2015 AUTOBACS SUPER GT、GT500クラスはドライバー選手権が
松田 次生/ロニー クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)
チーム選手権もNISMO 1号車がチャンピオン、いずれも昨年に続いて2連覇となりました。
MOTULは2年連続最終戦での逆転、クインタレッリはGT500史上最多の
4度目のチャンピオンとなりました。
基本的にカルソニック IMPUL GT-Rとの一騎打ちな感じだった2015年。
両者のリザルトを比較してみると

平均順位ではMOTULの4.875に対してカルソニックは4.5。
無得点のレースを除いても3.714と3.571。表彰台の回数でも
カルソニックが上回りましたが、やはりMOTULが2勝を挙げ、カルソニックは
勝っていないことが最後の5点差になったと思えます。
特に大きく流れに影響したのはやはり最後の3戦。荒れた第6戦でカルソニックは
安田 裕信が2周連続で黄旗追い越しをしてしまい前代未聞の
『20秒ストップ+30秒ストップ』の重罰に加えて第7戦の練習走行参加禁止。
で、このレースの後半でMOTULはカルソニックにぶつけてこちらもペナルティーを
食らいました。このある種の因縁が最後まで続くことになったわけです。
第7戦では追うMOTULが先にピットに入ったのにカルソニックは
不安定な天候を気にしてかすぐにカバーに入らず事実上のアンダーカットを
されてしまう要因に。ひょっとすると安田があまり走れていないことも
気にしたのかもしれません。
すぐ反応して勝てた保証はありませんが、1位と2位での直接対決で変わる5点は
あまりにも大きな差でした。ここで勝っていればカルソニックはほぼ
ライバルに引導を渡すことができていました。
後半にまたも接触した両者、MOTULにペナルティーが出なかったのは
個人的にはカルソニックが走行継続できているという結果があったからでは
ないかと思います。
最終戦は雨で悲喜こもごもといった感じでしたが、持っているものを
全部出し切った結果で、非常に良い争いでした。
前戦での判定は納得言っていないでしょうが、この結果はカルソニックも
ただ受け入れるより他はなかったでしょう。クインタレッリの前半の走りは
素晴らしいものでしたし、ミシュランのタイヤは素晴らしく機能していました。
ただSC規則の関係でリスタート時にGT500の周回遅れが絡んでレースを
やや邪魔していたのはやはり残念でした。リスタートはリーダーを先頭に行うべきです。
MOTULの勝因にはもう1つ、松田が終盤に向けて約10kgのダイエットを行った、
ということもあるそうです。どんなアップデートより効果があった、という話が
あるぐらいです。最低重量1020kgの車ですからね。
今まで減量が不十分でもやってこれたのか、死ぬ気で最後の一滴まで
絞り出したのかは分からないんですが、この僅差ですから効果があったのは
間違いないでしょう。
カルソニックとすれば、第4戦の最終周にMOTULをぶち抜いて3位になり、
『今年こそあの偉そうにしてる赤いワークスを倒すぞ!』という気迫が
伝わってきましたし、ジョアオ パオロ デ オリベイラは速さに安定感が
加わって最高レベルのドライバーに近づいてきたのは間違いないです。
結果から言うと厳しいですが安田の力に一歩及ばないところがあった、
ということになってくると思います。今のGT500のドライバーは本当に
レベルが高いので、その中でほんのわずかに一歩先に行くために必要な
僅かな差がそこにあったのかな、と感じさせられました。
シーズン全体として見ると、新規定1年目の昨年と比べると
エンジンで明らかに日産が速い、という感じではなくなり、戦力はより
均衡化したように思えます。
相変わらずNSX CONCEPT-GTだけちょっと遅く、今年も完全に解決することが
ないままでしたが、ハイブリッド車両をGTA自身が推すつもりがあるなら
もう少し回生パワーの部分を拡大し、速くなりすぎた場合燃料流量の側で
調節をするなどの対応はあっても良い気がします。
まあ間違いなく「NSXだけ直線が速過ぎる」とクレームが付きますが。
それにしたって現状ではハイブリッド要素が見えなさすぎる上に
給油機構の問題か燃費の問題かは分かりませんが、NSXだけ明らかに
給油時間が長くて宣伝にもなっていない感じです。
アコードにしろとは今さらいいませんが、今からでもFRで内燃機関だけの
NSXに変えたほうが良いんじゃないでしょうか。