2016年のSUPER GT、GT500クラスはMOTUL AUTECH GT-R
松田次生/ロニー クインタレッリ組の連勝となりました。
 2014年にグッドスマイル 初音ミク Z4 谷口 信輝/片岡 龍也組が
連勝した際にも触れましたが、JGTC/SUPER GTにおいて、
開幕から2連勝した車は必ずその年のドライバー選手権を獲得しています。
改めて過去の例を振り返ってみましょう。

1994年 GT2クラス
KORG KEGANI ポルシェ
小幡 栄

1995年 GT2クラス
欧州車販売の外国屋スカイライン
石橋 義三/星野 薫

1998年 GT500クラス
ペンズオイル・ニスモGTR
エリック コマス/影山 正美

  〃  GT300クラス
つちやMR2
鈴木 恵一/舘信 吾
※1998年は第2戦が大事故により赤旗中止となり第1・3戦での連勝

2000年 GT300クラス
シェルタイサンアドバンGT3R
松田 秀士/福山 英朗
※松田はこの年の第3戦をインディー500参戦のため欠場、チャンピオンは福山のみ

2008年 GT500クラス
XANAVI NISMO GT-R
本山 哲/ブノワ トレルイエ

2014年 GT300クラス
グッドスマイル 初音ミク Z4
谷口 信輝/片岡 龍也

 初期の時代のGT2クラスともなると、参加台数がGT1より少ないくらいの
時代ですので、今の時代とは達成難易度が比較になりません。
元来速い車には重りを乗せて人為的にレース結果を操作しようという
ハンデ制がJGTC/SUPER GTの根幹ですから、連勝するだけでも難易度が
非常に高いことです。
 また、見ていて気づかれると思いますが、GT500クラスで過去に
2例しか無い開幕2連勝はいずれも『ニスモの23号車』が記録しています。
そして今回達成したのも、23号車がチャンピオンを獲って1号車に
リナンバーされているニスモの車。
ツボにはまったニスモだけが成し遂げる記録、ということになりますw
過去の経験だけで言えば、もうMOTULのチャンピオンは決まったも同然ですが、
この連勝達成者の中で唯一2008年のニスモだけはチームのチャンピオンを
取ることができませんでした。
 ちなみに、1998年はR33型スカイラインGT-Rの事実上の最終年、
2008年がR35型GT-Rの初年です。

 過去開幕3連勝したのは1998年のつちやMR2のみ。3連勝自体が
GTでの連勝最多記録で、当時はGT300とGT500でウエイト制度が違い、
GT300は優勝で+30kg、かつ最大80kgでした。

 過去のニスモは1998年の第4戦は10位、2008年の第3戦は事実上
ぶっちぎりのビリでした。

 2008年の第3戦富士500kmはある意味伝説的なレースで、
この年どうしてもプロモーション的にGT-Rをレースに投入したかったけど、
翌年から規則がガラッと変わるため1年だけのために新型GT-Rを作るわけにも行かず、
2009年規定を先取りして1メーカーだけ全然違う規格の車を投入する荒業に成功。
そして開幕戦ワン・ツー フィニッシュ。第2戦では+50kgの特別性能調整を受けたのに
23号車はまさかの連勝をしてしまいました。
 そこでさらに重りが増えて第3戦では最低重量が+80kgの1180kgに。
ここに、23号車は連勝で115kgのウエイト(実際に乗るのは100kg)が
課せられていたために実質180kgのウエイトという聞いたことがない重さに。
 あまりにペースが遅い23号車は全く競争する余地もなく、
『遅すぎてガソリンが減らない』ために、全く誰も見ていないところで
なんと1ピット作戦を実行。結果は3周遅れの14位でした。
たぶん500kmのレースで1回の給油で走り切ったのって後にも先にも
この車だけではないでしょうか。

 次戦80kgを積むMOTULが勝てるとは思えませんが、オートポリスでの
第3戦は熊本地震の影響で中止となり、第4戦のSUGOが舞台。
重いとますます不利なコースで、しかもニスモが相性の悪いコースではありますが、
彼らは既に相性が悪いとされた岡山の呪縛を解き、チャンピオンになれば
09規定以降続いていた『開幕戦で表彰台に乗るとチャンピオンになれない』
というジンクスも破ることになります。
 常識破りの1号車、はたして次戦は、そして最終結果はいかに・・・