2016 AUTOBACS SUPER GT Round2 FUJI GT 500km RACE
富士スピードウェイ 4.563km×110Laps=501.93km
(スタートとフィニッシュのライン位置が違うので厳密には数百m短い)
GT500 class winner:MOTUL AUTECH GT-R 松田次生/Ronnie Quintarelli
(NISSAN GT-R NISMO GT500/NISMO)
SGT第2戦富士、GT500はあらゆる意味でタイヤのバーストが
レースを左右し、結果MOTUL AUTECH GT-Rが開幕2連勝。
そしてどうもカルソニック IMPUL GT-Rとはまた遺恨ができた模様です。。。
最近ブリーフィングで「無理するな」と言われているのか、妙に車間距離が開く
GT500のスタート。今回もわりと無風で予選順位通り
カルソニック、S Road CRAFTSPORTS GT-R、ZENT CERUMO RC F、MOTUL、
DENSO KOBELCO SARD RC Fという並びのままレースが進みます。
トップのカルソニックだけは快調に差を広げていきますが、2位以下は
割と一進一退。お、こっちの方が速いのかな?と思ったらそのうちまた間隔が空いたり。
その時のタイヤの状態やGT300との絡みで、よく福山解説に出てくる
『アコーデオンのように伸びたり縮んだりする』展開です。これ、NASCARの
解説でもよく使ってます。ていうか『アンダー グリーン』とか、そっちから
持ってきた単語の解説が結構多いですw
カルソニックが2位との差を17秒も広げた27周目、ZENTがS Roadを抜いて2位に、
また31周目にはDENSOがMOTULを抜いて4位に。カルソニックを除けば
RC FとGT-Rが互角の争いを繰り広げていきます。もうカルソニックは20秒先の彼方へ。
110周のレースは3で割ると36.666・・・ということで、そろそろピット サイクルが
始まるわけですが、アンダーカットを狙ったかS Roadが31周とやや早めにピットへ。
これが後でドラマを招くことになります。
前を走っていたZENTも反応したように翌周ピットへ、作業時間も、
恐らくイン/アウトのペースも互角で順位もそのまんま第2スティントへ。
他はDENSO35周、カルソニック38周、MOTUL39周、とGT-R2台は引っ張り作戦。
MOTULはどっさり燃料を入れます。DENSOも映ってないけど入れたっぽい時間。
スタート時の搭載燃料が同じであると仮定すると、レース中の給油総量(=時間)は
基本的に変わらないので、2回のピットでそれぞれどのぐらい入れるか、
という話になります。1回目が多かった人は2回目は少ないと考えるのが妥当で、
どうせコース上で抜けず、アンダーカットの成功率も低いなら後半勝負、
もしSCが出たりなんかしてギャップが1回無くなったらお得、という考えに
動くのも1つの作戦です。
ここからは上位3台は同じ並び、MOTULはピットでDENSOと順位が入れ替わって
4位となり、この2台はピットが長かったので、ピット前には2位争いの
すぐ後ろだったのが13秒も後ろに。後半勝負がうまくいくのかどうか。
43周目、S RoadがZENTを抜きます。千代 勝正、今回もイキのいい走り。
この時点でカルソニックとは12秒離れていましたが、わずかながら差を詰める走り。
もちろんカルソニック・安田 裕信も後ろを見ながらのレースでしょうが、
第1スティントはどんどん離していたことを思えば、わざわざ間合いを測る
必要があるとも思えず、割と目いっぱいでほぼ同じペース、ただGT300を慎重に
さばいている分詰められている、と感じました。
そして、レースが70周を超えてきたので、そろそろ早い人は2回目の
サイクルが始まるであろう、という中運命の72周目、RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが
トヨペット100Rコーナーでタイヤがバーストして部品を撒き散らしながらストップ。
私は即座に「あー、最終コーナーにいる人は即ピット入ったら得する可能性がデカイ、
ていうかS Roadあたりは入らんとガス欠する」と思いましたが、
残念ながらS Roadはピットから遠く離れた位置。
