F1は次戦がスペインGP。
序盤の遠征を終えてヨーロッパに戻ってくるタイミングで、
各陣営が集めたデータをもとに開発したパーツを投入してくることから
『第2の開幕』と言われるわけですが、第2の開幕というのはどうやらドライバーにも
当てはまったようです。
なんと、レッド ブルのダニール クビアトとトロ ロッソのマックス フェルスタッペンが
次戦から所属を入れ替わることになりました。

 最初に『フェルスタッペン昇格』というような見出しだけを見た時、
ああ、もう来年の契約決まったのね、と思ってちゃんと見なかったので、
改めて記事を読んで驚きました。
 お金の問題で下位チームのドライバーが途中で変わることはそこそこ
ありますし、トロ ロッソでもハイミ アルグエルスアリなんかは途中から出てきた
中途採用ドライバーだったわけですが、成績不振を理由にした序盤戦での交代を
このレベルのチームがやるとはなかなか近年では珍しい出来事。
トレードとは4台体制の成せる技です。

 クビアトはロシアGPのスタート直後の接近戦でセバスチャン ベッテルに追突。
ぶつけられたベッテルがダニエル リカルドにも接触して、クビアトは
レースを台無し&自身無得点&リカルドも巻き添えで無得点となり、
首脳陣の一人、ヘルムート マルコの逆鱗に触れたと言われています。
いわば懲罰的交代、という見方をされているわけですが、赤牛さんは
この件についてこう説明します。

・クビアトはプレッシャーによって本来の力を発揮できないでいる。
かつてロマン グロージャンがそうだったように事故病状態で、トロ ロッソで
伸び伸びやらすのが得策である

・フェルスタッペンとカルロス サインツとの間にかなりの亀裂が生じており、
両者をチームメイトでなくすことでフェルスタッペン、サインツ双方に
利点が生じる

 確かにそれも一理あり。そもそも、フェルスタッペンが来年『Aチーム』に
昇格するであろうというのは間違いなかったので、チームとすれば
予定を繰り上げたというだけの話なんでしょう。
が、あまりに急で、しかもどう見ても懲罰的な人事異動にははやり反発があるようで、
ジェンソン バトンはtwitterに
「1戦失敗しただけでクビアトが外された。その前のレースでは表彰台に上ったのに」
と書いた上で、ハッシュタグに#Shortmemoriesとつけたそうです。
私はtwitter知識0なのでハッシュタグとやらの意味をまるで理解していないんですが、
本文ではなくおまけのほうで、記憶力ない、と批判をした模様です。

 ただ、彼の言う『1戦失敗しただけ』というのはむしろジェンソンが
#Shortmemoriesかもしれません。私がパッと思い出すだけでも、
彼は昨年の日本GPで、コーナー進入前に前輪を芝に落としてスピンするという、
GT6で初めて車内視点使った人みたいなミスで横転して車をほぼ全損。
アメリカGPでも終盤に縁石に乗りすぎていきなり真横を向いて壁に刺さって自滅。
 タイム的にリカルドに劣っているのは確実で、元々首脳陣が
「うーん、イマイチだな。マックスと替えたいな。ていうか、ちょっと
成績残したのとベッテルの移籍とで急いで昇格させすぎたな・・・」
と思っていたとしても不思議ではないでしょう。
まあ判断ミス自体が首脳陣のミスなので、それを選手に転嫁するのが
良いとはいいませんが。バントの下手な選手をわざわざ起用して失敗して
選手に怒っても、だったら他のやつ使えよ、使ったお前が悪い、と
阪神ファンは100%和田カントクを批判しますからね。

 元々契約書にどういった内容が記載されているのか知りませんが、単に
レッド ブル グループのドライバーとして4台のいずれかに割り振るような契約状況で
しかなかったのであれば、まさしく人事異動以外の何事でもなく、
結果が出せなかったクビアトに問題が無かったわけでもないですから、
そういう世界なんだな、というだけの話なんですけどね。
 不思議なのがグロージャンやマルドナード師匠ほどクビアトが叩かれまくっていない、
ていうかちょっと同情されてる点。
毎戦事故ってたら文句言われて、いざ降ろされると同情してもらえるってのも変な話です。

 個人的にフェルスタッペンがどういう走りをするのか興味がありますし、
サインツと不仲だったのは内幕を聞くまでもない状況。
クビアトも、怖いもの知らずで走っていたトロ ロッソ時代は良かったのに、
重圧で能力が発揮しきれていないのはそうだと思うので、それが口実であれ真実であれ、
用兵自体は的確じゃないかと思います。
 ただ、兄弟チームとはいえPUが違い、設計もいくらか異なるであろう
新しい車に、特にフェルスタッペンはすぐ馴染めるのかが気になります。
 昇格にえらく気分が乗っているそうですが、あまり調子に乗ると・・・