NASCAR Sprint Cup Series
Daytona 500
Daytona International Speedway
winner:Denny Hamlin(Joe Gibbs Racing/FedEx Express Toyota Camry)
いよいよ2016年のシーズンが開幕!最初にして最大のイベント、デイトナ500は
劇的な展開の末、デニー ハムリンが優勝しました。
ハムリンはデイトナ500初勝利。スプリント アンリミテッドとの連勝は
2000年のデール ジャレット以来史上6度目(5人目)。
彼らの中でその年にチャンピオンになったのは1997年のジェフ ゴードン。
他のドライバーはボビー アリソン、ビル エリオットがそれぞれ2位。
2度達成しているジャレットが4位、3位。過去例だけを見るとハムリンは
4位以内=チェイスの最終戦に残れることになりますがどうなるでしょう。
PPを獲得したのは大型新人のチェイス エリオット。史上最年少、
20歳2ヶ月17日でのポールです。
エリオットはチームメイトのデール アーンハート ジュニア大先輩が
後ろで世話を焼いてくれるような感じで1周目のラップ リードを獲りますが、
その役目も飽きたのか、4周目にジュニアがリーダーに。
じわじわと埋没するエリオットは20周目にスピン。芝で思いっきり
車のアゴを打ち付けてフロントが大破、レースは甘くありませんでした。
26周目、ハムリンを先頭にリスタートが切られると、ここからはレースの
多くをカムリが引っ張る展開が続きます。
カイル ブッシュ、マット ケンゼスのJGR2台に加え、今年からトヨタに
変更となったマーティン トゥルーエックス ジュニアも加わってイン側の
ラインをトヨタががっちり固め、外ラインはなかなか伸びない状況。
JGRではカール エドワーズだけがもらい事故で右前をぶっ壊しますが、
修復後は意外とちゃんと走ります。フェンダーのテープが今にも剥がれそうなんですが^^;
117周目、グレッグ ビッフルのタイヤが壊れてコーション。
車の感触は良いと話していたビッフルでしたが無念、しかも原因はどうやら
タイヤを左右付け間違えたせいだとか。
そしていよいよレースも終盤、残りが44周となったところでこの日初めてにして
恐らく最後のアンダー グリーンでのピットがスタート。
第1グループはリーダーのハムリンを先頭にしたグループに。
ここでほとんどの車がタイヤ2本交換を選ぶ中、ハムリンは4本交換。
これでハムリンはこの隊列の最後に後退、逆になんとこのグループの最後、
7番目でピットに入ったケンゼスがまさかの早業で最初にピットを出ていきます。
これにはチームメイトのカイルも驚いて「本当に燃料入ってるのか」と
無線で聞いたとか。
サイクルが一巡するとやはりリーダーはケンゼス、続いてトゥルーエックス、
デール ジュニア。ところがジュニアは一瞬滑ったのか勢いが鈍った瞬間に
瞬く間に隊列からはずれて後退、3位はカイルとなり、またもやトヨタ ブロックを形成。
ハムリンは7位付近で、新人クルー チーフのマイク ウィーラーやっちまったなあ、
そう思っていました。
残り周回数が少なくなりいよいよポジション争いが熱くなり始める中、
デール ジュニアが状況を打破すべく積極的にラインを変え、他のシボレー勢に
「おら行くぞ!ついて来いよ!動けよ!」と言っているかのよう。
ところがやりすぎたのか、170周目にスピンしてデイトナを去ることに。
ただその後のインタビューを見ていると、どのみち打つ手がなかったから
やってみてダメだったけど仕方ないな、といったサバサバした感じでした。
残り25周でリスタートも、トヨタ勢で占められた上位勢は示し合わせた動きで
隊列を組んで動く要素無し。しかし184周目にダニカ パトリックとビッフルが
絡んでコーション。もう1度仕切り直しとなります。
この2人、スタートが同じ列でレース前のドライバー紹介で仲良く登場していたので
中継的にネタになりました。スポッターが悪かったのか、動きが中途半端で
分かりづらいダニカが悪いのか、引っ掛けたビッフルが悪いのかちょっと
わからない感じでした。
残り12周でリスタートすると、直したフェンダーが吹っ飛びそうなエドワーズを含め、
イン側のラインをトヨタ5台が独占。
トヨタとJGR的にはもうケンゼスを勝たせるべき展開、トゥルーエックスも、
開幕早々ケンゼス相手に何かやると個人的にもチーム的にも後々マズイし、
自分が動いて抜けた場所にカイルが詰めてくるだけに終わりそうで打つ手なし。
外側はジョーイ ロガーノが仕掛けようとはするものの、4列目に並ぶのがやっと。
これは事故が起きないかぎり決まりな雰囲気です。
残り4周でケビン ハービックが外に出ても状況は変わらず。
最終周に入った時点でもはやりハービックの位置は5列目。もうこれは
終わったな、と思ったら、ターン1で4位にいたハムリンがトヨタ連合を裏切って
いきなり外へ。
バック ストレッチでハービックからドカンと押してもらって急加速し、一気に
2列目まで進んでターン3へ。ここでケンゼスが慌てて外へブロックに動きますが、
ヘタったタイヤと急な動きで膨らみすぎてインががら空き。
ハムリンは一旦逃れる動きで外へ行ったものの、そこからクロスでインに入って、
後から切り込んできたケンゼスを蹴散らし前へ。
このゴタゴタでインに位置づけたトゥルーエックスが先頭になるも、
2台は並走してフィニッシュし、わずか0.01秒差でハムリンが制しました。
信じられない展開でした。
こちらはドカンと押したハービックの視点から
最後の2台の並走は、サイドドラフトとわずかなステアリング抵抗で決着したと言えます。
アクセルを踏みつけているだけなのに、あの短時間で2度ほど前後関係が
入れ替わり、最後の最後でハムリンが伸びました。
失敗かと思われた4本交換は、最後のクロスで生きました。あれが2本だけなら
切り込んだ際に巻き込んだり、アクセルを戻す必要が出ていた可能性があります。
逆にケンゼスは下手にブロックするより真っ直ぐ進んでトゥルーエックスの最後の
助けに頼ったほうがよかった気がしました。
それにしても最後の展開はまさしくプレート レースならではの展開と動きで
素晴らしいものでした。デイトナは大きなイベントですが、初めての人が見ると
ただ隊列が動きなく走り続けているだけで意外と面白みが伝わらないんですが、
この場面に全てが凝縮されていたと思います。