批判をされながら変更しない、という愚かな状況で迎えた
バーレーンGPの予選。
結果的にはルイス ハミルトンが1'29.493と、V10時代にフリー走行で
マーク ウェバーが記録したタイムを上回る『最速ラップ』でPPを獲得。
(当時は昼間の開催で、基本的に夜に走ったほうが速いということを補足しておきますが)
そこまでニコ ロズベルグに遅れを取っていて、Q3の1回目のランも失敗で
4位に沈み、ノックアウトされないために早めに出ていくしか無かった
危ない立場から会心のアタックでした。
車載を見てもまあすごいこと。
開幕戦でまさかの6位、ハースのロマン グロージャンは9位。
最後にニコ ヒュルケンベルグに逆転されて惜しくもQ3進出を逃した!と
思いきや、予選後のコメントは全くの逆で
「9番手というのはベストのポジションだと思う。Q3に進むためにもう一度
アタックすることもできたけど、決勝でのタイヤのことを考えると意味がない。
だから誰かが僕のタイムを超えてくれるよう願っていた。僕を9番手に
落としてほしかったんだ。おかしいかもしれないが、タイヤのことを考えるとそうなる。
(ヒュルケンベルグが)セクター1にいるのを見ている時、僕は「行け! 行け!」
って感じだった。セクター2で彼は速かったから嬉しかった」
と、正直に話してくれました。
チームメイトのエステバン グティエレスも13位、ハース、侮れません。
マクラーレンのジェンソン バトンはその後ろの14位、
そして代走のストフェル バンドーンが12位。私の予想通り、バトンは新人に負けました。
もう1人の大物新人、マノーのパスカル ウェーレインも16位。
Q1敗退とはいえ、ザウバーとルノーの4人を全員倒し、ダニール クビアトまで
あと0.247秒でした。マノーも侮りがたし。
今回はハミルトンが先に出ていく必要があり、フェラーリとメルセデスの
タイム差が小さいことも相まって、当然その前にいる人たちも全員
同じようなタイミングで出て行ってアタックし、ちょうど残り3分で全車アタック終了。
ハミルトンの会心アタックと、4台ともアタックしたことで開幕戦ほどの
醜さではありませんでしたが、Q1・Q2を含め、なんだか静かでシラケる
予選だった感は否めません。
Q2ではカウントが始まっているのにピット出口の信号は壊れていたのか
変わらず、1分ほど立ってからマーシャルがグリーン フラッグを振って
オープンになる、というお粗末運営。時間が大事なセッションで時間の管理すら
できないとは何事でしょうか。
セッションの最後はヒュルケンベルグだけがアタックしていて、
これだとスーパー ラップ方式を見ているような状態。
今回は会場入りしているFIA会長ジャン トッドは
改善の余地があると認め、Q1、Q2は時間の変更などで小改良、Q3は
タイヤ セットの追加や、スーパー ラップ方式の可能性を口にしました。
わりと「Q1、Q2では新方式は機能していた」という人が多いですが、
私はそうは思いません。
1回目のアタックを終えた時点で、時間的にどう考えても2回目のアタックが
できない人が見えてしまうので、「ああ、ここから3分は見るとこないな」
と分かってしまいます。
時間を伸ばしていって2回目のチャンスを作るなら、従来方式と特に変わりません。
3回目に行くほどタイヤは多くないからです。
ましてや、Q3がスーパー ラップに近くなるなら、もう最初からそれで
構わないはずです。
例えば一昨年のオーストリアGPでは、最後の最後にフェリペ マッサが
まさかの大逆転ポールを奪ったシーンが有りましたが、
現状の仕組みではそうした3位、4位の人たちはセッションの一番最後まで
コース上にいることができないので、そうした楽しみを奪っています。
根本的に『一騎打ち』が面白いと言っているのが間違いだと思いますし、
不確定要素を予選で人為的に作ろうとする発想そのものが極めて貧困です。
なんだか今の議論は「変えたいから変える」という状態になっていて、
そもそもなぜ変えないといけないのか、変える前にどんな問題があったのか、
という議論が全然なっていません。
ボスは単にメルセデスが1列目からそのまま逃げるのが視聴率低迷の原因だと
勝手に決めつけて、それに文句を言って予選を変えたらなんとかなると言っているだけで、
そんなのF1では当たり前の話で、それが嫌なら単一車両にでもしてしまえばいいわけで、
そんな話を真面目に聞いている事自体が誤りです。