NASCAR スプリント カップ シリーズ チャレンジャー ラウンド 第2戦
Sylvania 300。1マイルのニューハンプシャー モーター スピードウェイで
300周のレースです。

 前回のレース終了後、車検でクリント ボイヤーの車の
サスペンションに関して違反が見つかり、ボイヤーは25点剥奪の
処分を受けてしまいました。チェイス コンテンダーのボイヤーですが、
25点の損失は処分取り消しが行われない限り、ポイントでの次ラウンド
進出を絶望的にする大きな数字です。

 そして今回優勝したのはマット ケンゼス
(Joe Gibbs Racing/Dollar General トヨタ カムリ)
ラップをリードしたのはたかだか27周、最速の車というわけでも
ありませんでしたが、ピット サイクルがうまくハマりました。

 レースの大半を制圧していたのはケビン ハービック。前戦で
明らかな判断ミスを犯してポイントを失ったハービックはできれば優勝、
といきたいところで、実際車の出来は抜群。結局216周をリードしました。
ただ、どうも彼は、というかクルー チーフのロドニー チルダースは
追いつめられて後が無いかのように必要以上にギャンブル性のある作戦を
取っているように見えます。
 運命の分かれ目は211周目のコーション。ここで満タンまで給油すれば
ギリギリ最後まで走りきれるかどうか、という時期のコーションに対し、
リーダーのハービックはピットへ、一方2位のケンゼスを含め数台は留まります。
 ハービックはここで給油のみで出ますが、出ようとして入ってくる
カイル ラーソンと交錯してわずかに時間を失い、ピットを出た時点で
2つ順位を落としてしまいます。それでもリスタートは12位。

 その後237周目に再びコーション、この時点でハービックは5位まで挽回、
一方でどうも燃料がちょっと足りない恐れが浮上していました。
 ハービックとすれば、先ほどステイ組が確実にピットに入ることが分かっており、
しかも最低2タイヤ、恐らく4タイヤ交換が多そうである、そして自らの
車の出来はよく比較的抜ける、ということを踏まえれば、ここで
作戦を彼らに合わせてしまって、給油+最低2タイヤで状態を万全に
すべきでした。彼にとって優勝は大きい意味がありますが、
実力を考えればトップ10で終えていればじゅうぶん次ラウンドへ進める
可能性があり、ガス欠で全て失うリスクを負うのは分の悪い勝負に思えたんですが、
彼らはステイを選択。この時点でなんかダメな気がしていました。

 リスタート後トップに立ったハービックは2位に追い上げてきたケンゼスと
変わらぬ速さを見えてトップを守り続けますが、意外と早いこと残り3周で
燃料切れ、21位でレースを終えることとなってしまいました。
『3戦ごとに4人落ちる』という現フォーマットで、初戦に失敗したために、
それを取り返そうと不必要に仕掛けすぎて自滅する負の連鎖に陥っていた気がします。
これで本当に次戦で勝たないと、昨年の王者がここで姿を消すことになります。

 また今回のレースでは他にもチェイス コンテンダーに色々と試練が襲いました。
カイル ブッシュは右前タイヤのバーストから壁に刺さり37位。
 カイルは未だかつてチェイスで勝利を上げたことがなく、秋になると
突然火が消えたように不調になることで知られていますが、今年も
これでいきなり生き残り当落線上になりました。
他にも右前のバーストは多く見られました。

 ジミー ジョンソンは左前が完全に空気が無くなり、しかもコーションが
出ないために周回遅れでやっちまった感が出ましたが、幸いその後の
コーションで救われ結果は6位。
 デイル アーンハート ジュニアはハービック同様ガス欠で25位となり
こちらも当落線上へ。
 そしてブラッド ケゼロウスキーはリスタートの違反でペナルティーを受けました。
これに関してレース後
「フェアなレースではなくエンターテインメントだから」とあからさまに
運営側を非難。この手の舌禍でペナルティーを食らう人もいるんですが、
今のところお咎めはない模様。ただ、言われた側はかなり不快感を示しているようです。

 この件に関しては伏線があり、前戦でジェフ ゴードンが同じ嫌疑を
かけられたもののお咎め無しになっていました。ただ映像を見る限り
「これで違反じゃなかったらどれが違反なんだ」といいたくなるような
内容で、恐らく批判もあったと思われるので、今回かなり厳しく見られたようです。
 個人的には前回がシロなら今回もシロ、ていうか今回のほうがまだマシに
見えました。彼が怒るのは分からなくもないです。

 さて、次戦はドーバー。「モンスター マイル」で最初の脱落者が決まります。