F1 第15戦 RUSSIAN GRAND PRIX。
FP1が「清掃車の燃料が漏れた」ことの処理のために30分短縮され、
FP2は雨で役立たず、とまたしても金曜日が有効に使えず、
データが少ない状況での予選・決勝となりました。
予選では珍しくニコ ロズベルグがルイス ハミルトンを圧倒。
しかし決勝でまさかの機械的故障により早々にリタイア、
ハミルトンが今季9勝目、セバスチャン ベッテルと並ぶ通算42勝目を挙げ、
チャンピオンへのマジック ナンバーを34としました。
昨年はタイヤが長持ちしすぎて批判されたので今年は柔らかい2種類が
用意されたものの、やっぱり決勝は1ストップ予想。気温が低いこともあって
オプション→プライムならアンダー カットは不可能、となると、スタートで
勝負するしか打つ手なし。
ただそのスタートは、スタート位置から実質的な最初のターンまでに1km近くあって
スリップストリームが効く速度域まで加速するのがここの特徴です。
ロズベルグはフォーメーションの最終コーナー手前で思いっきりゆっくり
走って後続に自由にタイヤを暖めさせない戦略的な動きで牽制。
それでもスタートは両者互角で、スリップを得たハミルトンが一瞬前に
出たもののなんとかロズベルグが順位を維持。彼が抜かれずに1周するのは
かなり久しぶりだと思います。
そして後続で接触がありSC導入。このSC中にロズベルグ車に異変が起きました。
どうやらスロットル ペダルのダンパーが壊れてしまい、
『ペダルが上がってくる』という珍妙な症状が発生。
『ペダルが出てくる=足を引く』必要に迫られ、しかしそもそもF1の
車内は適正な姿勢ギリギリに作ってあるので、足がステアリングに当たるように
なって運転不能になった、とのこと。リスタート後しばらくすると
リタイアに追い込まれました。ドライバーにとっては理由がなんであれ
同じことなんですが、複雑な電気的な話ならまだしも、機械的な問題、
しかも割と単純な部分、というのは気の毒な気がします。
これで前が空いたハミルトン。12周目の2度目のSCの際に、自身を含めた
先頭集団は留まる一方で、中団グループがピットに入ってタイヤ義務を消化したため、
1ストップと仮定すると、数字の上では一時的にセルジオ ペレス、
ダニエル リカルドといったあたりに対して負けている状態になりますが、
リスタートしたらまた引き離すので特に影響ありませんでした。
ただこの動きは3位以下の人たちには最後に大きな影響をもたらしました。
最初に動いた2位のバルテリ ボッタスはリカルドの後ろに埋まってしまい、
ベッテルはピットを引っ張ってボッタスをオーバー カット。
後にペレスもあっさり抜いてうまいこと2位を奪うことに成功しました。
方やキミ ライコネンはオーバー カットできず。タイヤも消耗度で
限界お思われる周回だったので引っ張り続けることも恐い状況ではありましたが、
厄介な場所にハマり込んで、これが最後の問題の遠因となりました。
リカルド-ボッタス-ライコネンの軍団は、前を行く3位のペレスと同じ
ペースのまま争いを継続。フィンランド人2人はなかなか見応えのある
バトルも見せてくれます。
残り9周でやっとボッタスがここから脱出、同6周でライコネンも続き、
リカルドはトラブルでどのみちリタイア(-_-)
そして2台揃ってペレスを追いかけ、とうとう残り1周半というところで
2台揃ってペレスを料理。さあ最後にもう1度フライング フィンの争い!
と期待したらまさかの接触(゚д゚)
ペレス、我慢してたら昨年のバーレーン以来、自身5度目の表彰台が
転がり込みました。
ウイングを引きずりながら5位で帰ってきたライコネンですがペナルティー30秒。
「彼を1度抜いた場所だから仕掛けた。不運な出来事」とライコネン。
しかしながら1度抜いたのはボッタスがよく見ていたから抜けただけ。
通常あの距離から入ったら閉められる可能性は高く、仕掛けが
「他人依存型」でした。相手がリタイアした以上ペナルティーは当然といえます。
そしてこのおかげでメルセデスのコンストラクターズ タイトルが決まりました。
またライコネンに関して言えば、フェラーリは2度目のSCで2台のうち
1台はタイヤを替える作戦にして分けても良かった気がしました。
去年だとそういうケースもあった気がしますが、今年良い車になったら
チームの方が保守的になった気がします。
ペレスは、日本人的には小林 可夢偉との関係もあって
「金でシートを買う代表格」みたいな言い方をされることが多い気がしますが、
私は条件が合うレースでは平均以上に有能な気がします。
カナダとかオーストラリア、あるいはここのようにタイヤを前後方向に
使うタイプのレイアウトで、しかも通せんぼジジイ作戦をやらせた時の
しぶとさはなかなかのもんだと思います。
今回は抜かれる局面で下手な抵抗をせずにいたことが功を奏しました。
たぶんあれが8位辺りで相手が似た格の人だとムキになったんでしょうが、
相手が速いし、抜かれても5位なので変に粘ろうとしなかったんでしょう。
良いレースをしたと思います。
さて、次戦アメリカでハミルトンはタイトルを決める可能性があります。
優勝した場合、ベッテル以外のドライバーが2位になるとタイトルが決定します。
ロズベルグはハミルトンと争うはずが、最後までベッテルと2位を争うのが
精一杯となってきました。