2016年のF1が始まりましたが、新予選方式は明らかに欠点が利点を上回る
内容だったと思いました。
各セッションで残り9分になった段階からその時点での最下位ドライバーが
即時ノックアウト、以後90秒毎に同様の作業を繰り返す、という
『時限ノックアウト』『椅子取りゲーム』とか言われる制度。
確かに、開始直後から車がコース上にどんどん出ていき、
真っ先に落ちないためにドライバーは緊張感のあるアタックを
強いられたと思います。
最初なせいもあるのか、Q1ではアタック周の途中で時間切れになっている人も
たくさん発生してしまい、後方集団の人たちには大変な状況。
しかし一方で、「ああ、計算したらこの人もう間に合わない、この人も
間に合わない。なんだ、もう落ちる人全部決まっちゃったよ」といった
感じになってしまい、Q2、Q3とも時間が余ってるのにコース上には誰もおらず、
無人のコースに対してチェッカーが振られる事態に。
これはこの制度が決まった際に私も書いたと思いますが、
「Q3の最後は最速の2台の一騎打ちだ!!」みたいなことには都合良くなりません。
実際に起こったのは、残りが5分以上ある段階で事実上PPが決まり、
残り3分あたりでもう誰もいなくなってしまう現実でした。
いかんせんタイヤのセット数制限があるため、人によっては手持ちの
スーパー ソフトでQ1に3回もアタックしてしまってQ2に既に新品の残数0でお手上げ。
Q3まで行ってもQ3用タイヤ1本しか残っていない新品を当然先に使うしか無いので、
1回目のランを終えて2・3位だったフェラーリも弾切れで2回目のランには現れず。
こうなった要因の1つは、本来2番目の速さを持つニコ ロズベルグが
1回目で失敗して4位になってしまい、落ちないために早めに2回目に出るしか
なくなってしまったことにもあったわけですが、逆から言えば
最後を一騎打ちで面白くするには(現状の戦力図が続くと仮定すると)
確実にメルセデスの2台がQ3の1回目で1・2位である必要があるわけで、
それだとそもそも
「不確定要素を作るぞ、メルセデスが前で出て前で終わるなんてくだらん」と
思いつきで始めておきながら大きな矛盾です。
見る側としては、車よりも下位数人の顔ぶれと残り時間、今どこにいるか、
ばかり気にしてしまってせわしなかったです。
そしてもちろん、全然盛り上がらないPP決定の瞬間も興ざめでした。
今すぐ前のやり方に戻して欲しいです。
バーニー エクレストンはといえば、この結果にたいそうお怒りで、要約すると
『それ見たことか。前に戻す?馬鹿言うなよ、俺様の言った通り
勝った奴は次の予選でタイム加算すりゃいいんだよ』といった反応。
せっかくハースが新規参入、マノーもメルセデスPUになり、しかもDTMから
上がってきた期待の新星、パスカル ウェーレイン
(DTM時代ベアラインとして紹介していましたが、フジテレビに合わせて
英語読みで妥協します)もデビュー、このあたりのタイム争いも見たいのに、
2回目のアタックが間に合わずに消えていってはやる方も面白く無い気がします。
PUの音とか、醜いノーズとかよりはるかにひどい、近年最悪の
規則改正に思えました。