彼らが最終コーナーを立ち上がった頃、SCボードが掲示されてしまいます。
今年からSC中にピットがオープンにはならない規則。
S Road、SC開けまで燃料がもたず、無念のピットでこの後90秒停止ペナルティーを受け、
7位に終わりました。
また少し気になるのは、ピット後隊列通過まで出口で赤信号待ち、さらに
ペナルティーで90秒待ち。レース車に停止状態は天敵であり、エンジンに
負荷がかかっていないか心配です。年間3基しか使えない決まりで、たぶん
もう1戦使うつもりだと思いますが大丈夫でしょうか。
さて、もう1台ピットが早かった人、ZENTはピット強行せず。
1回目の給油時間はS Roadと同じ約32秒でしたから、普通に考えれば1周ぐらいしか
差はないはずだと思うんですが、77周終わり、SCが退出して、これに続いて
ピットへ入っていいのにそのままコース上に。
ずいぶん余ってんだなあと思ったら、ターン1を出た直後失速。
全然大丈夫じゃありませんでした。まさかオープンのタイミングに関して
規則を理解していなかったのか、とも思いましたが、ピット側では大丈夫&
混むから1周遅らせたいと判断、車内でも警告灯は点いていなかった模様。
燃料切れでは坂を登れず、セクター3でZENT撃沈。ちなみに彼らは2013年の
鈴鹿1000kmでも同ケースで強行ピットによりペナルティーを受けて
レースを失っています。
2台が消えて、改めて整理すると1位を争えるのはカルソニック、MOTUL、DENSO。
DENSOはSC退出にあわせてピットへ。このタイミングは混むリスクがある一方で、
コース上の車が遅い=ロスが小さくなるのでアンダーカットできる可能性があります。
翌周にはカルソニックも反応。DENSOはカルソニックの真後ろまで行きましたが
抜くには至りません。とはいえSC前はトップと遥か離れていましたから
得したことは確かです。
そしてMOTULは81周まで引っ張りピットへ。給油時間がとても短く、他の2台より
6秒早くピットを後に。実質的にカルソニックの2秒ほど前でコース復帰。
2回目を短くし、万一のSC時に有利になれる作戦だったことが完璧に機能しました。
ここからはGT-R2台の争い、赤と青の2台には昨年のこともあるので
穏便にレースをしてもらいたかったんですが。。。
96周目、インから入ったカルソニックのジョアオ パオロ デ オリベイラが
止まりきれずに、MOTULのロニー クインタレッリがクロスを掛けて再び前に。
そして、クインタレッリがかなり厳しい幅寄せをしますが、オリベイラが
気合で前に出ます。
そして、気合いが入ったのは監督の星野 一義も同じだったようで、
鬼の形相でニスモのピットへ。
恐らく幅寄せが厳しかったことへの抗議でしょう。昨年の接触の件もあって、
たぶん日産の中でのバトルの一定のルールみたいなものはあったでしょうから、
「おい、ふざけんな!話が違うだろ、お前んとこはドライバー教育もできねえのか!!!」
といった怒りではないかと想像しました。
このままレースが終われば何事もなかったんですが、抜かれてもなお
離されないロニーさん。MOTUL、ウエイトあるのに異様に速いです。
3位のDENSOもほぼおなじペースでトップから5秒あたりの位置をずーーっと走って
いるんですが、全く差が変わりません。
そして残り4周、100Rでカルソニックの左後輪がバースト。
その直前のターン1では白煙が出ていてちょっとロック気味で、
最初、MOTULに寄せられて軽く当たった影響かと思ったんですがそれは
右側なので関係ないはず。何ゆえ壊れたのか。
何せこれでカルソニック撃沈。トップ5のうち3台が消えてしまい、
MOTULがなんともコメントしがたい連勝を手にしました。
2位はDENSO、今回ヘイキ コバライネンはとても良い仕事をしたと思います。
GT-R相手に車の性能は少し劣っていたように思いますが、なんとか対等に
食らいつき続けて好結果を手にしました。
このチーム、昨年は5位が最高位だったので、コバライネンはGT初表彰台。
ぜひもっと輝いてもらいたい!
上位陣総崩れで橋にも棒にもかからなかったトムスのRC Fが並んで3・4位。
終わり良ければ、といえるのはチャンピオンを取った時だけですね。
SC前はトップから40秒も50秒も離されており、内容的には惨敗です。