うなど、限界目いっぱいで
それでも追いつくのは難しい状況。
まざまざとメルセデス×ハミルトンの力を見せつけられることになり、
ハミルトン、流れを引き寄せる2連勝でした。
ロズベルグは落とした順位を一生懸命戻したものの、パンクでピットが1回増えた上に、
やはり他車の後ろを長く走るとブレーキに問題が出てきてしまう模様。
燃費に厳しいこのコースで珍しくSCが入りもしないために
燃料的にもギリギリで、5位まで盛り返すだけでも一苦労。
4位のフェルスタッペンはザコPUだから簡単に抜けるかと思いきや、
彼は最終コーナーでインをガッチリブロックして抜かせてやらんぞオーラ全開。
「そんなに無理したら事故るぞ。どうせ抜かれるし」と思って見ていたんですが、
2度ほど粘ったらロズベルグはやはり熱の問題もあるのか追撃が緩み、
69周目、いよいよ最後のアタック!と仕掛けたロズベルグの攻撃は
まさかの大スピン。なんかブレーキが片効きしたような唐突なスピンでしたが、
車を壊さなかったのは不幸中の幸い、復帰も早くキミ ライコネンにも
かろうじて抜かれずに済みました。
フェルスタッペンのバトル能力はなかなかのものがあります。
『ハミルトンが連勝し続けてもロズベルグが常に2位なら追いつくのに夏までかかる』
と言われた2人のポイント差は、なんともう9点差に。
ハミルトンの精神的にこれは大きいこと。逆に続けてやられた上に、
昨年の再現のような押し出しを食らったロズベルグの心境やいかに。
こうした争いと距離を置き、車の特性を活かしたバルテリ ボッタスが3位で
今季初表彰台。彼も車もここは得意領域で、メルセデスの片方が
落ちてくれたことで最大限の順位を獲得、悔しいモナコの借りを多少は
返せたでしょうか。