F1 第17戦 GRAN PREMIO DE MÉXICO。
1992年以来のメキシコ開催。エルマノス ロドリゲス サーキットは
所謂ホンダ第1期、1965年に初優勝を挙げた地そのもの。
 おなじみヘルマン ティルケがコースに手直しを施して近代化しましたが、
コース図の雰囲気は変わっていませんね。

 エルマノスは『兄弟』を意味し、『ロドリゲス兄弟』ということになります。
いずれもF1経験者で事故により死亡したメキシコ人ドライバー、
ペドロ ロドリゲスとリカルド ロドリゲスに由来しています。

 現在のF1にはメキシコ人としてセルジオ ペレス(本来はセルヒオと読むべきか)が
参戦しており大盛り上がり。ちなみに彼の兄、アントニオ ペレスも
レーサーで、NASCARメキシコ シリーズで2006年に新人王、2008年には
シリーズ チャンピオンを獲得、昨年もシリーズ5位と、国内では比較的
活躍している選手です。このシリーズ、マツダ6も参戦しているので驚きです。

 余談はこのぐらいにして、レースの方はPPからスタートした
ニコ ロズベルグがそのまま優勝。割と淡々としたレースではありましたが、
それぞれの位置でそれなりに色々あって、お客さんも盛り上がっていたので
良かったのではないでしょうか。

 ロズベルグとルイス ハミルトンの優勝争いは、ロズベルグがようやく
ターン1で抜かれずに帰ってきたことでほぼ決着。
ここはもう書くこと無いな、と思っていたら40周あたりでちょっとした事件発生。
当初1ストップ予定だった彼らは、後方と十分な差があったこともあって
2ストップに変更。アンダーカットはご法度なので当然前にいるロズベルグから
呼び寄せます。当然次はハミルトン、が、入ってきません・・・
「何でだ!?」と聞き返します。
「タイヤのウェアが心配だ。この周に入ってくれ。安全上の理由だ」
 よく中継でも使われますが、ウェアというのは摩耗度、なんかを意味し、
『タイヤ ウェア』と言った場合、タイムの落ち幅ではなく、物理的な
ゴムの残量を意味します。
川井ちゃんが「デグよりもウェア リミテッドだ」と言った場合、それの
意味するところは「タイムの落ち幅ではなく、物理的ゴムの限界が交換の要因になる」
という意味です。

 で、ハミルトンとすれば、ロズベルグのタイヤは危ないのかしらんけど、俺は
大丈夫だからこのまま行こうぜ、何であいつと同じことしなきゃなんないの?
と、口には出さないけど思っているはず。当然チームはその逆で
表向き安全のせいだけど本当は両方入れないと不公平で揉めるから
入ってもらわないと困るわけです。
「あいつのタイヤを見たんだろ。俺のタイヤは良いはずだ」
あくまで走りきってロズベルグを出し抜きたいハミルトンでしたが、最後は
しぶしぶ従った印象。もう選手権も決まったしやらせてみても面白かった
気がしますけど、やっぱりまずいでしょうか^^;

 この後SCが入って残り14周でリスタート。リプレイ映像でまたもや
ロズベルグが飛び出す映像が入り「またかい・・・」と思ったら、ハミルトンも
その先ではみ出ていて今回はお互い様、さすがに今回抜かれたら
ロズベルグは2度と勝てる気がしないので、勝ってホッとしたでしょう。

 そのSCの原因を作ったのはセバスチャン ベッテル。スタートで
ダニエル リカルドと接触してタイヤを傷めてずいぶんとお怒りでしたが、
レース後は理解を示すコメント。それよりも、ターン7で2回もミスを犯し、
2度目はほとんど真っ直ぐバリアに刺さってしまいました。
壊れたウイングを拾って車内に放り込み『お片づけ』している様がなんか
よかったです。予選後に人の車をものすごく観察するしぐさとか妙に
心をくすぐるものがあります。いや、そっち系じゃないですよw
 フェラーリはキミ ライコネンもリタイア。またバルテリ ボッタスと
接触しました(´・ω・`)今回はインに並走しているのに切り込んで接触。
ライコネンの右リアは完全に折れたのに、ウィリアムズは丈夫だったのか
そのままレース続行で、ボッタスは結局3位に。
明らかにライコネンが悪かったのにペナルティーが出なかったのは、
加害者だけがぶっ壊れて既に制裁を受けたからでしょうか。
次戦5グリッド降格でいいと思うんですが・・・

 なんだか接触病な人と対照的にご当地ドライバー・ペレスは9位。
1ストップ作戦がSC導入で裏目に出てしまい、こりゃあ地元民がっかりかな、
と思われましたが、最後までミスのない走りでした。
SCがなければもう少しいい順位もあり得ましたが大健闘。
数の少ない国際的な選手が地元レースに出てポイントを取ることでいかに
盛り上がるかを小林 可夢偉や佐藤 琢磨でよく知っていますので、メキシコの
お客さんはたとえ表彰台でなくても満足感はあったことでしょう。
そこまで目が肥えてないかもしれませんが^^;
 ただ彼が走り切ったことで具合が悪いのはメルセデスで、
なぜならペレスはメルセデスが走り切ろうとしていた距離よりも更に長い
50周以上を1セットで走ってしまったからです。
ハミルトンが心の中で「やっぱ嘘じゃねえか」と思ったかどうかは分かりませんが、
選手権を争う中での出来事じゃなくてよかったです。

 ロズベルグは全戦終了後色々と態度の悪さを釈明したうえで
「残り3戦のミニ チャンピオンシップを楽しみにしている」というような
話をしていましたので、勝手にここにも注目してみましょう。